今回ご紹介するのは「風味絶佳」(著:山田詠美)です。
-----内容-----
70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。
ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。
恋愛小説の名手がデビュー20年目におくる風味絶佳な文章を、1粒ずつじっくり味わってください。
谷崎賞受賞作。
-----感想-----
かなり完成度の高い短編集だったと思います。
どの短編も、読み手を惹きつける面白さがありました。
人と人のつながりを描く王道的な作品だと思います。
間食
夕餉
風味絶佳
海の庭
アトリエ
春眠
という六つの短編から構成されているのですが、それぞれの短編に登場する男たちの職業が多種多様になっています。
各短編ごとに、
とび職
清掃作業員
ガソリンスタンドのアルバイト
引越し作業員
汚水槽の作業員
火葬場の職員
となっています。
彼らはそれぞれの物語で中心的存在として、時にはその仕事についても描かれたりします。
普段あまり注目されることのない職業もあって、興味深く読みました。
恋愛の短編小説なので、主に駆け引きや葛藤、微妙な距離感などが描かれています。
私は表題作の「風味絶佳」と「海の庭」が面白かったと思います。
「風味絶佳」は、登場人物が強烈だったなと思います。
自分のことを「グランマ」と呼ばせるおばあちゃんが出てくるのですが、かなりキャラが立っていました
麻生総理並みに
ガソリンスタンドも「ガスステイション」と呼ばせるし、どこか変わった感じのおばあちゃん。
もともとアメリカが好きなようで、70歳になった今も、アメリカ人のボーイフレンドを連れて車を乗り回したりしています。
そして作品自体も、恋愛のままならない感じがうまく描かれていたと思います。
グランマのセリフに
「志郎、昔から言われてることだけど、女の子はシュガー・アンド・スパイス」
というのがあるのですが、なるほど志郎はシュガーに偏ってしまったのだなと思いました。
難しいものですね。
「海の庭」は、引越し作業員とその幼馴染の女性の物語なのですが、こちらは「二人の距離感」が良いなと思いました。
離婚して娘の「日向子」と二人だけになった母「小夜子」のもとに、引越し作業員として現れた幼馴染の「作並くん」。
これだけ見ると、ありがちな展開のようにも思いますが、さすがにとても完成度が高かったです。
なかなか距離が縮まらず、縁側に二人佇んでいるばかりの日々でしたが、そこには新しい時間を築いていこうという姿勢があったりしたのです。
良い作品だったと思います。
全体的に文章が丁寧な印象があり、解説でも絶賛されていました。
恋愛小説を読みたい人には、良い一冊になることと思います。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。
-----内容-----
70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランマは、ガスステイションで働く孫の志郎の、ままならない恋の行方を静かに見つめる。
ときに甘く、ときにほろ苦い、恋と人生の妙味が詰まった小説6粒。
恋愛小説の名手がデビュー20年目におくる風味絶佳な文章を、1粒ずつじっくり味わってください。
谷崎賞受賞作。
-----感想-----
かなり完成度の高い短編集だったと思います。
どの短編も、読み手を惹きつける面白さがありました。
人と人のつながりを描く王道的な作品だと思います。
間食
夕餉
風味絶佳
海の庭
アトリエ
春眠
という六つの短編から構成されているのですが、それぞれの短編に登場する男たちの職業が多種多様になっています。
各短編ごとに、
とび職
清掃作業員
ガソリンスタンドのアルバイト
引越し作業員
汚水槽の作業員
火葬場の職員
となっています。
彼らはそれぞれの物語で中心的存在として、時にはその仕事についても描かれたりします。
普段あまり注目されることのない職業もあって、興味深く読みました。
恋愛の短編小説なので、主に駆け引きや葛藤、微妙な距離感などが描かれています。
私は表題作の「風味絶佳」と「海の庭」が面白かったと思います。
「風味絶佳」は、登場人物が強烈だったなと思います。
自分のことを「グランマ」と呼ばせるおばあちゃんが出てくるのですが、かなりキャラが立っていました
麻生総理並みに
ガソリンスタンドも「ガスステイション」と呼ばせるし、どこか変わった感じのおばあちゃん。
もともとアメリカが好きなようで、70歳になった今も、アメリカ人のボーイフレンドを連れて車を乗り回したりしています。
そして作品自体も、恋愛のままならない感じがうまく描かれていたと思います。
グランマのセリフに
「志郎、昔から言われてることだけど、女の子はシュガー・アンド・スパイス」
というのがあるのですが、なるほど志郎はシュガーに偏ってしまったのだなと思いました。
難しいものですね。
「海の庭」は、引越し作業員とその幼馴染の女性の物語なのですが、こちらは「二人の距離感」が良いなと思いました。
離婚して娘の「日向子」と二人だけになった母「小夜子」のもとに、引越し作業員として現れた幼馴染の「作並くん」。
これだけ見ると、ありがちな展開のようにも思いますが、さすがにとても完成度が高かったです。
なかなか距離が縮まらず、縁側に二人佇んでいるばかりの日々でしたが、そこには新しい時間を築いていこうという姿勢があったりしたのです。
良い作品だったと思います。
全体的に文章が丁寧な印象があり、解説でも絶賛されていました。
恋愛小説を読みたい人には、良い一冊になることと思います。
※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。