伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

早稲女、女、男

2025-02-28 00:40:04 | 小説
 脚本・演出担当の長津田啓士が脚本を書けないため一度も公演したことがない演劇サークル「早稲田チャリングクロス」のメンバー早乙女香夏子の中高時代からの親友で同じ女性専用マンションに住む立教大学の立石三千子、長津田に思いを寄せるサークルのマドンナで日本女子大学の本田麻衣子、香夏子と同居する妹の学習院大学生早乙女習子、香夏子が内定した大手出版社永和出版の営業部のマドンナで慶応大学出身の慶野亜依子、香夏子と卒業旅行のメキシコ行きで一緒になった青山学院大学の青島みなみ、そして早稲田大学→永和出版の早乙女香夏子が語り手の6つの短編連作、なんですが、結局どれもが早乙女香夏子と長津田、あるいは永和出版の先輩の早稲田大学出身者吉沢洋一のことを語っている上、ふつうなら語り手が変わると人物評価が大きく変わる、別の面が見えるのですが、そうでもなく、早乙女香夏子のエピソードが続いているという作品です。
 各大学の特色というか先入観というかが、それぞれの大学の学生・卒業生という設定の者から語られ、そうだなと思う面がありそういう趣向なのですが、男はこう女はこうという議論と似て、もっともらしい故にうさんくさくも、また乗りたくない気分でもあります。
 全体テーマは早乙女香夏子の不器用さ、愚直さ、居場所のなさというところですが、まぁ、なるようにしかならないし、開き直るしかないよねという話かなぁと思います。


柚木麻子 祥伝社 2012年7月30日発行
「Feel Love」連載
コメント
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