読書日和

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「木暮荘物語」三浦しをん

2010-12-19 23:21:07 | 小説
今回ご紹介するのは「木暮荘物語」(著:三浦しをん)です。

-----内容-----
小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。
空き室あります!
安普請ですが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートです。
一見平穏な木暮荘の日常を描く、心温まる物語。
いつまでもいつまでも読んでいたくなる会心作!

-----感想-----
これはかなり面白い物語でした。
七つの短編で構成されていて、それぞれその人の日常が舞台となります。
木暮荘の住人であったり、あるいは近所の人であったり、女子大生から70歳過ぎのおじいさんまで色々な人が登場します。

この作品はやはり、会話や文章の妙が冴え渡っていました。
思わず噴き出すほど面白い場面がたくさんあり、楽しく読み進むことができました
やはり楽しく読める作品は良いものです^^

登場人物は結構印象的な人が多くて、のぞきが趣味の男とか、ストーカー化しそうな男とか、部屋で退廃的な生活を送っている女とか、嘘をついている人を見抜く女とか、色々な人がいました。
一番衝撃的だったのは夫の浮気現場に乗り込んだ人の話で、何だかすごい迫力がありました。
部屋のドアをズドーン!とぶち破った場面がかなり印象に残っています。

基本的に一癖ある人ばかりなので、それぞれの短編も単なる日常で終わることはなく、何かしらの事件や出来事があったりします。
でもその後、悲しみとか切なさではなく、ほっこりとした気持ちになることが多いのがこの作品の良いところだと思います。
木暮荘の住人同士でも、意外な形で交流が生まれたりしました。
一階に住む、退廃的な生活(食事がスナック菓子ばかりだったり、男が三人いたり)を送っているだけと思われた女子大生が実は結構良い人で、優しさを持っていたエピソードはかなり良かったです。
二階に住む、のぞきばっかりしている男がこの女子大生を助けて、その後面白いコンビになったりもしていました。
木暮荘の大家たる70歳過ぎのおじいさんもこの女子大生と交流があったし、何気にこの女子大生は作中の重要な位置にいた気がします。

そんなわけで、三浦しをんさんの歴代の作品の中でも最高クラスの完成度だったと思います。
本屋大賞を受賞してほしいくらいです。
いずれ機会を見てもう一度読み返してみたいと思います


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