Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

列島縦断帰省記 ~めくるめく国鉄特急物語 第15回 最後の国鉄特急 新大阪→城崎温泉

2015年12月25日 | 鉄道 ‐ 旅行(2015年)


 新大阪駅18番線。そこには、「くろしお」と同じく381系が活躍する、「こうのとり1号」の姿がありました。



 2015年10月まで、381系は日根野(「くろしお」)、福知山(「こうのとり」など)、後藤[出雲](「やくも」)の3箇所に配置されていました。
 このうち、福知山の381系だけ、国鉄特急色をまとっていたのです。
 新潟の485系(「北越」「いなほ」)引退により、現役の特急形車両としては唯一国鉄特急色で運転されていました。



 伝統の三本ヒゲ。485系ボンネット車のヘッドライトケースに書かれた模様に由来を持ちます。



 福知山の381系は1000番台に分類されます。0番台からの改造車です。

 福知山の381系の歴史は浅く、2011年から運転を始めました。
 福知山を走る「こうのとり」を始めとする電車特急には、485系改造の183系(700・800番台)が使われていました。しかし、老朽化に伴い、新型の287系で置き換えることになりました。
 ところが、183系のうち、B編成(半室グリーン車・国鉄特急色+赤帯)だけは置き換えられぬまま投入は中止されました。
 この残った183系を置き換えるために投入されたのが、381系です。
 同じ頃、「くろしお」にも287系が投入され、先頭がクロ381(非貫通グリーン車)の編成は運用から外れていました。そこで、残るB編成は外れた381系で運転をすることになりました。2011年春の改正の話です。

 この時、色が「くろしお」の青系塗装から国鉄特急色に変更されています。そう。最後の国鉄特急色となった381系は、期せずして生まれたものだったのです。
 新大阪で同じ381系の「くろしお」が発着するからか、先代の183系の色を受け継いだからなのかはわかりませんが、ともかくとして、国鉄特急として生まれなおしたのでした。

 では、1000番台が0番台と何が違うかと言うと、



 番号変えただけ。

 ……正確には、変えただけ『でした』。
 福知山線では振り子装置に対応した設備はありません。なので、始めは全区間で振り子装置をオフに固定され、区分のため番号が変更されたのです。
 しかし、乗り心地が悪いとの苦情が殺到し、急遽振り子装置を復活させました。といっても、全開状態では使えないため、最大傾斜角を5°から3°に変更。地上設備を変えることなく、振り子を使うようになったのです。



 先頭はクロ381-1106。クハ381から改造されたグリーン車です。
 普通車が改造元なので、窓割りも普通車準拠。外側のグリーン車マークがなければ、人目ではグリーン車と気付けないでしょう。







 モハ380-1041、モハ381-1041、クハ381-1111と続きます。改番に当たっては全車+1000と単純です。
 「くろしお」は6両でしたが、福知山では4両を基本にしています。余ったモハユニットは増結車となりました。



 振り子に手を加えられたりグリーン車改造されたりとされていますが、由緒正しい国鉄特急色をまとう車両でした。



 新快速を先に通し、「こうのとり1号」に乗って、終着・城崎温泉を目指します。



[福知山線・山陰本線 3001M 特急 こうのとり1号 新大阪8:08→城崎温泉10:58]
《新大阪 8:08発》

 窓側席で出発。



 「くろしお」の走る梅田貨物線が右へと別れていきます。



 「サンダーバード5号」(大阪8:10→金沢11:02)が通過。直接ではないものの、381系の去就に関係があります。
 元々683系4000番台の投入で既存の681系・683系の置き換えが進んでいた「サンダーバード」ですが、北陸新幹線開業で金沢止まりとなり使用車両が減少。さらに、「はくたか」(越後湯沢~金沢)が廃止となったため、こちらの車両も余りました。
 これらは「しらさぎ」(名古屋~金沢)にコンバート。「しらさぎ」に使われていた683系2000番台は、編成組み換えの上で交直流機器を停止。新たに289系とされました。
 この289系が、381系を置き換えることとなったのです。




 雑多なビル群に導かれるように、列車は大阪駅へ。



《大阪 8:12着》

 「こうのとり」は新大阪始発にするためにわざわざ向日町まで回送していますが、始発の1号に関しては新幹線乗り継ぎの客は少なく、大多数は大阪から乗り込んできました。
 空席だらけだった指定席も、大阪で満員になります。



《大阪 8:14発》



 2回目の淀川横断を経て、兵庫県に入ります。



 尼崎を出ると、東海道線をトラス鉄橋でオーバーパスして福知山線へ入ります。複々線からの分岐だけにダイナミックです。



 伊丹・池田・宝塚と、大阪のベッドタウンを走り抜けます。



 宝塚を出るとトンネルに入ります。かつては川沿いを縫うようにして走っていたのですが、三田を中心としたニュータウンの開発により複線電化の新線に切り替えられました。



 トンネルとトンネルの間には、少しだけ原風景が残ります。



《三田 8:49着》

 北摂の中心・三田に停車。ここから次第に人口が減っていきます。



 複線区間を快走する381系。わずかに振り子を使用することで、乗り心地は上々です。



《篠山口 9:07発》

 篠山口から単線になります。



《谷川 9:21発》

 谷川を過ぎる辺りから急に雨が降ってきました。



 福知山線は1891年~1899年にかけて建設された路線のため、トンネルは渓谷沿いの宝塚~三田を除けばほとんどありません。その代わり、急カーブが続きます。



《柏原 9:29着》

 柏原に到着。大阪にも《柏原(かしわら)》があるので間違われやすいですが、こちらは「かいばら」です。



 柏原からは線形もよくなり、長めの駅間は飛ばします。



 結構混んでいます。



 右手に福知山城が近づいてきました。



《福知山 9:49着》

 福知山では6分停車。京都から来る「きのさき3号」の連絡を受けるためです。

 その間に車内徘徊です。



 4号車。福知山で大多数の人が降りたため、車内は空席が目立ちます。



 3号車。



 2号車は唯一の普通車指定席ですが、大分人が減っているのは同じこと。



 1号車にいたっては0人。構造上ただでさえ座席数がないのに。



《福知山 9:55発》

 新鋭287系から連絡を受け、福知山を発車します。



 しばらく京都丹後鉄道宮福線と併走した後は、再びカーブと急勾配の二重奏。



《下夜久野 10:06通過》



《柳瀬 10:17通過》

 列車交換もしつつ、北上していきます。
 


《豊岡 10:47着》

 287系の「きのさき12号」と豊岡で交換。



 次が終点の城崎温泉です。



《豊岡 10:49発》



 ゆったりとした円山川が右手に沿うようになると、終点もすぐそこ。



《城崎温泉 10:58着》

 列車は無事、城崎温泉に到着しました。



 今回はここまで。


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