千曲川のうた

日本一の長河千曲川。その季節の表情を詩歌とともに。
人生は俳句と釣りさ。あ、それと愛。

古本から紙魚が出て来た

2019年08月14日 | いただきもの歳時記
昨年、幸田露伴の「評釈芭蕉七部集」全七冊を購入しました。1983年岩波書店刊、当時の定価11,800円。

安東次男の「芭蕉七部集評釈」をはじめ七部集に関連する本を読むと、しばしば露伴の評釈についての言及があります。それで読んでみたいとずっと思っていました。
ふと思いついてネットで検索したら案外簡単に見つかり、すぐに注文しました。

35年前の本ですからさすがに外箱は灼けていましたが、中の本は上等。読んだ形跡のない綺麗な状態でした。


6,599円で入手しましたが、良い買い物だったと思います。

それから1冊づつ取り出しては読んでいたのですが、昨夜ちょっと調べたいことがあり、書架から箱ごと持ってきて机上で本を引き出すと、


虫が出て来ました。


紙魚(しみ)です。


知識としては知っていましたが、実は私、紙魚を見たのは初めてです。

ルーペで観察してから駆除。全部の本を調べましたが1匹だけでした。ウチへ来てからだけでも1年以上、どうやって生きていたのやら。

この本は表紙に和紙が使われているので、それを囓っていたのでしょうが、幸い目につくような食害の痕はありませんでした。

  光琳忌きらゝかに紙魚走りけり  飴山實
  指先の銀はつぶせし紙魚のもの  品川鈴子
  雛箱の紙魚きらきらと失せにけり 臼田亞浪
  紙魚の銀身をうねらせて走るかな 野村喜舟

紙魚の別名はきらら虫。きららは雲母のことですから、銀色の鱗粉のようなものを纏っているのでしょう。
しかし机上の紙魚はキラキラ感がありません。
たぶん、喰った本が渋かったのでしょう。

初めて紙魚の実物を見られたので、ちょっと得した気分。これは本のオマケに付いて来たものということにして、無理矢理「いただきもの歳時記」に放り込んでみました。


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