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まんまるログ

融通性か?和・洋・中・無国籍・ジャンクとなんでも食べる胃袋と脳みそ。

ファルーク・バルサラ  ボヘミアン ラプソディ

2019年05月01日 | 映画


ブライアン・メイ(グゥイリム リー)   フレディ・マーキュリー(ラミ マレック)

監督はブライアン・シンガーだった。
彼の作品で好きな映画はゴールデン・ボーイとユージュアル・サスペクト。
何よりX-MENシリーズ 面白い。

ロングランの映画だったが、映画館に行けなかった。
この度 二度見した。
今年のアカデミー賞で注目を集めたのが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』が作品賞を取れるかどうかだった(受賞したのは『グリーンブック』だったが)。
『グリーン・ブック』については後日書きたい。

『ボヘミアン・ラプソディ』は賛否両論が分かれる映画ではある。
同性愛への嫌悪や偏見が見られるという批判がつきまとうと同時に監督のブライアン・シンガーは、過去の強姦と性的虐待で告発されたりもしている。

この映画から抜け落ちているのは本名ファルーク・バルサラ(フレディ)と言う男の背負った悲劇の歴史だ。

マーキュリーは、1980年代にHIV陽性と診断された多くの男女と同様に、病だけでなく政府の失策、そして世間からの軽蔑の犠牲となった。
HIV(エイズ)流行に対する政府と世間の反応が、マーキュリーの人生の扉を閉ざすことにつながっていく。

その事は一切、映画には描かれていない。
(映画二時間の枠では描ききれないのだ)
1980年代初めにアメリカやイギリスなどの一部の都市でHIVの流行が初めて確認された時、各国政府は感染拡大を防ぐ対応をほとんど取らなかった。

《医学会》は当初、感染が特定の人々の集団で見られると指摘していた。

つまり男性同性愛者に麻薬常習者、そしてハイチ系の人々(これは人種差別が原因)だ。


希代のボーカリスト フレディが、どれほど社会とそして人々から疎外され苦しみ 業火で罰せられていたのか。
観客はそれを知るべきだし知らされるべきだった。
その事を切に思う。

ただし…伝説のバンド クィーンを演じた俳優たちの力量はそれとは別の話。

四人とも見事に巧い。
若き日のメンバーがよみがえっている・特にドラマーのロジャー、ギターのブライアン・メイは本物もびっくり。

ママ 僕は人を殺してしまった。
頭に銃をつきつけて 引き金をひいたら死んでしまった。
ママ 人生が始まったばかりなのに 僕はすべてを捨ててしまった。

ママ 嘆かせるつもりはなかったのに
明日 僕が帰らなくても 暮らし続けてくれ 何事もなかったように。
魔王ぺセルブフは僕を悪魔から遠ざけてくれるだろうか。
これは現実か幻想か 地滑りのように巻き込まれて逃げられない

ボヘミアン・ラプソディは痛いほど心に残る名曲だ。



(本物のフレディ・マーキュリー)

彼の声は音域が広く声量も溢れるほど。
絢爛 豪華で哀愁も感じさせる‥男の色気もあった‥たとえゲイであろうと。
私は彼の声のファンである…それがすべて。

善悪、正邪、価値無価値など越えた、ただ存在のみ。
それが表現できるということが、『持ってますね』ということだろう。
監督のブライアン・シンガーもまた。

ファルーク・バルサラに乾杯。
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映画 三昧

2018年08月19日 | 映画
お盆は家族そろって‥息子二人は旧交を温める為多忙ではある。
それでもワイワイと賑やかに過ごした。

最終日は家族でシネマという事で‥見過ごしている映画や気になっている映画を観る日。

次男の手土産でテレビが20型~32(?)型になった事もあり、映画好き一家にはたまらない。

大画面(中型から大型になっただけだが)臨場感は飛躍的に揚がる。
『リメンバー・ミー』『鎌倉物語』『グレーテスト・ ショーマン』は七回目、いやもっとかも。

暑さの中‥盛り上がった。
いい映画ばかりだった。
グレーテスト‥‥は言うまでもない‥好みだから何度も見るのだ。

個人的に私が観た真夏の映画だが‥


『黄金のアデーレ 名画の帰還』
80才を過ぎた主人公。
ユダヤ人のマリアは、オーストリア政府を相手に返還訴訟をおこす。
クリムトの名画アデーレは愛する叔母の肖像画。
戦時中ナチスのゲッペルスに略奪された絵で、戦後は親族に返されることなくオーストリア国の所有になっている。
名女優で大女優、ヘレン・ミレンがマリアを演じる。彼女を助けるのは若く経験の浅い弁護士(ライアン・レイノルズ)だが、良心と熱意と正義感がたっぷりとある。
 ヘレン・ミレンは歳を重ねるごとに魅力がまして、茶目っ気が愛らしい‥その上、上品である。
そして、強靭な精神力を併せ持っている素敵な女優だ。
偉大な女優なのに尊大さがない。
マリアにふさわしいと思った。

『ハイドリヒを撃て』

《HHhH プラハ1942年》は小説で、この映画の原作ではないそうだ。
ほとんど同じ内容で緻密で面白い。
第二次世界大戦真っ只中。
連合国から見捨てられ、ナチスドイツに占領されていたチェコスロバキア領内。
亡命政府のレジスタンス、ヨゼフ・カブチークとヤン・クビシュの2人の軍人が占領下の母国に潜入する。
ヨゼフとヤンの使命は暗殺。
標的は、金髪の野獣 ナチスの野獣 プラハの者 ラインハルト・ハイドリヒ。
ナチスのNO3‥ヒトラーの後継者とも言われた冷酷な男。
戦時中‥チェコスロバキアはこの男に蹂躙された。
人種 宗教はもとより 煙草一本でも 咳をしても彼の指先一つで殺される危険がある。
ナチス以外は人間ではない。
何十万人の無実の民が殺された事か。

緊迫感がありすぎて息が詰まる。

若者二人の祖国への使命感と忠誠心、地下組織の仲間たちとの連携。裏切り。

人間の誇りと強さと醜さと弱さ‥戦時下の異常な日常で芯から疲れてただ息をしているだけの市民‥華燭なく描くのはショーン・エリス監督。

ヨゼフはキリアン・マーフィーが演じている。

『コレクター』

オランダの大富豪メンテン。
収集家でもあり芸術の擁護者である顔をもつ。
戦時下にナチスに協力をした疑いがあるのだが、戦犯裁判を潜り抜けて生きている。
雑誌者の記者クノープが投書を基に彼の過去を調べ始める。

虐殺者としてのメンテンの過去が浮かび上がってくるが、大富豪は法務大臣を懐柔し、雑誌社に大金を寄付することで、自分の悪行を消そうとする。

オランダ映画だと思うが、丁寧に作っていて俳優も巧い。
ヨーロッパは、色んな意味で奥行きが深い。

偶然にもナチスドイツに絡んだ映画3作品。
言うまでもないが、実話が基になっている。
時間に恵まれた事と体力(余力)があった事に感謝している。
三作品全てが重く見応えがあり、脳みそにも胸にもこたえるし、エネルギ―を取られる。

アメリカの大統領が、報道規制に入ろうとしている現代。
政権に批判的なニュースはフェィクニュース。
自分に都合の悪い真実を報道するメディア及び新聞社は国民の敵。
白人だけが特別でカラードは屑‥移民は須らくこの国から出ていけ。
自分の奥さんは移民ですよね。トランプさん。
俺はいいのだ。
おれの家族はいいのだ。
それ以外は無法地帯に住めばいい。
近所のおばさんが、姑の悪口をいってるようで品の欠片もない。
それでも多くの害が及ばないという意味で、近所のおばさんの方がまし‥と言いたくなる。
一国の大統領にである。
アメリカは堕ちてしまった。

ナチス台頭下のヨーロッパに酷似している。

アメリカのデモクラシーはギリギリの断崖絶壁に立っているのかも知れない。
我が国も無縁ではない。

弁護士や記者や、医師、教授、お坊さん 販売業 機械工、農家、漁師 普通の主婦 ‥
たった一人の無力な誰かが戦いを始める。

そんな戦いが大きなうねりになって歴史を正していく。

仕事で岩手、北海道と長きに渡った次男も、こちらに落ち着きそうな予感。

嬉しい。

とても幸せを感じる今日。

無力な私だが非力ではない。


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グレーテスト ショーマン

2018年02月28日 | 映画
豪雪と霰と吹雪に閉じ込められて‥なす術はない。

閉塞感と寒さの中、豪雪のトラブルが続々の冬。
開き直りで食べる事、ゐや 食べる事、雪が落ち着いて太っている身体だけが残った。

次男の去年からのリクエストで、20日‥でぶい身体を押して映画館へ‥



ミュージカルは観ている者の視覚と聴覚に直接に訴えて来る。

舞台は19世紀のアメリカ。

中産階級が出現して、偏見と差別が(現代も底の所で変わらないが)特に激しい時代。

主人公はフィニアス・テイラー・バーナム(実在の人物)でショー ビジネスの概念を生み出した男。
サーカスの創設者。
ヒュー・ジャックマンが演じる。
日本ではウルバリン(XーMEN)シリーズが有名だが、彼は20代からミュージカルに縁が深い。
本場ブロードウェイでトニー賞の主演男優賞も取っている。(ザ・ボーイ・フロム・オズ)
レ・ミゼラブルで彼の歌声を聴いたファンも多いと思う。

オープニングは暗がりのバックステージから舞台へ飛び出す ヒュー・ジャックマンを背面から逆光で捉える。

低音で押し殺した歌声が、スポットライトと同時に声量を解き放っていく。

光と影の演出が効いている。

サーカス‥ゲテモノ、下品、フリークス、なんと言われても観客の笑顔は本物。

最初から最後まで歌とダンスが素晴らしい。
息をつく閑がない。

ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロンはもとより‥レベッカ・ファーガソンの清涼な歌声。
キアラ・セトルの迫力のボーカル。子役の子供達。

絵になる。
主演者全員が主人公になっている。

アメリカ合衆国の興行師P・T・バーナムは、世界中の誰もがDNAの一部でつながっていると信じていたのではないか。

ミュージカルは映画館で観るのがいい。
迫力が痛い。
身体が揺れる。

一週間後に息子二人と再度映画館へ。
同じ映画を続けて観る事は‥記憶にない。

時間と経済が許すなら‥毎日通うかも知れない。

「アメリカすごいわ、ほんと。がんばろ、って元気出るよね。EXCELLENTなものにふれると、なぜ生きているかがわかる」

から報告あり。

そう 私がなぜ生きているのか納得する。


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歌声にのった少年

2017年06月28日 | 映画
ムハンマド・アッサーフは、紛争地パレスチナのガザ地区で育った。

少年は歌うことが好きだった。

結婚パーティなどで歌い、地元ガザのテレビにも出演するほど上手だった。

姉のヌールは、弟の才能を信じ歌手になるように勧めた。

イスラエルが封鎖しているガザ地区は外の世界に出ることそのものが困難。

「大丈夫よ。いつか必ずここから出ていける。夢は叶う。スターになるって言って。スターになって世界を変える」

腎臓病で倒れた姉が死ぬ間際に言う言葉。

ムハンマドは、大きな夢(カイロのオペラハウスで歌う)を抱くようになった。



しかしガザから外に出るのは容易な事ではない。

防護壁で囲まれている“天井のない監獄”と呼ばれるガザ地区。
検問所は二か所。
空爆された町の中、瓦礫と化した施設、空爆の被害者、停電、飲料水でさえ満足でない状況。
ムハンマドは偽造したビザで脱出を試みようと‥

イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスによる戦闘から2年。
今もイスラエル軍による空爆が繰り返され、街の再建は、遅々として進んでいない。

『愛するパレスチナ...アラブの人々よ、祖国の何と尊いことか
クーフィーヤを掲げよう、高く空中に振りかざそう
最初の号砲が旅路の物語を告げる
時がくれば、僕らは全てをひっくり返すだろう
祖国よ、あなたのために僕らは立ち上がる
闘いの日、僕らは勝利への道を照らし出すだろう』
(ネットの記事から抜粋)
「クーフィーヤ」とは、頭にかぶったり首に巻いたりする布のこと。

ムハンマド・アッサーフは、姉との約束を果たした。
神からもらった声で今日も希望を歌っている。
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ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

2017年06月08日 | 映画

1929年、ニューヨーク。
老舗の出版社チャールズ・スクリブナーズ社の敏腕編集者マックス・パーキンズ。
彼のもとに、出版社をたらい回しにされたという原稿が持ち込まれる。

作者は無名の作家トマス・ウルフ。

原稿を読んだパーキンズはその才能に惚れ込み出版を約束する。
ただし‥その条件として膨大な原稿の大幅な削除を要求。
トマスは抵抗する。
激論を重ねながらの気の遠くなるような編集作業に取り組んでいく過程が良かった。
2人の苦闘の末に完成した処女作『天使よ故郷を見よ』は評判を呼び、瞬く間にベストセラーとなるのだが…。



トマス・ウルフは夭折の天才作家。
レニングラード シャーロックホームズのジュード・ロウが演じる。
脳みその中に溢れんばかりの語彙があり‥林檎を食べるという事だけで原稿用紙10枚は使う作家。
多少軽薄で無礼な様も‥見事に演じていた。

カリスマ編集者パーキンズはコリン・ファース。
英国王のスピーチ キングスメンの味とは別に厳格で濃密な人格がはまっている。

パーキンズは、ヘミングウェイやフィッツジェラルドをこの世に送り出している。

編集者と作家はぶつかり合い、寄添いあい、なだめなだめだれ 励ましあいながら一冊の本を世の中に送り出す。

本読みの私には涎が出る世界です。

トマス・ウルフについてはもう一度じっくり読みなおそう‥。
そう思える映画だった。


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