似非レトロではなく、本当に懐かしい雰囲気のお店に心惹かれるわたくし。
今回紹介する『栄華』さんは、私が知る限り、もっとも「古き良き日本」を感じさせるお店である。
場所は所沢駅を出て、プロぺ通りを突っ切り、ちょっと進んだファルマン通りにある。
なお、プロぺはプロペラ、ファルマンは日本で初めて飛んだ飛行機の名称とのこと。
日本で初めて飛行場を開設した、航空発祥の地・所沢市らしいネーミングである。
ファルマン通りに到着した私は、いつの間にか飛行機ではなく、タイムマシンに乗せられていた模様。
近くにはタワーマンションも見えるのに、目の前にはなぜか、昭和の食堂が建っている。
初訪問時は、その、あまりにもオールドファッションすぎる外観(←言葉選んでるよ)に、
同行した友人と思わず顔を見合わせ、「どうする?」「…やめておこうか」と、入店することなく退散し、
近所の老舗中華食堂『早池峰亭』に行った記憶がある。
それから数年後、ネット記事や他人のブログなどで栄華さんの情報を入手し、
所沢在住の友人(さっきの友人とは別人)と、昼間の明るい時間に再訪してみることに。
ファルマン通りから入る脇道に、下記のサビついた看板があり、下部分の矢印に従い数歩進めば、
最初に紹介した、真っ赤なファザードの店舗がある。時刻は13時頃。意を決して入店。
女将さんに「お好きなお席にどうぞ」と声をかけられ、入口近くのテーブル席に座らせていただく。
昼酒を楽しんでいる先客がいたので、我々も遠慮なく、「ビール」(大瓶)700円と「レモンサワー」400円を注文。
ドリンクと一緒に、冷奴のお通しが出てきた。
料理の注文をする前に、店内壁に掲示してあるメニューを紹介。
まずは、我々のテーブルのすぐ横にある、ご飯ものや定食など。右端の「ライス」は250円。
こちらは、先客の退店後に撮影した、麺類や一品料理。「ラーメン」400円は格安だが、近年まで350円だったとか。
※毎度のことながらピンボケ失礼
まずは「野菜いため」400円と、「餃子」250円×2を注文。
しばらくすると、焼き上がった餃子が、市販のタレと一緒に提供され、
その数分後、野菜炒めもやってきた。お皿に謎の粉末が付着しているが、気にしない。
こんがり焼かれた餃子は、中身がほぼ野菜でニンニクもちゃんと効いている。
野菜炒めは、シャキッとした歯応えが残っている。家庭では出せない、強火で仕上げる中華食堂ならではの味わいだ。
こりゃイケる、と酒が進み、友人はレモンサワーを、私はウーロンハイ400円を追加注文。
目の前のTVでは、選抜高校野球を放映していた。野球を観ながら飲むビールは格別だね。
あと、TVの周辺に置いてある、旧式のラジカセが泣かせる。ウチにも昔、こういうのがあったなあ。
しばらくすると、調理を終えた旦那さんが、厨房から出てきて、我々と一緒に高校野球を観戦。
中継中の試合の状況や、地元埼玉勢の勝ち上がりなどを質問されたので、応じていたところ、
「オレも昔は、野球やっていたんだ」と言い残し、店内の奥に引き返すと、
下記のメダルを持ってきてくれた。「大宮の草野球チームで試合したときにもらった」とのこと。
メダルには「1961」と印字。今から61年前(昭和36年)だ。旦那さんの現在の年齢を聞いたら…ビックリ!
あの御歳で、鍋振りなどの調理をこなし、バイクで出前にも出かけるとは…。
旦那さんはさらに、当時使っていたという木製バットも見せてくれた。普通の袋に無造作に入れてあったので、
友人が「ちゃんとした箱とかで保管した方がいいのでは…」と告げる。申しわけないが、私もそう思った。
※袋からバットを取り出し、周囲のお客にも披露する旦那さん
「こちらのお店は、なんかの映画の撮影にも使われたんですよね」と私が質問すると、
旦那さんは「よく聞いてくれた!」とばかりに、下記の看板を持ってきてくれた。
暗くてわかりづらいが「検察側の罪人」という作品で、二宮和也や吉高由里子が来店したらしい。
さらに、テレビ東京「モヤモヤさまぁ~ず」ロケ時の記念撮影と、サイン色紙も見せてくれた。
その裏には、放映後にテレ東から送られてきた、「取材の御礼」の手紙もあった。
文の内容については明かさないが、テレ東のスタッフは誠実である。これからも「アド街」とか観るよ!
ここで女将さんも会話に加わる。旦那さんも自分も福岡県の出身で、同じ中学校で、お見合い結婚で…と、
初入店の我々に対しても、いろいろと語ってくれた。女将さん自身も野球好きのようで、
地元の西武ライオンズや、親類が通っていた日大二高の試合も、よく生観戦しているらしい。
「日大二は数年前、決勝まで行ったんだけどねえ…」という女将さんに、「2009年ですね」と即答する私。
「あら、よく覚えてるわねえ」と驚かれたが、私もその試合を球場で観ていたので。
ちなみに、結果はこちら。まあ、OBが優秀だからねえ…ムフフフ。
しばらくして、友人がツマミの追加を提案し、「麻婆豆腐をください」と、女将さんにお願いしたところ、
旦那さんに聞こえないよう小声で「あまりおススメできない」と教えてくれた(笑)。これ、書いたらマズいかな。
忠告に従い、「うまに」750円に変更。八宝菜というか、中華丼のアタマ部分、といった料理だ。
さっき頼んだ、野菜炒めと重なる具も多いが、妙に歯応えのいい食材が入っている。
くわいかと思ったら、なんと山芋であった。中華の食材に使われるのは珍しいよね。
お話し好きの女将さんに、「ラーメンも餃子もなぜこんなに安いんですか?」と質問をしてみた。
「あの人(旦那)が値段上げないって言うもんだから…もう何年も前から変わっていない」だって。
事実、これは壁に貼ってある、雑誌に紹介された記事のコピーだが、
「昭和40年からの営業で、お店は当時のまま」と文頭で説明し、最後にメニューを紹介しているが、
ラーメン350円、餃子(6個)250円、チャーハン550円、他と、先述したようにラーメンだけ50円値上げ。
旅行雑誌「じゃらん」に掲載された記事のようだが、発行は1999年!
消費税率や物価が上昇する中、23年間値上げしていないのである!
女将さん曰く「チャーハンはサラダを付けるようになったから、むしろ値下げ」と補足。
そういえば、別の壁メニューには「御飯物には生野菜(サラダ)が付いてきます。」との説明があった。
栄華の旦那さんも女将さんもおそらく、客が野菜不足にならないよう気遣ってくれているのだ。
そもそも昔の飲食店は、客と店員の関係が、今よりも親密であった。
愛想の良し悪しはともかく、学生や若者客には「しっかり勉強しなさいよ」「野菜残すんじゃないよ」などと、
叱咤激励してくれるおばちゃんや、厨房から声掛けしてくれるオヤジさんがいたものである。
チェーン店が増え、飲食店では注文や会計など、最低限の会話しかなくなった現在において、
こちらのご夫婦のように、コミュニケーションを取ってくれる方がいるお店は貴重である。
栄華さんは、店舗内外の見た目や料理の価格たけでなく、お客との距離感も昭和のままであった。
おふたりとの会話で酒が進んだが、その後、電話を受けた旦那さんが「急用ができた」とのことで、突然の店じまい。
2時間ほど滞在し、結構酔っぱらっていたので、ちょうどよかった。「また来ますね」とご夫婦に告げて退散。
その後『百味』で飲み、カラオケで歌い、私も友人もベロベロになり解散。
酔った友人が、私に有り金を預けやがったので、数日後、返金するため再び所沢へ。待ち合わせ場所は当然、栄華さんだ。
再度タイムマシンに乗り、昭和40年から変わらぬたたずまいのお店へ。
「前回はゴメンなさいね」と謝る女将さんに、気にしないでくださいと返答し、ふたりともさっそくウーロンハイを注文。
おつまみとして、私は「ワンタン」400円、友人は「焼肉定食のオカズ単品」を注文。
ワンタンは、想像どおりのビジュアル。具材はワンタン、チャーシュー、メンマ、ナルト、小松菜にネギ。
焼肉単品は、お店推奨の「生野菜」がたっぷり。なお、定食だと800円だが、単品の価格は不明。
ひと口もらった焼肉は、生姜の風味と甘じょっばいタレが相まって、めちゃくちゃウマかった。肉だけお替わりしたい!
一方、私が頼んだワンタンも、なかなかの絶品。醤油味のスープは、油は少なく臭みもなく、
けれども味に物足りなさはない、余計なモノを抜き去った、徹底した引き算のスープだ。
このスープ、炒飯とかご飯もののお供に最適だと思う。同額の「ラーメン」も、絶対ウマいだろうね。
主役のワンタンは計10個も入っており、昭和らしい、中身のひき肉が不在のモノ(笑)もあったが、
それはそれで、うどんのようで美味しく食べられた。400円という安価ながら、大満足である。
追加オーダーとして、前回から気になっていた、「麻婆豆腐」をお願い。
女将さんに「他とはちょっと違うけど…いいの?」と再確認されたが、「構いません!」と応える。
しばらくして、お肉とシメジが入った、栄華風麻婆豆腐が登場。単品価格はこれまた不明。
会計時、焼肉と麻婆の合計が1300円と判明したので、どちらも定食800円・単品650円かと予想される。
肝心の味の方は…トマトケチャップ由来のためか、辛くはなく甘酸っぱいテイスト。
女将さんが忠告したとおり、明らかに一般的な麻婆豆腐とは異なるテイストであった。
今回も女将さんと会話し、所沢市長がよく来店すること、最近、扇風機をやめて冷房を設置したこと(夏場は大変だった様子)、
たまに娘夫婦が手伝いに来てくれるが、彼女たちにも本業があるので、後継ぎはいないこと、なども教えてもらった。
後継者問題は、どのお店も抱えている悩みである。廉価チェーンがはびこり人件費も高騰する時代において、
労働時間が長く、薄利多売(特に栄華さんは)で儲けが少なく、しかも夏場はクソ暑い、
街中華を引き継ぎ、心身ともに健康な生活をしていくのは、相当大変なはずだから。
栄華さんの営業が、一日でも長く続くことを願いながら、我々はウーロンハイをお替わりしまくった。
時間はどんどん過ぎていき、22時を超えた。食べログでは22時閉店と記載されていたが…。
旦那さんに閉店時間を聞いてみたところ、「お客さんがいる間は閉めない」だって。
これぞ昭和の飲食店! と感激したものの、さすがに申しわけないのでお会計。
常連らしき客が残っていたし、店主が許してくれるとはいえ、あんまり長居するのも悪いしね。
店を出ると、プロぺ通りにはいつものように、バカそうな呼び込みが跋扈している。
時空を超えて現世に戻ってきたことを、イヤでも再認識させられる瞬間である。嘆かわしいねえ…。
栄華
埼玉県所沢市御幸町2-15
西武線所沢駅から徒歩約8分
営業時間 11時~22時くらい
定休日 不定休
※繰り返しになるけど、ご夫妻のためにも、極端な長居は避けてください
今回紹介する『栄華』さんは、私が知る限り、もっとも「古き良き日本」を感じさせるお店である。
場所は所沢駅を出て、プロぺ通りを突っ切り、ちょっと進んだファルマン通りにある。
なお、プロぺはプロペラ、ファルマンは日本で初めて飛んだ飛行機の名称とのこと。
日本で初めて飛行場を開設した、航空発祥の地・所沢市らしいネーミングである。
ファルマン通りに到着した私は、いつの間にか飛行機ではなく、タイムマシンに乗せられていた模様。
近くにはタワーマンションも見えるのに、目の前にはなぜか、昭和の食堂が建っている。
初訪問時は、その、あまりにもオールドファッションすぎる外観(←言葉選んでるよ)に、
同行した友人と思わず顔を見合わせ、「どうする?」「…やめておこうか」と、入店することなく退散し、
近所の老舗中華食堂『早池峰亭』に行った記憶がある。
それから数年後、ネット記事や他人のブログなどで栄華さんの情報を入手し、
所沢在住の友人(さっきの友人とは別人)と、昼間の明るい時間に再訪してみることに。
ファルマン通りから入る脇道に、下記のサビついた看板があり、下部分の矢印に従い数歩進めば、
最初に紹介した、真っ赤なファザードの店舗がある。時刻は13時頃。意を決して入店。
女将さんに「お好きなお席にどうぞ」と声をかけられ、入口近くのテーブル席に座らせていただく。
昼酒を楽しんでいる先客がいたので、我々も遠慮なく、「ビール」(大瓶)700円と「レモンサワー」400円を注文。
ドリンクと一緒に、冷奴のお通しが出てきた。
料理の注文をする前に、店内壁に掲示してあるメニューを紹介。
まずは、我々のテーブルのすぐ横にある、ご飯ものや定食など。右端の「ライス」は250円。
こちらは、先客の退店後に撮影した、麺類や一品料理。「ラーメン」400円は格安だが、近年まで350円だったとか。
※毎度のことながらピンボケ失礼
まずは「野菜いため」400円と、「餃子」250円×2を注文。
しばらくすると、焼き上がった餃子が、市販のタレと一緒に提供され、
その数分後、野菜炒めもやってきた。お皿に謎の粉末が付着しているが、気にしない。
こんがり焼かれた餃子は、中身がほぼ野菜でニンニクもちゃんと効いている。
野菜炒めは、シャキッとした歯応えが残っている。家庭では出せない、強火で仕上げる中華食堂ならではの味わいだ。
こりゃイケる、と酒が進み、友人はレモンサワーを、私はウーロンハイ400円を追加注文。
目の前のTVでは、選抜高校野球を放映していた。野球を観ながら飲むビールは格別だね。
あと、TVの周辺に置いてある、旧式のラジカセが泣かせる。ウチにも昔、こういうのがあったなあ。
しばらくすると、調理を終えた旦那さんが、厨房から出てきて、我々と一緒に高校野球を観戦。
中継中の試合の状況や、地元埼玉勢の勝ち上がりなどを質問されたので、応じていたところ、
「オレも昔は、野球やっていたんだ」と言い残し、店内の奥に引き返すと、
下記のメダルを持ってきてくれた。「大宮の草野球チームで試合したときにもらった」とのこと。
メダルには「1961」と印字。今から61年前(昭和36年)だ。旦那さんの現在の年齢を聞いたら…ビックリ!
あの御歳で、鍋振りなどの調理をこなし、バイクで出前にも出かけるとは…。
旦那さんはさらに、当時使っていたという木製バットも見せてくれた。普通の袋に無造作に入れてあったので、
友人が「ちゃんとした箱とかで保管した方がいいのでは…」と告げる。申しわけないが、私もそう思った。
※袋からバットを取り出し、周囲のお客にも披露する旦那さん
「こちらのお店は、なんかの映画の撮影にも使われたんですよね」と私が質問すると、
旦那さんは「よく聞いてくれた!」とばかりに、下記の看板を持ってきてくれた。
暗くてわかりづらいが「検察側の罪人」という作品で、二宮和也や吉高由里子が来店したらしい。
さらに、テレビ東京「モヤモヤさまぁ~ず」ロケ時の記念撮影と、サイン色紙も見せてくれた。
その裏には、放映後にテレ東から送られてきた、「取材の御礼」の手紙もあった。
文の内容については明かさないが、テレ東のスタッフは誠実である。これからも「アド街」とか観るよ!
ここで女将さんも会話に加わる。旦那さんも自分も福岡県の出身で、同じ中学校で、お見合い結婚で…と、
初入店の我々に対しても、いろいろと語ってくれた。女将さん自身も野球好きのようで、
地元の西武ライオンズや、親類が通っていた日大二高の試合も、よく生観戦しているらしい。
「日大二は数年前、決勝まで行ったんだけどねえ…」という女将さんに、「2009年ですね」と即答する私。
「あら、よく覚えてるわねえ」と驚かれたが、私もその試合を球場で観ていたので。
ちなみに、結果はこちら。まあ、OBが優秀だからねえ…ムフフフ。
しばらくして、友人がツマミの追加を提案し、「麻婆豆腐をください」と、女将さんにお願いしたところ、
旦那さんに聞こえないよう小声で「あまりおススメできない」と教えてくれた(笑)。これ、書いたらマズいかな。
忠告に従い、「うまに」750円に変更。八宝菜というか、中華丼のアタマ部分、といった料理だ。
さっき頼んだ、野菜炒めと重なる具も多いが、妙に歯応えのいい食材が入っている。
くわいかと思ったら、なんと山芋であった。中華の食材に使われるのは珍しいよね。
お話し好きの女将さんに、「ラーメンも餃子もなぜこんなに安いんですか?」と質問をしてみた。
「あの人(旦那)が値段上げないって言うもんだから…もう何年も前から変わっていない」だって。
事実、これは壁に貼ってある、雑誌に紹介された記事のコピーだが、
「昭和40年からの営業で、お店は当時のまま」と文頭で説明し、最後にメニューを紹介しているが、
ラーメン350円、餃子(6個)250円、チャーハン550円、他と、先述したようにラーメンだけ50円値上げ。
旅行雑誌「じゃらん」に掲載された記事のようだが、発行は1999年!
消費税率や物価が上昇する中、23年間値上げしていないのである!
女将さん曰く「チャーハンはサラダを付けるようになったから、むしろ値下げ」と補足。
そういえば、別の壁メニューには「御飯物には生野菜(サラダ)が付いてきます。」との説明があった。
栄華の旦那さんも女将さんもおそらく、客が野菜不足にならないよう気遣ってくれているのだ。
そもそも昔の飲食店は、客と店員の関係が、今よりも親密であった。
愛想の良し悪しはともかく、学生や若者客には「しっかり勉強しなさいよ」「野菜残すんじゃないよ」などと、
叱咤激励してくれるおばちゃんや、厨房から声掛けしてくれるオヤジさんがいたものである。
チェーン店が増え、飲食店では注文や会計など、最低限の会話しかなくなった現在において、
こちらのご夫婦のように、コミュニケーションを取ってくれる方がいるお店は貴重である。
栄華さんは、店舗内外の見た目や料理の価格たけでなく、お客との距離感も昭和のままであった。
おふたりとの会話で酒が進んだが、その後、電話を受けた旦那さんが「急用ができた」とのことで、突然の店じまい。
2時間ほど滞在し、結構酔っぱらっていたので、ちょうどよかった。「また来ますね」とご夫婦に告げて退散。
その後『百味』で飲み、カラオケで歌い、私も友人もベロベロになり解散。
酔った友人が、私に有り金を預けやがったので、数日後、返金するため再び所沢へ。待ち合わせ場所は当然、栄華さんだ。
再度タイムマシンに乗り、昭和40年から変わらぬたたずまいのお店へ。
「前回はゴメンなさいね」と謝る女将さんに、気にしないでくださいと返答し、ふたりともさっそくウーロンハイを注文。
おつまみとして、私は「ワンタン」400円、友人は「焼肉定食のオカズ単品」を注文。
ワンタンは、想像どおりのビジュアル。具材はワンタン、チャーシュー、メンマ、ナルト、小松菜にネギ。
焼肉単品は、お店推奨の「生野菜」がたっぷり。なお、定食だと800円だが、単品の価格は不明。
ひと口もらった焼肉は、生姜の風味と甘じょっばいタレが相まって、めちゃくちゃウマかった。肉だけお替わりしたい!
一方、私が頼んだワンタンも、なかなかの絶品。醤油味のスープは、油は少なく臭みもなく、
けれども味に物足りなさはない、余計なモノを抜き去った、徹底した引き算のスープだ。
このスープ、炒飯とかご飯もののお供に最適だと思う。同額の「ラーメン」も、絶対ウマいだろうね。
主役のワンタンは計10個も入っており、昭和らしい、中身のひき肉が不在のモノ(笑)もあったが、
それはそれで、うどんのようで美味しく食べられた。400円という安価ながら、大満足である。
追加オーダーとして、前回から気になっていた、「麻婆豆腐」をお願い。
女将さんに「他とはちょっと違うけど…いいの?」と再確認されたが、「構いません!」と応える。
しばらくして、お肉とシメジが入った、栄華風麻婆豆腐が登場。単品価格はこれまた不明。
会計時、焼肉と麻婆の合計が1300円と判明したので、どちらも定食800円・単品650円かと予想される。
肝心の味の方は…トマトケチャップ由来のためか、辛くはなく甘酸っぱいテイスト。
女将さんが忠告したとおり、明らかに一般的な麻婆豆腐とは異なるテイストであった。
今回も女将さんと会話し、所沢市長がよく来店すること、最近、扇風機をやめて冷房を設置したこと(夏場は大変だった様子)、
たまに娘夫婦が手伝いに来てくれるが、彼女たちにも本業があるので、後継ぎはいないこと、なども教えてもらった。
後継者問題は、どのお店も抱えている悩みである。廉価チェーンがはびこり人件費も高騰する時代において、
労働時間が長く、薄利多売(特に栄華さんは)で儲けが少なく、しかも夏場はクソ暑い、
街中華を引き継ぎ、心身ともに健康な生活をしていくのは、相当大変なはずだから。
栄華さんの営業が、一日でも長く続くことを願いながら、我々はウーロンハイをお替わりしまくった。
時間はどんどん過ぎていき、22時を超えた。食べログでは22時閉店と記載されていたが…。
旦那さんに閉店時間を聞いてみたところ、「お客さんがいる間は閉めない」だって。
これぞ昭和の飲食店! と感激したものの、さすがに申しわけないのでお会計。
常連らしき客が残っていたし、店主が許してくれるとはいえ、あんまり長居するのも悪いしね。
店を出ると、プロぺ通りにはいつものように、バカそうな呼び込みが跋扈している。
時空を超えて現世に戻ってきたことを、イヤでも再認識させられる瞬間である。嘆かわしいねえ…。
栄華
埼玉県所沢市御幸町2-15
西武線所沢駅から徒歩約8分
営業時間 11時~22時くらい
定休日 不定休
※繰り返しになるけど、ご夫妻のためにも、極端な長居は避けてください
いろいろなメニュー情報、参考になります。
麻婆豆腐はそう来ましたか。
昔、ケチャップ味の担々麺というのを食べたことがあって、ビミョー… というのを覚えてます。
斜向かい「奈美喜だんご屋」のご主人が志村けんさんのお兄さんと大学の同級生で、毎年“ところざわまつり”の夜に「栄華」に集まって飲むのが恒例だったと、奥さんがおっしゃってました。
3年連続中止となっているお祭りですが、今年はどうなんでしょう…。
コメントありがとうございます。
東大和市駅の南側にある『傑作』というお店でも、
似たような味の麻婆豆腐が食べられるはずです(笑)。
当時は、天津飯のタレと間違えたのかな…なんて思いましたが。
団子屋さんには気づきませんでしたが、
栄華さんの手前のとんかつ屋さんは、いいお店のようですね。
所沢も、駅から少し歩くと、良店がたくさんあるようで、
面白い街ですね。