獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

佐藤優『日米開戦の真実』を読む(その29)

2024-12-11 01:27:28 | 佐藤優

創価学会の「内在的論理」を理解するためといって、創価学会側の文献のみを読み込み、創価学会べったりの論文を多数発表する佐藤優氏ですが、彼を批判するためには、それこそ彼の「内在的論理」を理解しなくてはならないと私は考えます。

というわけで、こんな本を読んでみました。

佐藤優/大川周明「日米開戦の真実-大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」


興味深い内容でしたので、引用したいと思います。

日米開戦の真実
――大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く

□はじめに
□第一部 米国東亜侵略史(大川周明)
□第二部「国民は騙されていた」という虚構(佐藤優)
□第三部 英国東亜侵略史(大川周明)
■第四部 21世紀日本への遺産(佐藤優)
〇第四章 歴史は繰り返す
〇第五章 大東亜共栄圏と東アジア共同体
〇第六章 性善説という病
●第七章 現代に生きる大川周明
 □「自国の善をもって自国の悪を討つ」
 ■自己絶対化に陥らないためには……
 □各国・地域で形成される「国民の物語」
 □日本に残されたシナリオは何か
□あとがき


――第四部 21世紀日本への遺産

第七章 現代に生きる大川周明

自己絶対化に陥らないためには……

筆者の理解では、われわれの歴史において、日本の国体が危機に瀕したことが二回あった。第一回目は、まさに北畠親房が活躍した14世紀の南北朝の動乱で、第二回目は60年前に終わったあの戦争である。ここで皇統が途絶えるような事態が生じたならば、日本国家も日本人も解体してしまっだことであろう。南北朝の動乱の結果、足利義満が日本国王になり、中国皇帝の臣下となったならば、日本国家は中華帝国の内部に包摂されることになったと思う。第二次世界大戦の結果、皇統が廃止され、日本が共和制になったならば、社会主義革命が起き、「日本民主主義人民共和国」が成立し、人民民主主義の優等生となった日本人が「日本民主主義人民共和国」を「日本ソヴィエト社会主義共和国」に改組し、ソ連邦への加入を申請したことも十分考えられる。そこでは日本や日本人という名称が維持されても、伝統を断ち切られ、文化的に異質な「日本人」の残骸しか残らなかったことであろう。第二次世界大戦直後に、日本の政治・軍事エリートが「大日本者神國也」という国体の本質をアメリカ占領軍に理解させようと試み、これに対してアメリカがプラグマティズムの観点から皇統の維持という決断をしたからこそ、今日、われわれは日本人として生き残ることができたのである。
「大日本者神國也」という日本の国体は、多元論的で寛容な世界観に基づいている。北畠親房が『神皇正統記』で最も警戒したことも自己絶対化の誘惑である。この誘惑に陥らないようにするためには、相対主義、多元主義が必要とされる。 北畠親房は、宗教について、自己が所属する宗派の教説を知らない者が、他の宗派を批判することは重大な誤謬であると指摘し、天皇や大臣は寛容の精神で多元性を担保することが重要であると説く。


天皇としてはどの宗派についても大体のことを知っていて、いずれをもないがしろにしないことが国家の乱れを未然に防ぐみちである。菩薩・大士もそれぞれ異なる宗をつかさどっている。またわが国の神もそれぞれに守護する宗派がある。 一つの宗派に志ある人が、他の宗派を非難したり低く見たりすることはたいへんな間違いである。人間の機根(人の心性やその動き)もいろいろであるから、教法も多種多様にある。まして自分の信じている宗を深く学びもしないで、ぜんぜん知らない他の宗をそしるのは罪深いことである。自分はこの宗を信じるが人は別の宗を信じており、それでそれぞれに利益があるのである。これもみな現世だけできまったことではなく、前世以来の深い因縁によるのである。一国の君主や、これを補佐する人ともなれば、いずれの教え、どの宗派をも無視せず、あらゆる機会をつかんで利益のひろまるように心がけるべきである。また仏教にかぎらず、儒教・道教をはじめさまざまの道、いやしい芸までもさかんにし、とりあげてこそ聖代といえるのである。(『日本の名著9 慈円・北畠親房』中央公論社、1971年、395-396頁)

小泉改革という流行現象の「事柄の本質」も日本国家と日本人の生き残りだ。ここで小泉純一郎という個人は本質的な意味をもたない。国家には生存本能がある。それが「小泉純一郎的なるもの」として現れていることに意味がある。この「小泉純一郎的なるもの」は以前から存在していた。宇野弘蔵門下の国際的に著名なマルクス経済学者、伊藤誠はこう指摘する。


日本の経済政策の基調は1980年代初頭に新自由主義に転換した。それ以後、20年余が経過している。小泉構造改革もこの基調をひきつぎ、いくつかの面でさらにそれを強化しようとするものとみてよい。(伊藤誠『幻滅の資本主義』大月書店、2006年、35頁)

筆者もこの見解に基本的に同意する。しかし、1980年代初頭から経済官僚が導入しようと腐心した新自由主義政策は、日本国家エリートの中にある社会民主主義的傾向やケインズ主義的傾向と抗争しながら、徐々にその影響力を強化してきたので、国民の眼には新自由主義の本質が見えにくかった。小泉政権になって、新自由主義はとりあえず「国民の物語」として認知されたのである。「国民の物語」となる以前と後では、思想としての新自由主義がもつ力は本質的に異なるのである。その意味で、「小泉改革」という「国民の物語」の意義を過小評価することはできない。日本の改革は外国の成功例、具体的にはアメリカの新自由主義をそのまま日本に輸入することで可能になるとする慈円型の知性と、改革とは自国の善をもって自国の悪を討つことでなければならないと考える北畠親房型の基本哲学が対峙しているように筆者には見える。慈円が当時の日本の状況を憂えていたことに疑いの余地はない。慈円は中国の百王説が国際スタンダードのドクトリンだから、あと十六代しか続かない皇統にこだわるのではなく、日本は別の生き残りシナリオを考えなくてはならないと警鐘を鳴らしたのであろう。また、慈円は、壇ノ浦の合戦で、「三種の神器」の一つであり、軍事力を象徴する宝剣が海底に沈んだのは史実だから、武力は天皇から武士に移ったという新たな現実に基づいて国家理論を再構築する必要性を訴えたのであろう。新自由主義が国際スタンダードであり、「官から民への移行」が新しい現実なのだから郵政民営化を基本に日本の改革を考えるべきであるとする小泉首相を支持する改革派政治・経済エリートの思考の形は慈円に似ている。

 


解説

新自由主義が国際スタンダードであり、「官から民への移行」が新しい現実なのだから郵政民営化を基本に日本の改革を考えるべきであるとする小泉首相を支持する改革派政治・経済エリートの思考の形は慈円に似ている。

このような歴史理解は初耳です。

 


獅子風蓮


佐藤優『日米開戦の真実』を読む(その28)

2024-12-10 01:15:32 | 佐藤優

創価学会の「内在的論理」を理解するためといって、創価学会側の文献のみを読み込み、創価学会べったりの論文を多数発表する佐藤優氏ですが、彼を批判するためには、それこそ彼の「内在的論理」を理解しなくてはならないと私は考えます。

というわけで、こんな本を読んでみました。

佐藤優/大川周明「日米開戦の真実-大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」


興味深い内容でしたので、引用したいと思います。

日米開戦の真実
――大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く

□はじめに
□第一部 米国東亜侵略史(大川周明)
□第二部「国民は騙されていた」という虚構(佐藤優)
□第三部 英国東亜侵略史(大川周明)
■第四部 21世紀日本への遺産(佐藤優)
〇第四章 歴史は繰り返す
〇第五章 大東亜共栄圏と東アジア共同体
〇第六章 性善説という病
●第七章 現代に生きる大川周明
 ■「自国の善をもって自国の悪を討つ」
 □自己絶対化に陥らないためには……
 □各国・地域で形成される「国民の物語」
 □日本に残されたシナリオは何か
□あとがき


――第四部 21世紀日本への遺産

第七章 現代に生きる大川周明

「自国の善をもって自国の悪を討つ」

それでは最後に大川周明から21世紀を生きる日本人が学ぶべきことについて、筆者の見解を率直に記したい。『米英東亜侵略史』の主題である外交については、これまでの章で論じてきた。ここでは国際政治、国内政治の枠を超え、「日本の改革」について大川が抱いていた信念を読み解きながら、その核心に迫りたい。
大川は、これまで何度も引用してきた『日本二千六百年史』の中で改革に対する基本姿勢を説明している。改革は歴史に学ぶことから始まる。非歴史的な、あるいは歴史を超越して、いつでもどこでも通用するような改革のドクトリンは、本質的なところでは役に立たないと断言する。


いかなる世、いかなる国といわず、改造又は革新の必要は、国民的生命の衰弱・退廃から生まれる。生命の衰弱・退廃は、善なるものの力弱り、悪なるものの横行跋扈することによる。故にこれを改造するためには、国民的生命の裏に潜む違大なるもの・高貴なるもの・堅実なるものを認識し、これを復興せしむることによって、現に横行しつつある邪悪を打倒しなければならぬ。簡潔に言えば、改造又は革新とは、自国の善をもって自国の悪を討つことでなければならぬ。そは他国の善なるがごとく見ゆるものを借りきたりて、自国の悪に代えることであってはならぬ。かくの如きは、せいぜい成功しても木を竹につぐに止まり、決して樹木本来の生命を更新するのではなく、これを別個の竹たらしむるに終わるであろう。それ故に、建設の原理は、断じてこれを他国に求むべきにあらず、実にわが衷(うち)に求めねばならぬ。しかしてわが衷に求むべき建設の原理は、ただ自国の歴史を学ぶことによってのみ、これを把握することができる。いま改造の必要に当面しつつある時代において、われらはいよいよ国史研究の重要を痛感する。(大川周明『日本二千六百年史』第一書房、1939年、13-14頁)

大川周明の基本認識を、現下日本の情勢分析に筆者なりに敷衍してみると次のようになる。
①改革は、日本人の活力が衰弱し、悪が跋扈するようになったから必要とされている。
②改革のためには日本人の本源的生命力に内在する高貴で堅実な要素を再認識し、復興させることが不可欠だ。
③改革とは、日本人の本源的生命力に内在する善の要素によって、日本人に現れている悪の諸現象を克服することである。
④外国の内在的な思想、例えばアメリカ型の新自由主義を善の要素と思って日本に移入しても、それは短期的な弥縫策で終わることが目に見えている。日本という木に竹を接ぎ木することにしかならず、木の生命を更新できない。
⑤日本の改革の内在的論理は、日本の歴史の研究によってのみ把握することができる。それによって日本国家と日本人の本源的生命力が何であるかを掴むのである。従って、改革と日本史研究は表裏一体の関係にある。

日本では、小泉政権(2001年4月~)の5年間の間に、社会的格差が広がり、圧倒的大多数の国民の生活は苦しくなり、地方は切り捨てられ、生徒・学生の学力は低下し、外交は「八方塞がり」の状態にあるにもかかわらず、政権の支持率は一貫して高い。別に小泉純一郎首相が詐術を用いているわけではない。国民は、改革を真摯に望んでいるから、改革を唱える小泉氏に惹きつけられるのである。外交面では日本国家と日本人の名誉と尊厳を守る毅然たる外交を多くの国民が望んでいる。国民の集合的無意識のどこかに小泉首相ならば、国内改革、外交の両面において日本国家と日本人の本源的生命力を掴み出すことができるのではないかという期待感があるのだろう。
日本の歴史に改革思想を求めるという方法論を構築するにあたり、大川周明は、今から700年前、南北朝時代の南朝イデオローグ北畠親房が著した『神皇正統記』から大きな影響を受けている。少し長くなるが大川が『神皇正統記』の意義について述べている部分を正確に引用する。


後醍醐天皇の建武中興は、たとえ回天の偉業中道にして挫折したとはいえ、まごうべくもなき日本精神の勃興なるが故に、この精神の最も見事なる結晶として、北畠親房の『神皇正統記』が生まれた。平安朝の末葉より鎌倉時代の初期にかけて、国史を等閑に附したることは、必然国体観念の混迷を招き、今よりしてこれを想えば、到底許し難き思想が行われていた。例えば慈鎮(慈円)和尚の『愚管抄』に現れたる思想である。慈鎮は関白藤原忠通の子であるが、その著書の中には天皇のことをみな『国王』と書き、はなはだしきは礼記の百王説をそのままに信受して『皇統百代限り』というがごとき妄誕至極の言をなし、実に『神の御代は知らずに人代となりて神武天皇以後百代とぞ聞こゆる。既に残り少なく八十四代にもなりける』とさえ述べている。八十四代と申すは順徳天皇のことにして、いま十六代にて日本の皇統は亡ぶという驚くべき思想である。かくのごとき時代の後をうけ、わが北畠親房が『大日本は神国なり』と高唱し、神胤長くこの世に君臨して、天壌とともに無窮なるべきことを明確に力説したのは、まさに一句鉄崑崙、虚空をして希有と叫ばしむるものである。まことに神皇正統記は、前に遠く建国創業を望み、後にはるかに明治維新を呼ぶところの国史の中軸にして、この書ひとたびいでて大義名分の存するところ、炳乎として千載に明らかになった(前掲書、19-20頁)

大川周明によれば、中国の「王は百代しか継続しない」という、当時のグローバルスタンダードであるドクトリンをそのまま鵜呑みにする慈円のような人物は、いくら知識をもっていても日本的なるものの「事柄の本質」がわかっていないことになる。これに対して北畠親房は「大日本者神國也」という他国にはない日本国家の存在根拠、伝統的なことばで言う国体の「事柄の本質」を把握しているので、中国の学説によって、日本の皇統が途絶えてしまうのではないかなどと惑わされることがないのである。

 


解説

改革は歴史に学ぶことから始まる。非歴史的な、あるいは歴史を超越して、いつでもどこでも通用するような改革のドクトリンは、本質的なところでは役に立たないと断言する。

賛同します。


獅子風蓮


氷川きよしの「信心告白」

2024-12-09 01:16:07 | 創価学会・公明党

私は、氷川きよしさんを応援しています。
別のところ(獅子風蓮の夏空ブログ)で、こんな記事を書いたこともあります。

自分らしく生きるということ:氷川きよし 「ボヘミアン・ラプソディ」(2022-01-28)

苦労をかけた母への思い:氷川きよし「ヨイトマケの唄」(2022-01-29)

母への思い:氷川きよし「母」(2022-01-30)

そういえば長井秀和は自分の選挙運動を有利にするため各種のメディアに露出し氷川ら、かつての仲間を売っていました。長井秀和の人間性を疑います。
現在もその習癖は治っていません。

長井秀和に対しては違和感を通り越して軽蔑しています。その1(2022-12-24)


さて、d-マガジンで興味深い記事を読みました。

引用します。


女性セブン2024年12月5日号

氷川きよし
「壮絶いじめと信心」告白
人との違いへの葛藤、活動休止に「留学」――赤裸々に語った理由

スターの長期不在を寂しく思っていた人も少なくないだろう。有言実行の氷川きよしが2年ぶりに帰ってきた。氷川の紅白のテーマは「これからの人生の生きる力」。休養生活で振り返った人生の浮き沈みと恩師への思い――


「必ず帰ってきます!」

'22年の大晦日に放送された『NHK紅白歌合戦』。
不死鳥をイメージした巨大なセットで『限界突破×サバイバー』を熱唱し、圧巻のパフォーマンスを見せた氷川きよし(47才)はそう力強く宣言した。
あれから2年、氷川の予言が現実のものとなる。
「今年の紅白に氷川さんが出場することが決まりました。'00年から23年連続出場した思い入れのある番組だけに、本人も再出場を強く希望していたそうです。当日は紅組でも白組でもない特別企画で、性別を超えた歌い手として美声を披露するようです」(テレビ局関係者)
2年ぶりとなる大晦日の歌唱。その裏には秘められ た思いがあった――
     *
《自分を見つめなおし、リフレッシュする時間をつくりたい≫――そうコメントを残し、'23年1月から歌手活動を休養していた氷川。
今年8月、東京ガーデンシアターでのコンサートでステージ復帰を果たし、12月には2年ぶりのカレンダーを発売するなど、“完全復活”の日が近づいている。
そんな彼の「心の声」が聞ける、と話題なのが、11月14日に発売された雑誌『ワールド セイキョウ VOL.5』だ。冒頭から8ページにわたり《ありのままの私でいる「勇気」》というタイトルの氷川のスペシャルインタビューが掲載されている。
「一般にはあまり知られていませんが、創価学会の活動を広めることを主旨に作られている雑誌です。発行部数は100万部にものぼり、著名人のインタビューも多く掲載されてきました。
創価学会の池田大作名誉会長は昨年11月15日に95才で他界しましたが、その一周忌と重なるタイミングで世に出る“特別号”のトップに氷川さんが登場したのです」(芸能関係者)
氷川にとっても格別な機会だったのだろう。スペシャルインタビューでは、これまで抱えていた苦悩を包み隠さず明かした。
「インタビューのなかで氷川さんは、幼い頃からきれいな物が大好きで女の子とばかり一緒にいたことや、周りの人との違いに葛藤していたことを告白。小学校では『オカマ』『貧乏人』『デブ』といったひどい言葉を投げかけられ、自身の吃音がいじめのきっかけとなったことも明かしました。
時には叩かれたりすることもあったといい、保健室にこもり、誰にも相談できない日々が続き、生きていくことすら嫌になったそう。そんなつらい時期に心の支えとなったのが池田氏の言葉でした。氷川さんは、聖教新聞や学会の書籍を通して池田氏に励まされ、“自分の歌で人に勇気や希望を与えていきたい”と思うようになったとも話していました」(前出・芸 能関係者)
歌手デビュー後には周囲がとらえる「氷川きよし」と自分自身とのギャップに悩んだが、池 田氏に「世界の芸術博士に! 氷川くん! 頑張れ!」と激励されて生涯の指針にしたという。
氷川は池田氏の一周忌について同誌でこう語った。
《今でも私の中には、先生が残してくださった多くの言葉があります。胸中の先生と常に一緒なのです。これからも、いつも見守り続けてくださった先生への報恩感謝の心を忘れず、自分らしく歩んでいきます》(『ワールド セイキョウ VOL.5』)
前出の芸能関係者が語る。
「ほかにも氷川さんは、高齢の両親が病気を抱えていることや、活動休止中にアメリカやイギリスに“留学”して現地の多様な創価学会メンバーと交流し、『自分もありのままでいいんだ』と自己肯定できたことに言及しました。
過去のインタビューでいじめや希死念慮などを部分的に語ったことはありますが、氷川さんがここまで赤裸々に自らの体験や信心を明かしたのは初めてです。これから先、自分の人生の“新たな章”を進めていく決意の表れなのでしょう」

(以下省略)

 


解説

私は、アンチの立場ではありますが、氷川きよしさんのように信仰によって支えられた人の体験を否定するものではありません。

ある巨大アンチブログでは、創価学会は宗教ではなく詐欺である、これを認めない人とは対話しないと言われ、追い出されてしまいました。

確かに、ある時期から創価学会の組織は、会員から時間とカネと票を奪い取る組織に変質していったところがあります。

しかし、そういう弊害を取り除いた、根っこの信仰の部分に救われた人は、少なくないのではないでしょうか。

私の母がそうだったように。


獅子風蓮


分断の向こうでは見える景色が全く違う。

2024-12-08 01:48:32 | 芸能人・有名人

d-マガジンで、興味深い記事を読みました。

引用します。


週刊文春 11月28日号

言葉尻とらえ隊 622
能町みね子
泣きそうなくらい嬉しいお言葉

非常に独りよがりな話で恐縮ですが、本来だったら「直撃世代」の私は、偶然ジャニーズタレントにも松本人志にも夢中にならなかった人生でよかった、と心から思っている。幼い頃から影響を受けていたら、ここ数年の事態をとても正視できないよ。
11月8日、松本人志は、自らの性加害報道について5億5千万円の法外な賠償金と謝罪広告を求めた訴えを取り下げた。何一つ要求が通らなかったので、実質的に負け。
しかし、その件についてのコメントでは「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認」と、初めから無いことがほぼ分かっていた「物的証拠」について最初に言及して潔白性を仄めかそうとしたり、被害を訴えた女性を探偵に尾行させたことがあるのに「参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば」お詫びすると謝罪対象が仮定だったり、往生際が悪い。
東スポによれば、松本側は「松本人志さんの名誉を著しく毀損して多大なご迷惑をおかけしましたので、記事を取り消し、お詫び申し上げます」などの謝罪文を文春側に提示させようとしていたらしいけど、訴えを取り下げたので、文春は記事を取り消す必要がない。だから、性加害を報じる記事はなんとすべてネット上に残っている。改めて読んでみると、もしこれが嘘だとしたら絶対に取り消すべき、とんでもない名誉毀損になる内容である。こんなものを取り消させることすらできなかったということは……事実はお察しください、ということですよね。
松本が「事実無根なので闘いまーす」と人を小バカにした口調で宣言した末のこの醜態、いくらファンでも失望すべき事態だ……が、復帰を心待ちにしている芸人やファンには、理不尽に活躍の場を奪われた松ちゃんの勝利宣言に見えてしまうらしい。分断の向こうでは見える景色が全く違う。くしくもXでは、兵庫県の元知事・斎藤元彦が虚報で貶められたとかたくなに信じる人たちによる、「#さいとうさん生まれてくれてありがとう」という宗教チックなハッシュタグがバズり、気味の悪い状況になっている。
さて、一連の記事を改めて読んで、実名と顔を出して過去の被害を告白した人がいたのを思い出した。現在はフードコーディネーターの大塚里香。Xを見ると、最近「(松本側が)被害者女性に謝罪する方針だそうです、(略)おめでとうございます!」というリプライをもらい「泣きそうなくらい嬉しいお言葉ありがとうございます」と返している。
大塚里香は、告発した頃、松本ファンから「売名」「金タカリ」などと大変な中傷を受けていたが、叩いた人たちも大半はもう名前も覚えていないだろう。言うまでもなく、こんなことで注目されて儲かるわけがない。実際、今回のやりとりも全く読まれていない。孤独な、自分の尊厳のためだけの闘いで、松本が謝罪したところで具体的な利益なんか何もないけれど、それでも尊厳が回復されるのは泣きそうなくらい嬉しいのだ。


解説

私は「分断の向こうでは見える景色が全く違う。」という言葉に反応しました。

なるほど松ちゃんファンから見ると、あの謝罪文も勝利宣言に見えてしまうという。

斎藤元彦兵庫県知事のファンからみると、すべての報道が事実無根の斎藤バッシングに見えてしまうらしい。

前回取り上げたケネディJr.の閣僚入りも、海さんのような反ワクチン・陰謀論者からすると、好ましい出来事になるのだろうか。


獅子風蓮


ケネディJr.が閣僚入りする本当のヤバさ

2024-12-07 01:26:35 | 反ワクチン・陰謀論

d-マガジンで、興味深い記事を読みました。

引用します。


ニューズウィーク日本版 11月26日号

ケネディJr.が閣僚入りする本当のヤバさ

トランプ次期大統領が11月14日、ロバート・ケネディJr.を保健福祉長官に起用すると発表した。トランプは6日の大統領選勝利演説でも既に、ケネディが「アメリカを再び健康にする」と述べていた。
本当に人々の健康は改善するのか。ケネディは、筋金入りの陰謀論者として知られている人物だ。1963年に伯父のジョン・F・ケネディ大統領(当時)を暗殺したのはCIAだと主張 するなどしてきたが、最も活発に訴えているのが医療関連の陰謀論だ。
現時点でワクチン接種を禁止する方針は打ち出していないが、新型コロナワクチンやその他のワクチン全般の安全性を疑うなど、陰謀論的な発言を繰り返してきた。
大統領選直前には、新政権で水道水へのフッ素(ムシ歯予防効果がある)の添加を取りやめるよう勧告したいと述べていた。陰謀論者たちは、フッ素が健康に悪影響を及ぼすと主張し続けている。
トランプ自身は、ワクチンやフッ素について公的に発言していない。おそらく大統領選でケネディの支持を得たかっただけで、アメリカ国民の健康には大して関心がないのだろう(ケネディは大統領選に無所属で出馬していたが、8月に撤退してトランプ支持に回った)。
大統領といえども全てを好き勝手に決める権限はない。国民のワクチン接種が阻まれたり、水道水へのフッ素の添加が禁止されたりすることはないだろう。それでも、ケネディの保健福祉長官就任は、アメリカ政府で客観的事実に基づいた意思決定がさらにないがしろにされることを意味する。
ケネディは、これまでさまざまな陰謀論を唱えてきた。一握りの大富豪が製薬会社と結託して、アメリカ国民をコントロールしようとしているという考え方を広めている。また、ワクチンが子供の自閉症に関連していると本気で信じていて、Wi-Fiが癌を引き起こす可能性があると根拠もなく決め付けている。
新型コロナワクチンをめぐる虚偽情報の拡散に関しては、トランプのさらに上を行く。新型コロナワクチンにより何百人もが死亡したと主張。アメリカの新型コロナ対策を主導したアンソニー・ファウチ元首席医療顧問を「欧米の民主政治に対する歴史的なクーデターの黒幕」と呼び、彼を刑事裁判にかけるべきだとも述べている。

荒唐無稽な主張はこれだけにとどまらない。起業家で大富豪のビル・ゲイツが新型コロナワクチンにより人々の体にマイクロチップを埋め込み、人々の行動を追跡しようと企てているとか、新型コロナが白人や黒人など「特定の民族攻撃」して、東欧系ユダヤ人と中国人を救うための「生物兵器」であるとも示唆してきた。
医学の分野での陰謀論は時に大きな危険をもたらす。2019年には南太平洋のサモアではしかが流行し、子供を中心に8人の命が失われた。ケネディにたきつけられた反ワクチン派の活動により、ワクチン接種率が低下した影響があったことは間違いない。ケネディは、医学界が長年の研究と膨大なデータにより到達した結論を否定しようとする。トランプがそのような陰謀論者を政府の要職に就けたことの意味は重い。
第2次トランプ政権の誕生は、個別の政策の変更だけでなく、人々の心に疑念を植え付け、混乱をあおることによっても社会に大きな脅威を及ぼすのかもしれない。


解説

日本の反ワクチン・陰謀論者の言説も、その多くはケネディJr.などのアメリカの複数の陰謀論者に源を求めることができると言われています。

そういえば、この記事にみられるいくつもの陰謀論は、私のよく知る毒舌ブロガー海さんが口にしていたものと同じですね。

このような人物が、トランプ次期大統領により保健福祉長官に起用されると知り、私はトランプ氏の不見識に驚きました。

かつてアメリカは日本にとって民主主義の先生の立場の国でしたが、今では呆れるばかりの国に成り下がったと思います。


獅子風蓮