アメリカではアイアンのキレ、黙々と練習する姿、無骨な言動などから「サムライ」とも称されるが、常に“日本人初”を達成し続ける男は、自分が日本人だということをどのくらい意識しているのか。
「日本代表として行っているので、もちろん日本人だということは感じていますけど、あまり意識はしませんね」
感じてはいるが意識はしない。これこそが松山英樹たるゆえんだ。以前、最大の目標、メジャー優勝について聞いたときも「目標ですけど、あまり思いすぎてもよくないですしね」と語っていた。結果、その目標は達成されるのだ。そして松山は常に「変化」しているように見える。まず、トレーニングで体が大きくなった。フェースの向きをシャットにしてみたり、クラブを縦に使ってみたり。体、スウィング……様々なことを変えるのに怖さはないのかと聞くと「もちろん変化は必要です。でも怖いとは思わないですね」と答えた。
では、松山英樹はどんなふうに変化してきたのだろうか。手がかりをつかむため、2018年時とまったく同じ質問をぶつけてみた。
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――1番ホールで叩いたときの気持ちの切り替え方は?
松山 まだ17ホールあるので取り戻せばいいと考える。いくつ叩くかにもよりますけど(笑)。18ホールで叩くボギー、ダボを1ホールで打っちゃったと思えば、取り返す方法もあります。
――優勝を決めるパットは緊張しますか?
松山 はい。対応は簡単にはできませんよ。なるようになるということ。でも、過去の自分の経験であったり、こういう結果が出るならこういう対策をしながら練習する、などがあると思うので、そこをしっかりと試合でもやり通せるか通せないか。できなかったらまた、練習すればいいですしね。
――試合のときのティーオフまでのルーティンは?
松山 だいたい決まっています。1時間40分くらい前にコースに着き、ティータイムにもよりますけど1時間25~30分前から練習開始。15~20分パター、30~40分ショット、15~20分アプローチ、残り20分をパター。時間の長さは自分の状態によっても変わります。
――自分で考える自分の武器や強さは?
松山 うーん、ないです。
――ゴルフで一番大事なことは?
松山 なんだろう……気持ち(笑)。
――アメリカで戦うに当たり、一番必要なものは?
松山 気にしないことです。
――アメリカで一番大変なことは?
松山 移動かな。やっぱり大変です。