7月17日、えさし藤原の郷、日曜日恒例の江刺鹿踊が行われました。
今回の団体さんは広瀬歌書(うたがき)地区の
「奥山上山流歌書獅子躍」です。
この日、ご披露いただいた演目は礼庭。
こちらの団体には4人の高校生が所属しており、
鹿踊を盛り上げてくれているそうです。
気温30度を超える中、
鹿踊の魂を感じさせる太鼓の音色が青空に響き渡ります!
皆様、お気付きになられましたか?
以前ご紹介した”行山流角懸鹿踊”では、雌鹿のササラには黒い印がついており
すぐに「あそこにいるのが雌鹿さんだ!」と見つける事が出来ましたが、
今回の団体さんの雌鹿・・・
どこに居るの・・・?
立ち位置でわかる方もいらっしゃると思いますが、
私は『聞かぬは一生の恥!』と思い、
団体のメンバーさんに声をかけました。
「あの~・・・雌鹿さんはどちらに・・・」
「雌鹿?あ~、うちはササラに印がないからね。
後ろを見てよ。あの黄色のマークが雌鹿だよ!」
確かに雌鹿さんと中立ちさんの背中に黄色の印が!
驚いているとさらに
「それとほら、雌鹿の鹿頭(ししがしら)、小さいでしょ?」
との一言。
鹿頭が小さいですと・・・?
よくよく見させていただくと・・・
本当だ!
頭が小さい!
左が中立ちさんで、右が雌鹿さんです。
他にもこちらの団体の特徴として、
衣装の垂れの「九曜紋」が、
「九曜紋」ではなく「堅三つの引き紋」(伊達家に使われた最も古い家紋)
なんです。
↓こちら。
この画像だと、左から四番目の方だけが「九曜紋」で、
他は全て「堅三つ引き紋」。
団体によってこんな違いがあるんですね!
午前の部が終わり、伝承者の菊池隆義(たかよし)さんにお話を伺いました。
「鹿踊の勉強を始めたばかりなんですが、」
と伝えた私に隆義さんはにこやかに笑いながら
興味深いお話を聞かせてくださいました。
「昔は長男しか出来なかった郷土芸能なんだよ」
「えええええ?!」
あまりに素直に驚いてしまった私に隆義さんは笑い、
「しかもな、いずれはここを出て行く者という意味を込めて
次男も三男も参加しちゃ駄目だったんだ」
と教えてくれました。
「そうなると女性は・・・」と私が言いかけると、
「そう!言語道断!衣装に触ってもいけなかったんだよ」
と笑みを浮かべながらも厳しい表情でおっしゃいました。
鹿踊というのはそれほど神聖な郷土芸能だったんですね!
少子化が進む今の時代、
そして、集落からどんどん人が都会に出ていく時代。
この奥山上山流歌書獅子踊を残したいという思いは強く、
メンバーになってくれる方を募集しているそうです。
「関東から見に来ましたって言われると、
なんとしてでもこの郷土芸能を残していきたいと思うんだ」
と隆義さん。
「時代のせいばかりにしていられない。
時代にどう適応していくか、が、
郷土芸能を存続させる上で一番大切な事だと思う」
と、真剣な眼差しで気持ちを伝えて下さいました。
女性の方も、男性も、高校生も中学生も大歓迎だそうです!
少しでも興味を持たれた方は隆義さんまでご連絡を。
まずはご見学からいかがでしょうか?
・・・お問合わせ・・・
奥山上山流歌書獅子躍伝承者 菊池隆義
0197-36-2760
0197-35-7791