留萌12時15分発の4928Dで大和田を出発します。
[留萌本線 4928D 留萌12:15→深川13:10]
《大和田 12:22発》
この車両、キハ54-505は、先ほど乗った4925Dにつながれていた回送車両です。4925Dは留萌に到着した後、回送車両を切り離しします。前の車両はそのまま終点の増毛へ。そして、後ろの車両は4928Dとなって深川へと折り返すのです。
深川~留萌が下り8本、上り9本と変則なのは、この4925Dと4928Dがあるためです。
留萌発なので乗客は少なめ。
暖房ががんがんに効いています。
車内備え付けの温度計は25度。中はコートどころかパーカーもいらないくらい熱いです。外とは30度近い温度差があります。
大和田を出た列車は長い左カーブに入ります。
大和田の家並みが後方に見えます。
必要最低限のカーブしかないのが留萌本線。90km/h近くで飛ばします。
辺りは農村地帯です。
お隣の駅、藤山に到着です。
《藤山 12:26着》
ということで、本日4駅目の訪問は藤山駅です。
私以外誰も降りず、誰も乗らないまま発車。
一人列車を見送ります。
[駅データ/藤山駅 Fujiyama]
開業:1910年11月23日
構造:1面1線(かつては2面2線)
由来:この地で農園を営んでいた藤山要吉の名前にちなむ
藤山もまた、開業時からある駅の一つ。木造の駅舎が今も残ります。
藤山という名前は、この場所の農場主だった藤山要吉の姓をとったもの。駅の設置に当たって、用地を提供したとの逸話が伝わっています。
しかし、開発した人の名前(石狩沼田や大和田など)ではなく、開業当時の持ち主の名前を取ったということは、よほど何もなかったんですね(言ってしまえば『藤山さん家前駅』みたいなもんですし)……
駅舎正面。均整の取れたスタイルは、山越駅(函館本線)に似ています。
隣には立派なイチイの木が植えられていました。
横から見ると、木造ではあるものの、正面とは違いややのっぺりとして見えます。
この駅舎、最初からこの形だったわけではありませんでした。かつては、イチイとは反対側にも駅舎は広がっていたのです。
しかし、無人化を経て事務室部分は撤去。待合室部分だけが残ったのです。
とはいえ、待合室部分だけでもきちんとした形にはなっているあたり、改築センスは高いです。
駅前には開拓記念碑が置かれています。右は『藤山開拓之碑』、左は藤山小学校開校90周年記念の『翔く』の碑です。残念ながら、藤山小学校は平成15年(2003年に)閉校し、藤山から翔く=『はばたく』子供たちはいなくなりました。
突如地吹雪が駅を襲ってきました。あたりを白に染める地吹雪になすすべもなく、ひとまず待合室に戻ります。
中はかなりの部分が丁寧に塗りなおされていました。
停車本数は下り始発と上り2本を除いた14本。午前中はかなり不均等で、3時間あくところもあれば30分もあかないところもあります。
窓口があったであろう場所。改築で窓口側の壁は全て取っ払われたため、非常にすっきりしています。
吹雪が収まらないので、ここで昼ごはんにします。
駅前に店などはないため、秩父別のセイコーマートで買ったおにぎりとパスタがお昼ご飯です。セイコーマートがなければ札幌で買うしかなかった(深川は買いに行くほどの時間がない)ので助かりました。
20分ほどで地吹雪はやみました。
駅手前には大きな藤(?)の木が生えています。
藤山地区の中心地ですが、人家は今日訪れた駅(秩父別・幌糠・藤山・大和田)では最少。ぽつんぽつんと家があるばかりでした。
同じ場所の反対方向の景色。深川留萌自動車道とは大きく離れており、信号がかなしく灯るだけ。
駅前には「藤山」バス停があります。が、上り(旭川方面)は完全に擬態しています。
下り(留萌方面)は待合所も、バス待避所もあります。
中をのぞいたら、完全に倉庫だよこれ!
扉がないため雪が入り放題です。風はしのげるけど。
ちょうどよく、路線バスが通過していきました。
藤山バス停には留萌旭川線(沿岸バス・道北バス)がとまりますが、快速便は通過していきます。隣の大和田・幌糠は停車するため、藤山の到達困難度はやや高めです。といっても、バスも一日7往復ありますが。
留萌方向に5分ほど歩いたところに踏切があります。
ガードの裏にたいてい踏切の名前が書いてあるものですが、名前がわからない……(「9線道路」?)
警報機の看板でようやく「16号線踏切」であることがわかります。しかし、塗りなおされた後からして16号線踏切と書いてあったとは思えません。
ランプがLEDになっていました。四角いランプはなんか不自然。
留萌方面の線路は山の合間へと吸い込まれていきます。
深川方面は左にカーブ。
その先に藤山駅が見えます。
13時40分。警報機が鳴り始めました。
風すさぶ中、増毛から戻ってきたキハ54が通過。
本当は動画をとるつもりだったのですが、直前に電池切れをおこしたため写真をとるしかありませんでした。
予備電池を入れ終わるころには、列車は藤山駅に停車。ここでおじさんが一人降りました。
歩道どころか車道すらもはっきりしない道路を引き返します。
待合室で駅ノートを読みながら待つことおよそ15分。再びhホームへと降り立ちます。
先ほどの4930Dと峠下ですれ違った4927Dがやってくるからです。
空と農地と山々――それは、開業から1世紀近く藤山駅から見える風景であり続けたに違いありません。
目立った開発もされず、まるで時の流れを忘れたかのように残された藤山地区。そこでは今も、小さな木造の駅舎が、時の流れを見守っています。
14時11分。林の向こうからキハ54がやってきました。
予定より4分遅れてやってきた4927Dに乗って、次の目的地を目指します。
続く!
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