明るく正しく強いブログ

朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

北海道新幹線とレベッカ 後編

2017年10月17日 | しゃかい
前回のあらすじ。

新幹線の延伸工事を行っている、北海道二海郡八雲町へ取材に行ったときのこと。
いわゆる「町の声」を聞こうと、とある居酒屋さんに入り、レベッカファンの店主と話したところ、
「八雲はダメですよ」と不満げに吐き捨てるではないか。その理由とは?

このあと、店主が語ってくれたことを、以下にまとめてみた。
「地方の田舎はみんなそうかもしれないけど、特に八雲は、新しいモノを受け入れようとしません」
「若い頃は他の場所でも働いたことがありますが、生まれ育ったここ八雲が、最も閉鎖的です」
「だから、若者はすぐ札幌とかに出て行くし、残るのはオレら中高年ばかりで、四十代になった今でも若造扱いされます」
「新幹線ができたら、若者の流出はさらに加速するけど、新たに八雲に移住してくる人は少ないでしょう」
実際、八雲町の人口は年々減少傾向にある。その後は、常連らしきお客さんも加わり、さらなる激論が交わされる。
「新幹線の駅周辺だって、どうせ東京かどこかの大資本の会社が、ビルでも建てるんだろ」
「その新幹線の駅が栄えれば、そっちとは離れた場所にある今の八雲駅、つまりこのお店の周辺は逆に廃れちまう」
「年寄り連中は“町興しのアイデアを出せ”って言うけど、出したって意見が通らねえんだから」
「そうそう。年配者は聞く耳もたないし、新しいことには挑戦しないしさせないし、やってらんねえ」
「町が一枚岩となってないから、現状では新幹線どころじゃないよ」

ムムム…ヨソもんの私にはわからなかったが、新幹線の開業を、町全体で歓迎しているわけではないようだ。
店主が「さっきの“八雲はダメだ”ってのは、そういうことですよ」と念を押すので、
フォローのつもりで、私の浅い知識を駆使し、この町の長所を並べ、称えてみた。
日本で唯一海がふたつあって、自然が豊かで、漁業と酪農が盛んで、食べ物も美味しいのでは…と。
私の意見に対し、常連客が「そのことを知ってる人が、日本中にどれだけいます?」と鋭い指摘。
うっ、言われてみれば確かに私も、取材の前調べをするまで、八雲については全然知らなかった。
「広報も不充分だし、新幹線が来ても利益はみんな他に持ってかれちまうよ!」

う~む。町の生の声を聞くことはできたが、予想以上に厳しい意見だったなあ。
上記セリフ群も、私が修正しているので、実際はもっと、暴言(と方言)混ざりのひどいものだったし
「せっかく東京から来たのに、こんな話聞かせて悪かったね」と店主が申し訳なそうに謝ってきた。
店主や常連客たちも、決して悪い人ではないのは、一緒に飲んでいてわかった。

酔いもまわってきたし、明日も早いので、そろそろ帰ろうと思い、シメに塩ラーメンを注文。
昔、北海道のラーメンについて「札幌は味噌、旭川が醤油、函館は塩」と聞いた記憶があるが、
函館に近い八雲ならば、やっぱり塩ラーメンだろう(←そうかな?)。


東京にある『五稜郭』という函館ラーメンのお店でも、確か麩が入っていたな。
ほど良い塩分と熱々のスープが、身体に浸み込み温まった。全部食べきったところで御会計。
店主とは「次回はレベッカについて語りましょう」と再会を約束し、お店を出た。

お店で聞いた「八雲はダメだ」という意見が、彼らの本心でないのは、間違いない。
新幹線開業によって、観光客や新規入居者の増加が見込めるのに、受け入れ体制が整っていない町と、
そんな町の姿勢を変えられない現状が、自分たちの至らなさも含めて、歯がゆいようだ。
彼らの不平不満は、すべてが故郷・八雲を愛するがゆえだったはず。

あえて名前は出さないが、私の住居は、馬券売り場と競輪場がある東京の某市(←バレバレ)にある。
ギャンブル場との関係はともかく、昔から治安は決してよろしくなく、民度の低い人間が多い気がする。
そんな地元が私は大嫌いで、己がバカでロクデナシで民度が低いことを棚に上げ、
普段からしょっちゅうコキ下ろしている。もっと自分が暮らす街を愛さなくてはなあ、と反省させられたよ。

翌日、八雲町のいわゆる「おエライさん」を取材し、町についてたずねてみた。
おエライさんがどんな役職なのか(たとえば町長や商工会会長など)は、ここでは触れないが、
芸人のスギちゃんが年齢を重ねたような風貌の、腰の低い好人物だった。
町の課題についてたずねたところ、若い世代との協調はともかく、
新幹線の受け入れ体制が未完全なのと、広報活動が不足していることは認めていた。
「八雲の人間は、奥ゆかしいといいますか、要するに宣伝というか、自慢することが苦手なんですよ」
確かに、北海道はおおらかな方が多いと聞くし、謙遜はしても、自慢するのは苦手なのかもしれない。
自分を大きく見せ、ウソ八百を並べる、図々しい東京の広告マンを見習ったほうがいいよ。
※東京の広告マン全員がそうだとは言ってないので、誤解のないよう

函館以北、札幌までの北海道新幹線が完成するのは、2031年の予定。
八雲をはじめ、新幹線が停車するすべての町が繁栄することを、願ってやまない。

最後に私事だが、今年のレベッカの武道館ライブ、チケットが入手できたので、行くことができたんだ。


初めての生レベッカに感動し、最初から最後まで、涙ちょちょぎれ状態だったよ。
お土産にタオルを買ったが、購入するかどうか散々悩んだのが、写真のレベッカせんべい


多分、レベッカとは全然関係ないと思うので、結局買わなかったけど、手に入れる機会は2度となさそうだ。
八雲町でも商魂たくましく、「もうすぐ新幹線くるよマンジュウ」とか売ってみては…ダメかな。

もうひとつ私事。
近郊や地方は問わず、出張での取材がございましたら、自称ジャーナリストのわたくしに、ぜひご依頼を。
前日、取材と称して、地元の居酒屋などに潜入することもあるかもしれませんが、
なるべく、二日酔いにならないようセーブして飲みますので、ご心配なく。
早い、安い、ウマ…くもない原稿ですが、ぜひ御一考を!
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