2022年に発表された国連の推計で世界の総人口が2086年をピークに減少し始め、日本の総人口は2022年の1億2400万人から2100年には7400万人にまで減少するとされていることを紹介し、これまでの人口理論やさまざまなモデルと著者によるシミュレーションを示し、すでに現れ予測されている人口減少が、「豊かさと自由を追求してきた人類社会が生産力の飛躍的発展を通じ長寿化する一方、自らの出生力をコントロールする自由を拡張してきた結果、個人の選択の自由が、社会全体の人口学的不均衡をもたらすに至った、その必然的帰結である」(98ページ)として受け容れざるを得ないものとし、人口減少社会でのあるべき姿、方向性を論じた本。
人口増加(爆発)社会の競争原理から、人口減少社会では「誰ひとり取り残さない」が基本原則となり、「働かざる者食うべからず」ではなくベーシックインカム(最低保障)と富者への累進課税の強化(著者はそれを「誰であれ人の幸せを奪ってまでお金を稼いではいけないという単純なルール」と表現しています:116ページ)、それを実現するための国際協調(一国での富裕層への課税強化はタックスヘイブンへの逃避を招く)を主張する著者の志向には、庶民の弁護士としては共鳴します(人口の増減から必然的に導かれるものかどうかは別として)。
人口統計について著者が加工して作成したさまざまな図表が掲載されていて、いろいろ気づかされるところがあります。例えば子どもの数について、少子化が言われる中、私の世代に当たる1960年代前半生まれでは、女性はほぼ2割が3人かそれ以上の子どもを産んでいて(74ページ)、子ども3人もそれほど珍しいわけじゃないとか(ちょっと意を強くする (^^;)
原俊彦 岩波新書 2023年3月17日発行
人口増加(爆発)社会の競争原理から、人口減少社会では「誰ひとり取り残さない」が基本原則となり、「働かざる者食うべからず」ではなくベーシックインカム(最低保障)と富者への累進課税の強化(著者はそれを「誰であれ人の幸せを奪ってまでお金を稼いではいけないという単純なルール」と表現しています:116ページ)、それを実現するための国際協調(一国での富裕層への課税強化はタックスヘイブンへの逃避を招く)を主張する著者の志向には、庶民の弁護士としては共鳴します(人口の増減から必然的に導かれるものかどうかは別として)。
人口統計について著者が加工して作成したさまざまな図表が掲載されていて、いろいろ気づかされるところがあります。例えば子どもの数について、少子化が言われる中、私の世代に当たる1960年代前半生まれでは、女性はほぼ2割が3人かそれ以上の子どもを産んでいて(74ページ)、子ども3人もそれほど珍しいわけじゃないとか(ちょっと意を強くする (^^;)
原俊彦 岩波新書 2023年3月17日発行
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