~はじめて白髪を見つけたのは、いくつのときだったろう。
骨身をけずり、果てにむかえた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか。…
家は闇のように冷えている。心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取りと。
紙商・小野屋新兵衛は、やがて、薄幸の人妻丸子屋のおかみおこうに、果せぬ想いをよせてゆく。世話物の名品。「BOOK」データベースより
ずっと読みたかった藤沢周平作品の一つ「海鳴り」でした。
時代小説なのに、とても読みやすく、スッキリとまとまって、流れるように物語が進行します。さすがは「名作家」と言われる藤沢周平さんです。
江戸時代の紙問屋の旦那・新兵衛と、同じ紙商問屋の女将・おこうとの不倫を描いた物語です。
現代にはドラマや小説で溢れるほど描かれている「不倫」ですが、江戸時代では、男は市中引き回しの上、打ち首獄門、女も死罪は免れないという、恐ろしい仕打ちが待っているというのに、二人は恋に落ちてしまいます。
新兵衛と同じ年頃の自分としては、重ねてしまう部分もあり(最近、とみに老いを感じているあたり
「新兵衛がんばれ!」と、感情移入せずにはいられません
しかし、ただ単に中年の不倫を描いただけではなく、商売の難しさ、家族の形、友情などがしっかりと描かれていて、グイグイ引き込まれてしまいます。
大どんでん返しはありませんし、クライマックスから二人の逃避行まで、「こんなにうまくいくかね?」と思ったりもしますが、ハッピーエンド?で爽やかに終わります。
模倣して、現代版『海鳴り』を自分なりに書いてみたくなりましたね。
上下巻ですが、一気に読めてしまう快作です。
★★★☆3.5ですね。
骨身をけずり、果てにむかえた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか。…
家は闇のように冷えている。心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取りと。
紙商・小野屋新兵衛は、やがて、薄幸の人妻丸子屋のおかみおこうに、果せぬ想いをよせてゆく。世話物の名品。「BOOK」データベースより
ずっと読みたかった藤沢周平作品の一つ「海鳴り」でした。
時代小説なのに、とても読みやすく、スッキリとまとまって、流れるように物語が進行します。さすがは「名作家」と言われる藤沢周平さんです。
江戸時代の紙問屋の旦那・新兵衛と、同じ紙商問屋の女将・おこうとの不倫を描いた物語です。
現代にはドラマや小説で溢れるほど描かれている「不倫」ですが、江戸時代では、男は市中引き回しの上、打ち首獄門、女も死罪は免れないという、恐ろしい仕打ちが待っているというのに、二人は恋に落ちてしまいます。
新兵衛と同じ年頃の自分としては、重ねてしまう部分もあり(最近、とみに老いを感じているあたり
「新兵衛がんばれ!」と、感情移入せずにはいられません
しかし、ただ単に中年の不倫を描いただけではなく、商売の難しさ、家族の形、友情などがしっかりと描かれていて、グイグイ引き込まれてしまいます。
大どんでん返しはありませんし、クライマックスから二人の逃避行まで、「こんなにうまくいくかね?」と思ったりもしますが、ハッピーエンド?で爽やかに終わります。
模倣して、現代版『海鳴り』を自分なりに書いてみたくなりましたね。
上下巻ですが、一気に読めてしまう快作です。
★★★☆3.5ですね。