何回個展をしても、春宮は、自分の作った物を売るのが、苦手です。格好つけている訳ではありませんが…求めて下さったら、とても嬉しいです。
何回か個展を致しておりますと、『初日』のお客様が、いらっしゃいます。「初日に伺わないと、いい物が出てしまうから…」と、いらして下さるのです。有難い事です。初日に、作品が全部揃っているのを御覧になりたい…という思いを持って来て下さるので、求めていだけなくても、嬉しいお客様です。
京都のゑり善さんが、昭和50年頃に京都書院から千冊だけ発刊なさった戦前の半襟・下絵・図案を集めた本から、春宮なりにアレンジして作製した矢羽の柄の半襟を出展していました。弓道をなさっている方が、早速に目にとめて下さって、『お約束』して下さいました。
綺麗な淡いピンク・クリーム・水色・白の青海波の半襟は、70代の方が、渋い大島紬の着物をお召しになる時に使いたい…と、お約束して下さいました。
半襟は、左右対称の柄の物が多いので、春宮は、半襟を半分に切り、半襟の色に合わせた淡い色の細めの額に入れて、対額にした物を展示しておりました。寂しい事ですが、着物離れが進んでいますので、『何か…』と考えました。水天宮に、『経新堂稲崎』さんという江戸時代からの昔は名字帯刀を許されたようなお店があります。春宮は、そちらで、額装をお頼みしています。戦前は、日本橋の丸善の並びにお店があったそうですが、戦火にあい、焼け残ったのは、「福が逃げていきませんように…という後ろ姿の招き猫の焼きゴテだけだった」と、ご当主が話して下さいましたが、額の裏側には、後ろ姿の招き猫のシール?が貼られています。その対額をご覧になった方が何人か「着物は、着ないけれど気に入った半襟で額を作って…」と、言って下さったのも、嬉しい事でした。喜んで春宮は、その方のお家の壁の色を伺いました。壁の色と、半襟の色を考えて、額縁の色を決めるからです。対額だからといって、並べて飾る必要はないのです。ずらしてもよし、縦に並べるもよし、別々の部屋に飾るのも、求めて下さった方の自由です。そのように説明致しました。額装代が御心配なようでしたが、半襟の回りのマットという部分を紙の台紙にすれば値段は高くなりません。春宮が、水天宮のお店に依頼に行く時と、出来上がりを確認に行く時の足代だけ加算させて貰いました。儲けより、日本刺繍の物を部屋に飾って下さる方が、嬉しかったのです。商売は、本当に向いていません。
妹の同期生は、「兎歳だから、裏干支の物が縁起がいいから…」と、『鳥』の半襟をお約束してくれました。
いらして下さる方、楽しんで選んで下さるのは、作り手冥利、有難いことでした。
春宮夫の中学校の同級生のカメラマンの方は、初日に撮影にいらして下さり、後日、CDにして、プレゼントして下さいました😊
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