前回のあらすじ。
新幹線の延伸工事を行っている、北海道二海郡八雲町へ取材に行ったときのこと。
いわゆる「町の声」を聞こうと、とある居酒屋さんに入り、レベッカファンの店主と話したところ、
「八雲はダメですよ」と不満げに吐き捨てるではないか。その理由とは?
このあと、店主が語ってくれたことを、以下にまとめてみた。
「地方の田舎はみんなそうかもしれないけど、特に八雲は、新しいモノを受け入れようとしません」
「若い頃は他の場所でも働いたことがありますが、生まれ育ったここ八雲が、最も閉鎖的です」
「だから、若者はすぐ札幌とかに出て行くし、残るのはオレら中高年ばかりで、四十代になった今でも若造扱いされます」
「新幹線ができたら、若者の流出はさらに加速するけど、新たに八雲に移住してくる人は少ないでしょう」
実際、八雲町の人口は年々減少傾向にある。その後は、常連らしきお客さんも加わり、さらなる激論が交わされる。
「新幹線の駅周辺だって、どうせ東京かどこかの大資本の会社が、ビルでも建てるんだろ」
「その新幹線の駅が栄えれば、そっちとは離れた場所にある今の八雲駅、つまりこのお店の周辺は逆に廃れちまう」
「年寄り連中は“町興しのアイデアを出せ”って言うけど、出したって意見が通らねえんだから」
「そうそう。年配者は聞く耳もたないし、新しいことには挑戦しないしさせないし、やってらんねえ」
「町が一枚岩となってないから、現状では新幹線どころじゃないよ」
ムムム…ヨソもんの私にはわからなかったが、新幹線の開業を、町全体で歓迎しているわけではないようだ。
店主が「さっきの“八雲はダメだ”ってのは、そういうことですよ」と念を押すので、
フォローのつもりで、私の浅い知識を駆使し、この町の長所を並べ、称えてみた。
日本で唯一海がふたつあって、自然が豊かで、漁業と酪農が盛んで、食べ物も美味しいのでは…と。
私の意見に対し、常連客が「そのことを知ってる人が、日本中にどれだけいます?」と鋭い指摘。
うっ、言われてみれば確かに私も、取材の前調べをするまで、八雲については全然知らなかった。
「広報も不充分だし、新幹線が来ても利益はみんな他に持ってかれちまうよ!」
う~む。町の生の声を聞くことはできたが、予想以上に厳しい意見だったなあ。
上記セリフ群も、私が修正しているので、実際はもっと、暴言(と方言)混ざりのひどいものだったし。
「せっかく東京から来たのに、こんな話聞かせて悪かったね」と店主が申し訳なそうに謝ってきた。
店主や常連客たちも、決して悪い人ではないのは、一緒に飲んでいてわかった。
酔いもまわってきたし、明日も早いので、そろそろ帰ろうと思い、シメに塩ラーメンを注文。
昔、北海道のラーメンについて「札幌は味噌、旭川が醤油、函館は塩」と聞いた記憶があるが、
函館に近い八雲ならば、やっぱり塩ラーメンだろう(←そうかな?)。
東京にある『五稜郭』という函館ラーメンのお店でも、確か麩が入っていたな。
ほど良い塩分と熱々のスープが、身体に浸み込み温まった。全部食べきったところで御会計。
店主とは「次回はレベッカについて語りましょう」と再会を約束し、お店を出た。
お店で聞いた「八雲はダメだ」という意見が、彼らの本心でないのは、間違いない。
新幹線開業によって、観光客や新規入居者の増加が見込めるのに、受け入れ体制が整っていない町と、
そんな町の姿勢を変えられない現状が、自分たちの至らなさも含めて、歯がゆいようだ。
彼らの不平不満は、すべてが故郷・八雲を愛するがゆえだったはず。
あえて名前は出さないが、私の住居は、馬券売り場と競輪場がある東京の某市(←バレバレ)にある。
ギャンブル場との関係はともかく、昔から治安は決してよろしくなく、民度の低い人間が多い気がする。
そんな地元が私は大嫌いで、己がバカでロクデナシで民度が低いことを棚に上げ、
普段からしょっちゅうコキ下ろしている。もっと自分が暮らす街を愛さなくてはなあ、と反省させられたよ。
翌日、八雲町のいわゆる「おエライさん」を取材し、町についてたずねてみた。
おエライさんがどんな役職なのか(たとえば町長や商工会会長など)は、ここでは触れないが、
芸人のスギちゃんが年齢を重ねたような風貌の、腰の低い好人物だった。
町の課題についてたずねたところ、若い世代との協調はともかく、
新幹線の受け入れ体制が未完全なのと、広報活動が不足していることは認めていた。
「八雲の人間は、奥ゆかしいといいますか、要するに宣伝というか、自慢することが苦手なんですよ」
確かに、北海道はおおらかな方が多いと聞くし、謙遜はしても、自慢するのは苦手なのかもしれない。
自分を大きく見せ、ウソ八百を並べる、図々しい東京の広告マンを見習ったほうがいいよ。
※東京の広告マン全員がそうだとは言ってないので、誤解のないよう
函館以北、札幌までの北海道新幹線が完成するのは、2031年の予定。
八雲をはじめ、新幹線が停車するすべての町が繁栄することを、願ってやまない。
最後に私事だが、今年のレベッカの武道館ライブ、チケットが入手できたので、行くことができたんだ。
初めての生レベッカに感動し、最初から最後まで、涙ちょちょぎれ状態だったよ。
お土産にタオルを買ったが、購入するかどうか散々悩んだのが、写真のレベッカせんべい。
多分、レベッカとは全然関係ないと思うので、結局買わなかったけど、手に入れる機会は2度となさそうだ。
八雲町でも商魂たくましく、「もうすぐ新幹線くるよマンジュウ」とか売ってみては…ダメかな。
もうひとつ私事。
近郊や地方は問わず、出張での取材がございましたら、自称ジャーナリストのわたくしに、ぜひご依頼を。
前日、取材と称して、地元の居酒屋などに潜入することもあるかもしれませんが、
なるべく、二日酔いにならないようセーブして飲みますので、ご心配なく。
早い、安い、ウマ…くもない原稿ですが、ぜひ御一考を!
新幹線の延伸工事を行っている、北海道二海郡八雲町へ取材に行ったときのこと。
いわゆる「町の声」を聞こうと、とある居酒屋さんに入り、レベッカファンの店主と話したところ、
「八雲はダメですよ」と不満げに吐き捨てるではないか。その理由とは?
このあと、店主が語ってくれたことを、以下にまとめてみた。
「地方の田舎はみんなそうかもしれないけど、特に八雲は、新しいモノを受け入れようとしません」
「若い頃は他の場所でも働いたことがありますが、生まれ育ったここ八雲が、最も閉鎖的です」
「だから、若者はすぐ札幌とかに出て行くし、残るのはオレら中高年ばかりで、四十代になった今でも若造扱いされます」
「新幹線ができたら、若者の流出はさらに加速するけど、新たに八雲に移住してくる人は少ないでしょう」
実際、八雲町の人口は年々減少傾向にある。その後は、常連らしきお客さんも加わり、さらなる激論が交わされる。
「新幹線の駅周辺だって、どうせ東京かどこかの大資本の会社が、ビルでも建てるんだろ」
「その新幹線の駅が栄えれば、そっちとは離れた場所にある今の八雲駅、つまりこのお店の周辺は逆に廃れちまう」
「年寄り連中は“町興しのアイデアを出せ”って言うけど、出したって意見が通らねえんだから」
「そうそう。年配者は聞く耳もたないし、新しいことには挑戦しないしさせないし、やってらんねえ」
「町が一枚岩となってないから、現状では新幹線どころじゃないよ」
ムムム…ヨソもんの私にはわからなかったが、新幹線の開業を、町全体で歓迎しているわけではないようだ。
店主が「さっきの“八雲はダメだ”ってのは、そういうことですよ」と念を押すので、
フォローのつもりで、私の浅い知識を駆使し、この町の長所を並べ、称えてみた。
日本で唯一海がふたつあって、自然が豊かで、漁業と酪農が盛んで、食べ物も美味しいのでは…と。
私の意見に対し、常連客が「そのことを知ってる人が、日本中にどれだけいます?」と鋭い指摘。
うっ、言われてみれば確かに私も、取材の前調べをするまで、八雲については全然知らなかった。
「広報も不充分だし、新幹線が来ても利益はみんな他に持ってかれちまうよ!」
う~む。町の生の声を聞くことはできたが、予想以上に厳しい意見だったなあ。
上記セリフ群も、私が修正しているので、実際はもっと、暴言(と方言)混ざりのひどいものだったし。
「せっかく東京から来たのに、こんな話聞かせて悪かったね」と店主が申し訳なそうに謝ってきた。
店主や常連客たちも、決して悪い人ではないのは、一緒に飲んでいてわかった。
酔いもまわってきたし、明日も早いので、そろそろ帰ろうと思い、シメに塩ラーメンを注文。
昔、北海道のラーメンについて「札幌は味噌、旭川が醤油、函館は塩」と聞いた記憶があるが、
函館に近い八雲ならば、やっぱり塩ラーメンだろう(←そうかな?)。
東京にある『五稜郭』という函館ラーメンのお店でも、確か麩が入っていたな。
ほど良い塩分と熱々のスープが、身体に浸み込み温まった。全部食べきったところで御会計。
店主とは「次回はレベッカについて語りましょう」と再会を約束し、お店を出た。
お店で聞いた「八雲はダメだ」という意見が、彼らの本心でないのは、間違いない。
新幹線開業によって、観光客や新規入居者の増加が見込めるのに、受け入れ体制が整っていない町と、
そんな町の姿勢を変えられない現状が、自分たちの至らなさも含めて、歯がゆいようだ。
彼らの不平不満は、すべてが故郷・八雲を愛するがゆえだったはず。
あえて名前は出さないが、私の住居は、馬券売り場と競輪場がある東京の某市(←バレバレ)にある。
ギャンブル場との関係はともかく、昔から治安は決してよろしくなく、民度の低い人間が多い気がする。
そんな地元が私は大嫌いで、己がバカでロクデナシで民度が低いことを棚に上げ、
普段からしょっちゅうコキ下ろしている。もっと自分が暮らす街を愛さなくてはなあ、と反省させられたよ。
翌日、八雲町のいわゆる「おエライさん」を取材し、町についてたずねてみた。
おエライさんがどんな役職なのか(たとえば町長や商工会会長など)は、ここでは触れないが、
芸人のスギちゃんが年齢を重ねたような風貌の、腰の低い好人物だった。
町の課題についてたずねたところ、若い世代との協調はともかく、
新幹線の受け入れ体制が未完全なのと、広報活動が不足していることは認めていた。
「八雲の人間は、奥ゆかしいといいますか、要するに宣伝というか、自慢することが苦手なんですよ」
確かに、北海道はおおらかな方が多いと聞くし、謙遜はしても、自慢するのは苦手なのかもしれない。
自分を大きく見せ、ウソ八百を並べる、図々しい東京の広告マンを見習ったほうがいいよ。
※東京の広告マン全員がそうだとは言ってないので、誤解のないよう
函館以北、札幌までの北海道新幹線が完成するのは、2031年の予定。
八雲をはじめ、新幹線が停車するすべての町が繁栄することを、願ってやまない。
最後に私事だが、今年のレベッカの武道館ライブ、チケットが入手できたので、行くことができたんだ。
初めての生レベッカに感動し、最初から最後まで、涙ちょちょぎれ状態だったよ。
お土産にタオルを買ったが、購入するかどうか散々悩んだのが、写真のレベッカせんべい。
多分、レベッカとは全然関係ないと思うので、結局買わなかったけど、手に入れる機会は2度となさそうだ。
八雲町でも商魂たくましく、「もうすぐ新幹線くるよマンジュウ」とか売ってみては…ダメかな。
もうひとつ私事。
近郊や地方は問わず、出張での取材がございましたら、自称ジャーナリストのわたくしに、ぜひご依頼を。
前日、取材と称して、地元の居酒屋などに潜入することもあるかもしれませんが、
なるべく、二日酔いにならないようセーブして飲みますので、ご心配なく。
早い、安い、ウマ…くもない原稿ですが、ぜひ御一考を!