この映画はふとひとがどこか遠くに行きたい、そう思ったとき潮風に吹かれる海岸をぽつんと歩いている自分を感じる映画ですね。
まず、そういう癒しの素敵な場所でも、人によってはただ退屈のきわみにしか思えない場所でもあることを、よりによって冒頭で蒼井優さまに演じさせている。食べ散らかした優さまはポテトチップスの袋をゴミとして風に漂わせます。その日常と非日常の恐ろしいまでのギャップをまず最初に示す。
そして本編。ただ心地よいホノカアとした場所に居ついたままの大学生、岡田将生。適当に労働し、毎日を過ごしている。ハワイ島の映像が美しい。紺碧の海。澄み切ったブルースカイ。細かい砂。あ、いいなあと思ったら、岡田将生が自由に泳ぐ。これぞ人間の究極のフリーダム。
ひょんなことで食事にありつくことになった岡田は昔可愛かったであろう老女の下に日参する。年は60近く離れているんだろうけれど、賠償は孫のような男に胸きゅんとなる。そう、この映画は女の子のいっときの恋物語なのです。
倍賞千恵子は寅さんシリーズでさくらを演じている。その後、驚くなかれ「ハウルの動く城」で声の出演ではあるがキムタクの相手役をしている。声は今でも美しいが、それでもやはり乙女の声ではなかった。そして今回の役柄である。
年のころは80歳ぐらいの役柄なのだろうが、声がいつまでも美しい。しかも、はっきりと明瞭な発声だ。少々異質感も画面では漂う。彼女の発声はホノカアではないのである。まるで武士の細君のような感じである。
同じ老女でも、髪結いの正司照枝のように暇があったら仕事場であろうと寝呆けてしまうといったタイプではない。普通の人ではないのである。箒を隠し持っている魔女のようでもある。「ハウル」で魔法をかけられて老婆になったソフィーのようでもある。
箒と風は合うよね。この、不思議な老婆はひと時の恋をして、この世の全て美しい光景をもう見る必要がなくなったのか、恋人の裏切り(勝手な気持ちだが)を前にし、失明する。そして、失明した原因を心のどこかで気遣っている男と暮らしたあと、もうすべて満足し、風となって消えたのである。
この老婆の死の場面はただ風となり消えたこともあって、実に美しい。こういう死の捉え方もあるのだなあと感心する。
この映画は現実を描いたものではない。何処にもない場所をただぽつんと描いた作品です。いわばファンタジーものです。まさに、「ハウル」の延長でもあるのです。
でも、途中賠償の気持ちを考えるとき、少々キモいと一瞬思ったのも事実です。まあ、魔女の呪いをかけられた老女の恋愛はどう考えてもある意味キモいのも仕方がないでしょう、、。
とか、何とかいろいろ書いちゃっていますが、この映画のハナシ、現実のことではないんですよね。冒頭で書いたように、人がうざい現実から目を背けたいとき、ふと思う、昔で言ったら桃源郷のような世界でのハナシです。でも、僕たち、映画でそれが得られるんだったら、なんと素敵なことかと思えます。不思議な感覚の残る映画でした。
まず、そういう癒しの素敵な場所でも、人によってはただ退屈のきわみにしか思えない場所でもあることを、よりによって冒頭で蒼井優さまに演じさせている。食べ散らかした優さまはポテトチップスの袋をゴミとして風に漂わせます。その日常と非日常の恐ろしいまでのギャップをまず最初に示す。
そして本編。ただ心地よいホノカアとした場所に居ついたままの大学生、岡田将生。適当に労働し、毎日を過ごしている。ハワイ島の映像が美しい。紺碧の海。澄み切ったブルースカイ。細かい砂。あ、いいなあと思ったら、岡田将生が自由に泳ぐ。これぞ人間の究極のフリーダム。
ひょんなことで食事にありつくことになった岡田は昔可愛かったであろう老女の下に日参する。年は60近く離れているんだろうけれど、賠償は孫のような男に胸きゅんとなる。そう、この映画は女の子のいっときの恋物語なのです。
倍賞千恵子は寅さんシリーズでさくらを演じている。その後、驚くなかれ「ハウルの動く城」で声の出演ではあるがキムタクの相手役をしている。声は今でも美しいが、それでもやはり乙女の声ではなかった。そして今回の役柄である。
年のころは80歳ぐらいの役柄なのだろうが、声がいつまでも美しい。しかも、はっきりと明瞭な発声だ。少々異質感も画面では漂う。彼女の発声はホノカアではないのである。まるで武士の細君のような感じである。
同じ老女でも、髪結いの正司照枝のように暇があったら仕事場であろうと寝呆けてしまうといったタイプではない。普通の人ではないのである。箒を隠し持っている魔女のようでもある。「ハウル」で魔法をかけられて老婆になったソフィーのようでもある。
箒と風は合うよね。この、不思議な老婆はひと時の恋をして、この世の全て美しい光景をもう見る必要がなくなったのか、恋人の裏切り(勝手な気持ちだが)を前にし、失明する。そして、失明した原因を心のどこかで気遣っている男と暮らしたあと、もうすべて満足し、風となって消えたのである。
この老婆の死の場面はただ風となり消えたこともあって、実に美しい。こういう死の捉え方もあるのだなあと感心する。
この映画は現実を描いたものではない。何処にもない場所をただぽつんと描いた作品です。いわばファンタジーものです。まさに、「ハウル」の延長でもあるのです。
でも、途中賠償の気持ちを考えるとき、少々キモいと一瞬思ったのも事実です。まあ、魔女の呪いをかけられた老女の恋愛はどう考えてもある意味キモいのも仕方がないでしょう、、。
とか、何とかいろいろ書いちゃっていますが、この映画のハナシ、現実のことではないんですよね。冒頭で書いたように、人がうざい現実から目を背けたいとき、ふと思う、昔で言ったら桃源郷のような世界でのハナシです。でも、僕たち、映画でそれが得られるんだったら、なんと素敵なことかと思えます。不思議な感覚の残る映画でした。
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