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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

人生最初の回鍋肉を、最後の店舗で再び 『東秀』田無店

2023年03月16日 | 中華食堂
先日、日本の中華料理人の第一人者である、陳建一さんがお亡くなりになった。
「中華の鉄人」としてバラエティ番組で活躍したり、ご自身の名前を冠した麻婆豆腐店の監修など、
お父様の陳建民さんとともに、中華料理の魅力を広めた功績は多大である。ご冥福をお祈りしたい。

陳建民さんが日本に紹介したとされる料理が、麻婆豆腐、エビチリ、担々麺、回鍋肉である。
どれも大好きな料理だが、ひとつ選ぶとすれば、ご飯もお酒もススム回鍋肉だ。
今でこそ、「クックドゥ」のCMなどもあり、日本人にもなじみの深い回鍋肉だが、
恥ずかしながら、私は高校生になるまで知らなかった。我が家の食卓や学校給食では出てこなかったし、
近所の中華食堂にも、回鍋肉というメニューはなかったはず。 ※「豚肉とキャベツの味噌炒め」はあったかも
初めて知ったのが、放課後に仲間たちと寄った、中華食堂『東秀』である。
当時『日高屋』はまだなく、『餃子の王将』、『ぎょうざの満洲』、『福しん』なども行動範囲に店舗がなく、
金欠高校生でも気軽に通える安価な中華チェーンは、JR町田駅近くの東秀しかなかった。
正式名は『中華東秀』らしいが、我々はずっと「とうしゅう」と呼んでいたので、以下でもその名称で統一する。

ある日、私がいつものように餃子と麺類を食べていると、隣席の同級生に、初見の料理が運ばれてきた。
「なにそれ?」とたずねると、同級生は「ホイコール」と返答。「ひと口くれ」と告げると同時に、ハシで奪った料理は、
やや脂っこいけど、コクがあって甘じょっぱい未知の味。思わず「ウマい!」と叫び、さらにもうひと口奪う(笑)。
東秀ではホイコールと呼んでいたその商品こそ、私が人生で最初に食べた回鍋肉であった。

その後は、私も東秀でホイコールを食べるようになり、回鍋肉の漢字表記も覚え、別のお店でも頼むようになった。
たぶん、どのお店でも「ホイコーください」と注文していたはず。ちょっと恥ずかしいな。
拙ブログでも、惜しまれつつ閉店した飯田橋『えぞ松』などで、何度も紹介してきたように、
回鍋肉は、人生で何百回と食べてきたが、どこのお店でもハズレがなく、そこそこ美味しいのに驚かされる。
本場ではキャベツを使わず、もっと辛口らしいが、日本人の口に合うレシピを再構築した、陳さん父子は偉大である。
ここまで文章ばかりなので、画像を掲載。先日利用した、今回タイトルの田無店の入口と、壁の【東秀】ロゴだ。


そんな東秀だが、私自身は、2015年頃、地元立川店が閉店したことで足が遠のいた。
調べてみたところ、近隣の店舗も系列の『オリジン弁当』や『れんげ食堂』などに生まれ変わり、東秀は減少。
驚いたことに、現存する店舗は田無店のみと判明。
個人的には、最大文字↑にするほどの衝撃であり、タイトルの“最後の店舗”も、それを示している。
先日、友人に「田無で飲もう」と提案し、二次会代わりに東秀田無店に付き合ってもらった。

店舗は「田無アスタ専門店街」という施設内にあり、店頭には昔懐かしい料理サンプルを展示。


こちらは卓上メニュー。裏側もあるが、チャーハンや単品料理などが掲載されている面だけを撮影。


「ホイコール」単品は、現在540円(税別、以下同)。高校のときは定食で480円くらいだったかな。


上段には、昭和41(1966)年に千歳船橋で創業、チャーハンの具材が20%増えたことなどが記されている。


上記3枚は、いつものように縮小しているので、ちゃんと見たい人は、HPで確認してほしい。

他店で飲み食いしてきたので、おつまみはお目当てのホイコールと、「餃子」ひと皿程度でよかったのだが、
友人が気を遣い、私の好物「きくらげ玉子炒め」と、2個から頼める「鶏の唐揚げ」を6個で注文。
「そんなに喰えないよ…」と友人にボヤいているうちに、きくらげ玉子炒め510円がやってきた。


続いて鶏の唐揚げ6個720円。2個だと240円と、1個あたりは同額だが、キャベツとマヨが付かない。


さらに国産食材使用の餃子260円が焼き上がり、


最後に、元祖(注:私にとって)ホイコールが満を持して登場。ウマそうな色合いである。


きくらげ玉子炒めは、しょっぱすぎずほど良い味付け。玉子のふんわり感は、さすが中華屋さんである。
唐揚げは、結構大きめサイズ。しっかり味が付いていたが、油のイヤな匂いなどはなかった。
餃子は、国産食材に切り替えた効果なのかはわからんが、皮が薄くなり、以前より美味しくなっていた。
そしてホイコール。豚肉、キャベツ、ネギ、ピーマンに、赤と黄のパプリカを、濃厚で脂っこい甘味噌ダレでまとめてある。
たぶん、過去に何度かレシピを改善しているのだろうけど、やっぱり東秀のホイコールは美味しい。
量が多いと危惧していたが、結局4皿とも残さず食べ切ってしまった。東秀の料理、好きなのかも
私は「ウーロンハイ」、友人は「緑茶ハイ」、どちらも290円を4杯ずつ飲み、「ごちそうさま」。
会計時、ホールのおばちゃんと少しだけ話したが、彼女も「東秀どんどんがなくなっていくのは残念」と語っていた。
現在、東秀のロゴが入ったレシートを発行しているのは、ここ田無店だけであろう。


田無店で食べたホイコールには、先述した具材の他にも、謎の「なにか」が数切れ入っていた。
食感は明らかに肉やキャベツではなく、柔らかめで、噛み締めると旨味があった。
食感だと中華クラゲだが、味はイカやあたりめのような。メンマやホルモンでもないし…聞いておけばよかった。
謎を探るべく、というか系列店の味も確かめたくて、地元のオリジン弁当、正しくは『キッチンオリジン』で、
「回鍋肉」単品430円を購入してみた。袋を持参したので、有料の手提げ袋はもらわなかったが、
容器はすげえ熱々で、手では持てないレベル。袋代3円をケチると、エライ目に遭うよ。


フタを開けて再度撮影。“1日に必要な野菜の半分使用”らしく、野菜不足の私に最適。


ただし、オリジン回鍋肉は豚肉、キャベツ、ネギ、ピーマンだけで、謎の食材は入っておらず。
商品名がホイコールではないように、レシピも違うようで、私は東秀の方がウマいと思った。

その日の夕方、千歳烏山の図書館に用事があり、帰りにこれまた系列店の『れんげ食堂Toshu』烏山西口店を訪問。
入ってすぐの席に座ったら、アナログおやじには面倒な、タッチパネル注文専用席であった。


タッチパネルは不慣れだし、奥の席では口頭注文できたので、そっちに座ればよかった。
卓上にあったメニューから、東秀田無店と同じ面を撮影。たぶん料理も価格も一緒だと思う。


「ホッピーセット」390円と、ここでも「ホイコール」540円を注文。年齢的に、一日2度の回鍋肉はキツイ。
まずはホッピー、続いてホイコールが到着。お皿にはれんげ食堂のロゴが…今確認したら、東秀田無店のお皿にも入ってたか。


東秀では撮らなかった横アングルも。今日はひとり飲みなので、じゅうぶんすぎる量だ。


食材は東秀と同じ、豚肉、キャベツ、ネギ、ピーマンに、赤と黄のパプリカ(←さっきのコピペ)。
タレなどの味付けもおそらく同じで、当然ウマかったのだが、「謎のなにか」は発見できず。
田無店オリジナルレシピの食材なのか、私の気のせいだったのか。どうも後者の可能性が高い。
それでも、すぐに焼酎が飲み終わり、「中」160円を追加。新しいジョッキで出てきた。


運んできたのは、マジメそうな若い女性。さすがは世田谷区、立川市の飲食チェーンとは大違いだ。
ただし、タッチパネル画面や機器の裏側などは、めちゃくちゃ汚かった。
お姉さん、食器を下げる際は、その辺もちゃんと綺麗にした方がいいよ。
なお、この日はシメの食事も食べたので、れんげ食堂については、また改めて語りたい。

れんげ食堂は、「東秀のおしゃれバージョン」のような位置づけと聞いたことがあるが、
HPによると、東秀のトップ画像コピーは「中華の定番をリーズナブルに楽しむ」で、
れんげ食堂は「美味しい中華を楽しむ居心地の良い食堂」となっている。明確な違いはないような。
れんげ独自のセットはあるようだが、さっきも書いたように、基本の料理の味や価格は、変わっていない模様。
接客も、れんげの女性店員さんは好印象だったが、東秀のおばちゃんだって愛想がよかった。
悪いイメージしかない『ワタミ』が、屋号を変えるのはわかるが(やってることは、アレフに改名したオウムと一緒)、
東秀って別にヘマしてないよね? していないから、れんげ食堂「Toshu」と名乗っているのだろうし。
会計時、例の女性に東秀との違いをたずねたところ、「ほとんど同じだと思います」とのことだった。
レシートをもらったけれど、やはり東秀ロゴではなかった。


私が「オリジン弁当」と呼んでいる店舗も、どんどん『キッチンオリジン』に替えているそうだが、
ホイコールだけでなく、青春の思い出(笑)も詰まっている、東秀がなくなってしまうのはさみしい。
親会社のイオンさん、ラスト東秀の田無店だけは、このまま残してください!



中華東秀 田無店
東京都西東京市田無町2-1-1
西武線田無駅から徒歩約1分
営業時間 11時~21時半 21時15分ラストオーダー
定休日 基本なし
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