KAIGAN

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赤小灰物語

2005-06-02 23:13:34 | Creatures
出会いは突然に訪れる。
期せずとも向こうからやって来る。

都会で観察出来る蝶の種類は限られている。
季節にもよるが、せいぜい十数種くらいだろうか。
そういった状況の中で新たな蝶に出会うということは、
私にとって何事にも変えがたい極上の喜びであると言えよう。

先日、私は生まれて初めてアカシジミに出会った。
場所は赤塚植物園。曲がりくねった野草の道を歩いていた時だった。
突然、一匹の蝶がひらひらと舞ったのだ。真横を通過した私に驚いたのであろう。
蝶に「ごめん。」と謝りたかったが、こっちだって驚いたんだから、
ここは仲良く“喧嘩両成敗”ってことに致しましょう。

やがてチョウは近くの葉に止まった。
ゆっくり接近して確認してみると、アカシジミだった。
私はアカシジミをじっと見つめたまま、微動だにしなかった。
もはや飛び交う蚊など気にも留めなかった。私が網膜に映し出すのはアカシジミだけ。
かつて私が有した全ての好奇心は、葉上で翅を休めるアカシジミに注がれたのだった。

しかし、ついに翅の表側を見ることは出来なかった。
私の願いとは裏腹に、アカシジミも微動だにしなかったのだ。
完全に私の負けだった。私は諦めて、野草の道を後にした。

蚊に食われた痕が、ようやくかゆみを伴って現れ、
試合終了のゴングを甲高く打ち鳴らすのだった。

アカシジミ - 海野和男のデジタル昆虫記 - 環境goo


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