阿分駅探索の続きです。
阿分駅から国道に沿って南に5分ほど歩いたところに、小さな神社があります。
一の鳥居。赤い本殿に向かって参道が延びています。
ここの名前は阿分稲荷神社……かと思ったら、『村社稲荷神社』と書かれていますね。
村社は神社の格(旧社格)の中では一番下(この下には格を有しない無格社がある)ですが、ここではどちらかというと村の神社的な意味合いな気がします。
社務所を過ぎたところに二の鳥居。スロープになっていて滑りやすいですが、ここまでは除雪されています。
雪をかきわけ本殿へ……って、どうしてこんなところに45km/hの標識が?
(増毛方)
(留萌・深川方)
なんと、参道を横切るようにして、留萌本線の線路が通っているではありませんか。
しかし、この場所には踏切はありません。
本来は踏切がない場所以外での横断は法律で禁止されているのですが、参道など道路法に属さない道(赤道(あかみち))との交点は勝手踏切などと呼ばれ、事実上の黙認状態にあります。
神社に至る道はここしかないので、やむをえず横断。既に先客の姿がありました。
線路を越えたところに最後の鳥居、そして本殿があります。
本殿に到着。三方を山と林に遮られています。
妙に字がかっこいい額。
本州と違い扉が頑丈なのが北海道の神社。理由は簡単で、開けておくと吹っ飛ばされるからです。特に、この神社は海側に開けているので、開けていたら建物ごと飛ばされることでしょう。
賽銭箱も出ていないので、お賽銭を投函口から入れてお参りしてきました。
手水舎も封鎖。
奥に小屋がありましたが、雪で近づくことすら出来ません。
増毛方面の線路。標識は参道をよけるように設置されています。
留萌・深川方面。列車を眺めるにはいい場所です。
この場所が『踏切』でいられるのも、残すところ1年もありません。
無事に下山。相変わらず冷たい風が吹き付けます。
遠くにうっすらと増毛の町が見えますが、暗雲が立ち込めています。
線路はこの先阿分トンネルに入ります。留萌本線のトンネルは峠下、恵比島、そして阿分の3つだけです。
国道沿いに住宅が細長く広がっています。この辺りは入り江になっており、「アフニ」(入るところ)と呼ばれていてもおかしくありません。
その入り江の中心にあるのが阿分漁港です。
集落の規模の割には大きいです。
こんな海では出る気にもなれませんが。
国道を留萌方面にさかのぼると、「阿分」バス停があります。上下とも待合室つきです。
下り(増毛方面)のバス停。
留萌~増毛には平行してバスが運行されています。一部は増毛よりさらに南の雄冬まで向かいます。
阿分の場合はこれに加えて、1日1本ですが札幌行きの特急はぼろ号(雄冬経由便)が停車します。
下りの待合室内部。
建てつけが悪く、隙間から雪が入り込んでいました。
そろそろ駅に戻ります。
道は学校に沿うようにして直角にカーブ。
踏切の手前にあるのが、阿分駅の待合室です。
バス待合室と似たような雰囲気ですが、実はここ、電気がありません。夜にここに来ると真っ暗でびっくりする羽目になります。
運賃表。留萌~増毛は細かく駅が設定されているため、平均駅間は2.1kmと短め。
時刻表。留萌~増毛は1日下り6本、上り7本の計13本。上り1本は増毛→舎熊→礼受→留萌の快速列車のため、阿分には12本が停車します。この快速と下り最終は休日運休となっています。
待合室は地域の方々が管理しています。阿分ほどはっきりと表明しているところは少ないですが。
海に近いため、津波避難情報も掲載されています。
さて、ホームに向かいましょう。
実は、阿分駅はもう一つ特徴があります。この駅は踏切に隣接していますが、この踏切の中に入らないとホームに入れないのです。
裏側(再掲)。
通常、踏切が近い場合ホーム背面に出口を作るものですが、阿分の場合坂の下側にホームが設置されているため、ホーム背面側に出ることが出来ないのです。
踏切の名前はその名も『学校』。
増毛へと延びる線路は、1921年に開通。増毛も港町であり、双方で旅客と貨物の移動がありました。
ですがそれも今や昔。1両きりの列車が6往復走るばかりです。
改めてホーム全景。
仮乗降場時代とほぼ変わることなく駅が存続できたのは、近くに小学校があったことが大きいと思います。実際、駅ノートに小学生の書き込みが複数ありました。通学だけでなく、課外授業で使っていたようです。
しかし、平行してバスが整備され、小学校がなくなった今、鉄道が果たすべき役目は既に終えてしまったように感じました。
ヘッドライトが見え、お別れのときが近づいてきました。
増毛で一時間休息を取ったキハ54が、目の前に現れます。
そしてホームに停車。
あまりに短すぎるため、上り列車は踏切をふさいで停車します。
15時59分。阿分駅を出発。全駅制覇の旅は、残すところあと一駅です。
次回、最終回。
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