妻の実母をSさんと呼ぶ
Sさんは女三人姉妹の長女として産まれた
次女は一日中泣いている程の泣き虫、三女は言う事を聞かない性格だったが負けず嫌いで勉強が出来た
そんな姉妹の長女としてはノンビリしたところがあり、もっとしっかりしなさいといつも叱られていたが、勉強は出来たという
お向かいの旅館の娘は同い年だが、いつもSちゃんを見習えと父親から叱られていたと最近告白されたという
所謂、何でも出来るが目立たない子だったのだろう
家は貧乏で井戸が無かった
幼い頃は学校から帰ると毎日隣の家にお水を貰いに行き、家の水瓶を一杯にしておかないと祖母から叱られる
幼い身体で水汲みは辛い作業だ
近所の子供はおもちゃや人形を持っているが貧乏なSさんは何も無い
そんな時、祖母の長持の中に綺麗な端切れを見付けたので、少し頂いて自作で人形の着物を作った
それを見付けた祖母は「大切な端切れを使うな!使うなら私が死んだ後にせよ」と激怒した
いつもは優しい母もこの時は厳しく叱ったという
ここで少しSさんの母の事に触れる
Sさんの母は幼い頃、兄と二人で京都に行き駅前で路頭に迷っているところを有名な布団屋の女将に拾われて住み込みで働いたのだそうな
地元に戻っても負けん気が強い性格で力仕事をしていた
どんな仕事かは知らないが、お元気だった頃、腕の力こぶを自慢げに見せてくれた記憶がある
竹を割った性格でサッパリした明朗活発な方だった
愛煙家でエコーを吸っていた
お酒は飲まないが、話好きのおしゃべりこれらの性格は三人の娘に受け継がれている
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