夜11時より放送された『素敵な宇宙船地球号』を見ました。
毎回、衝撃的な事実が明かされる「外来種は警告する」シリーズ。
今回放送された具体的な内容は以下の通りでした(HPより抜粋)。
今日は番組に対して抱いた感想を簡潔に述べたいと思います。
「マリンペスト」という言葉を初めて知った。
英語表記は“marinepest”。“marine”と“pest”を合体させた造語だと思われる。
“pest”は “害虫、有害な小動物”を意味する単語だから、直訳すると“海の害虫”。
一般的には「海洋外来生命体」と訳され、外来種の海洋微生物のことを指している。
近年、世界各地にマリンペストが拡散した結果、生態系のバランスが崩れてしまった。
自然界への影響もさることながら、漁業被害も深刻で、関係者は常に頭を悩ませている。
そのマリンペストを日本の船がばら撒いているというのだから驚きだ。
原因は船舶のバラスト水。その中に無数のマリンペストが含まれていたのだ。
輸入超大国日本。加工貿易で成り立ってきたこの国が、間違いなく主犯格である。
しかしながら、日本の海にだって外来種は存在している。
事実、東京湾では外来種のカニや貝が多数確認されたという。
マリンペストの加害者でありながら、被害者でもあるという現実。
日本政府はこの複雑な問題を一体どう解決したらよいのだろうか。
番組内で述べられていたことだが、外来種の生物を排除することは
事実上不可能なのだそうだ。つまり、共生の道しかないということになる。
ここで大切なのは、これ以上のマリンペストの拡散を確実に防止することだ。
船舶の規模や航行範囲にかかわらず、バラスト水を利用する船舶に対しては、
ろ過装置(フィルター)の設置を義務付けることが最も有効な手段だと考えられる。
このことに関しては、(株)商船三井がバラスト水の浄化に成功しているようである。
また、三菱鉱石輸送株式会社もバラスト水問題に対し積極的に対応するとのこと。
大手海運会社では既に対策が進んでいるようなので、その姿勢を高く評価したい。
しかしながら、全ての船舶がろ過装置を取り付けるまでは安心出来ないだろう。
もし会社が経済的理由により、ろ過装置の設置を見送るような事態が想定されるならば、
国が会社にろ過装置取付に対して補助金を出すなどの政策を積極的に打ち出して欲しい。
それと同時に、環境を保全を目的とした技術を生み出す企業には支援を惜しまないで欲しい。
優秀なろ過装置を開発するには多額の資金が欠かせないからだ。大学などの研究機関にも、
資金援助が必要だろう。愛知万博を主催する環境立国日本としてやるべきことは実に多い。
ところで、バラスト水管理方策に関しては、殺菌、消毒をするために
熱処理、薬品処理、紫外線放射など複数の方法が検討されているという。
確かに有効な手段かもしれないが、やや安易な発想ではないだろうか。と、私は思う。
海水を汚してしまうような行為はなるべく避けるべきだし、紫外線照射に至っては、突然変異等の
遺伝的影響も懸念される。マリンペストの問題に固執し過ぎて、第2,第3の問題が引き起こされる。
そんな事態に陥らないためにも、有識者を集めて徹底的に議論を重ねて欲しい。慎重かつ早急に。
とにかく今は、バラスト水に関する国際条約が1日でも早く締結されることを願うばかりである。
正直、今まで海の世界のことは特別考えてもいなかった。
私が危惧していたのは、主に地上の自然界のことばかり。
セイタカアワダチソウが毒素で在来種を駆逐しているー!!とか。
「KAIGAN」というブログタイトルを掲げていながら、何たる有様。
これからはもっと広い視野を持って、外来種の問題を考えたい。
海は一続きにつながっているように見えても、実は海流や海温により隔たれている。
だから海洋微生物の移出入はNGなのだ。生態系のバランスを崩してしまうから。
我々はこの認識を持たなければならない。21世紀を生きる、地球人として。
地球表面の7割は海だ。延々と続く海洋こそが生命の舞台である。
どんなに時代が進んでも、海運が貿易の主要手段であることに変わりはないだろう。
よって、導き出せる結論は唯一つ。マリンペストの拡散を防ぐことが現代人の使命なのだ。
【関連リンク】
★バラスト水管理条約
★WWFジャパン -外来種の脅威を低減するバラスト水規制条約の採択を歓迎する
★「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」の採択について(環境省)
昨年2月にIMO(国際海事機関)で採択されたバラスト水管理条約。この条約における発効要件は、
30カ国が批准し、かつそれらの合計商船船腹量が世界の35%以上となった日の12ヶ月後に発効
となっている。今のところ未発効ではあるが、条約発効に向けて着実に前進している(と思われる)。
★新技術紹介 バラスト水中の生物拡散防止装置(西部造船会)
★海洋微生物生態学入門(広島大学海洋生態系評価論研究室)
★The Earth 【船から排出されるバラスト水が生態系を破壊する?】
★社団法人日本海難防止協会 ★財団法人日本船舶技術研究協会
関連記事:「外来種は警告する Vol.1」を見た感想
毎回、衝撃的な事実が明かされる「外来種は警告する」シリーズ。
今回放送された具体的な内容は以下の通りでした(HPより抜粋)。
今日は番組に対して抱いた感想を簡潔に述べたいと思います。
「外来種は警告する Vol.2」~マリンペストに襲われた街~ 北海道より一回り小さなタスマニア島の東海岸に、トライアブナという小さな町があります。人口わずか900人の小さくて静かな町。この町の海の下で、その異変は起きていたのです。町の主要産業の一つ、ホタテ貝の養殖が大打撃を受けています。 その原因は、ヒトデの大繁殖にありました。無数のヒトデが海底を覆い、ヘドロの海と化しているのです。それにしても、もともとタスマニアの海にはいるはずのないヒトデがどうしてこんなにも増えてしまったのか。地元研究者らがヒトデのサンプルを取ってDNA鑑定をしたところ、これらは、日本にいるマヒトデだということが判明したのです。そして、日本からヒトデを運んできたのは、船のバラスト水だと思われます。 世界中から資源を輸入している日本は、バラスト水の輸出大国。輸入国に戻った船は、バラスト水とともにその中に含まれる大量の微生物マリンペストを海に放出します。その量は1年で3万トンにもおよびます。 |
「マリンペスト」という言葉を初めて知った。
英語表記は“marinepest”。“marine”と“pest”を合体させた造語だと思われる。
“pest”は “害虫、有害な小動物”を意味する単語だから、直訳すると“海の害虫”。
一般的には「海洋外来生命体」と訳され、外来種の海洋微生物のことを指している。
近年、世界各地にマリンペストが拡散した結果、生態系のバランスが崩れてしまった。
自然界への影響もさることながら、漁業被害も深刻で、関係者は常に頭を悩ませている。
そのマリンペストを日本の船がばら撒いているというのだから驚きだ。
原因は船舶のバラスト水。その中に無数のマリンペストが含まれていたのだ。
輸入超大国日本。加工貿易で成り立ってきたこの国が、間違いなく主犯格である。
しかしながら、日本の海にだって外来種は存在している。
事実、東京湾では外来種のカニや貝が多数確認されたという。
マリンペストの加害者でありながら、被害者でもあるという現実。
日本政府はこの複雑な問題を一体どう解決したらよいのだろうか。
番組内で述べられていたことだが、外来種の生物を排除することは
事実上不可能なのだそうだ。つまり、共生の道しかないということになる。
ここで大切なのは、これ以上のマリンペストの拡散を確実に防止することだ。
船舶の規模や航行範囲にかかわらず、バラスト水を利用する船舶に対しては、
ろ過装置(フィルター)の設置を義務付けることが最も有効な手段だと考えられる。
このことに関しては、(株)商船三井がバラスト水の浄化に成功しているようである。
また、三菱鉱石輸送株式会社もバラスト水問題に対し積極的に対応するとのこと。
大手海運会社では既に対策が進んでいるようなので、その姿勢を高く評価したい。
しかしながら、全ての船舶がろ過装置を取り付けるまでは安心出来ないだろう。
もし会社が経済的理由により、ろ過装置の設置を見送るような事態が想定されるならば、
国が会社にろ過装置取付に対して補助金を出すなどの政策を積極的に打ち出して欲しい。
それと同時に、環境を保全を目的とした技術を生み出す企業には支援を惜しまないで欲しい。
優秀なろ過装置を開発するには多額の資金が欠かせないからだ。大学などの研究機関にも、
資金援助が必要だろう。愛知万博を主催する環境立国日本としてやるべきことは実に多い。
ところで、バラスト水管理方策に関しては、殺菌、消毒をするために
熱処理、薬品処理、紫外線放射など複数の方法が検討されているという。
確かに有効な手段かもしれないが、やや安易な発想ではないだろうか。と、私は思う。
海水を汚してしまうような行為はなるべく避けるべきだし、紫外線照射に至っては、突然変異等の
遺伝的影響も懸念される。マリンペストの問題に固執し過ぎて、第2,第3の問題が引き起こされる。
そんな事態に陥らないためにも、有識者を集めて徹底的に議論を重ねて欲しい。慎重かつ早急に。
とにかく今は、バラスト水に関する国際条約が1日でも早く締結されることを願うばかりである。
正直、今まで海の世界のことは特別考えてもいなかった。
私が危惧していたのは、主に地上の自然界のことばかり。
セイタカアワダチソウが毒素で在来種を駆逐しているー!!とか。
「KAIGAN」というブログタイトルを掲げていながら、何たる有様。
これからはもっと広い視野を持って、外来種の問題を考えたい。
海は一続きにつながっているように見えても、実は海流や海温により隔たれている。
だから海洋微生物の移出入はNGなのだ。生態系のバランスを崩してしまうから。
我々はこの認識を持たなければならない。21世紀を生きる、地球人として。
地球表面の7割は海だ。延々と続く海洋こそが生命の舞台である。
どんなに時代が進んでも、海運が貿易の主要手段であることに変わりはないだろう。
よって、導き出せる結論は唯一つ。マリンペストの拡散を防ぐことが現代人の使命なのだ。
【関連リンク】
★バラスト水管理条約
★WWFジャパン -外来種の脅威を低減するバラスト水規制条約の採択を歓迎する
★「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」の採択について(環境省)
昨年2月にIMO(国際海事機関)で採択されたバラスト水管理条約。この条約における発効要件は、
30カ国が批准し、かつそれらの合計商船船腹量が世界の35%以上となった日の12ヶ月後に発効
となっている。今のところ未発効ではあるが、条約発効に向けて着実に前進している(と思われる)。
★新技術紹介 バラスト水中の生物拡散防止装置(西部造船会)
★海洋微生物生態学入門(広島大学海洋生態系評価論研究室)
★The Earth 【船から排出されるバラスト水が生態系を破壊する?】
★社団法人日本海難防止協会 ★財団法人日本船舶技術研究協会
関連記事:「外来種は警告する Vol.1」を見た感想
やっていて、ヒトデ型宇宙人がタイムリーに出るなど
したために、途中まで同じ番組と思って見ていました。
外来種、身近なものでさえようやっと、ですから
マリンペストのように、馴染みのない「海域」に
ついては後手後手にまわっていくのでしょう。
気がついた時には手遅れ、というところがいつも悔やまれますね(+_+)
商船関連の企業も色々と対策をしようとしているようですね。勉強になりました。ありがとうございます。これからも自覚を持って資源を大切にしていきましょう!
まずは知る。そして考え、対策を講じたいですね。
今回、私も初めて耳にしたマリンペスト。今後もマスコミには取り上げてほしいテーマです。
マリンペストによる被害が明らかになったのは、
90年代前半のことだそうです。経済優先の考え方が、
海洋汚染の発見を遅くらせ、事態を深刻にしたのでしょう。
これ以上の被害拡大を防ぐため、関係各国が協力して、
最大限の対策を施して欲しいと思います。早急に。
▼Rさん
Rさん、こんにちは。
番組内では言及されませんでしたが、
商船関連の企業では徐々に対策が進んでいるようです。
マリンペストを100%除去できるろ過装置が開発される日は
果たしてやってくるのか。新たな続報を期待して待ちましょう。
▼hnさん
初めまして、こんにちは。
まずはマリンペストの問題を多くの人に知ってもらうことが先決ですよね。
日本が主犯格であるからこそ、事実を知ることが最重要だと考えます。
そのためには、『素敵な宇宙船地球号』以外にも、様々なメディアに
マリンペストによる環境被害を報道してもらう必要性があります。
世界各地から木材を輸入し、魚を好んで食べている日本人。
誰一人として無関係ではないのですから。私も、あなたも。
早く地道に拡散しない努力を始めることを願います。
確かに「バラスト水」という言葉自体、知名度が低いですよね。
特別難しい単語ではないので、一発で暗記可能だと思いますが。
この問題が末期的な状況に陥る前に対策を講じて頂きたいと思います。
そして我々もマスメディアの方々に協力を呼びかけて参りましょう。