■サウンド・ミュージアム 坂本龍一
2009年4月26日(日) NHK-FM 19:20 - 22:00
坂本龍一
渋谷陽一
Playlist
hibari / 坂本龍一
千のナイフ / 坂本龍一
iconic storage / 坂本龍一
東風 / YMO
Merry Christmas Mr. Lawrence / 坂本龍一
TIBETAN DANCE / 坂本龍一
Broadway Boogie Woogie / 坂本龍一
RISKY / 坂本龍一
Same Dream, Same Destination / 坂本龍一
chanson / 坂本龍一
World Citizen -I won't be disappointed / 坂本龍一
RIOT IN LAGOS / YMO『YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08』より
still life / 坂本龍一
firewater / 坂本龍一
glacier / 坂本龍一
composition 0919 / 坂本龍一
to stanford / 坂本龍一
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■内容の一部を抜粋
・サウンド・ミュージアム
3月4日に5年ぶりとなる最新アルバム『out of noise』を発表した坂本龍一を取り上げる2時間40分。進行は渋谷陽一。題して「坂本龍一と渋谷陽一で聴く坂本龍一」。
http://www.nhk.or.jp/sound-m/
・hibari
ニュー・アルバム『out of noise』の1曲目。今回のプレイリストは渋谷陽一が丸一日かけて選曲したそうだ。
・千のナイフ
1978年のアルバム『THOUSAND KNIVES OF・RYUICHI SAKAMOTO』の1曲目。
「よくわかんないね、どう捉えたらいいのか(笑)」と教授。若いって乱暴だね、二十代には二十代、三十代には三十代にしか作れない音楽っていうのはあるよねと。
・iconic storage
ロンドンから届く音楽のリアクションだという1980年のアルバム『B-2 UNIT』収録曲。当時このアルバムは10万枚以上のセールスを記録しヒット・アルバムとなった。
・東風
イエローマジックオーケストラ時代の代表曲。
「ちょっとレトロっぽいね」と教授。不思議だが同じ時期に作った『B-2 UNIT』のほうが音が立ってると感じるそうだ。
「基本的にロックな人だとひじょーうにします。坂本龍一はロック的なアティチュードとロック的なエモーションでやるとすごくいいんだなぁというのを僕は感じますよね。だから今回の『out of noise』も同じ構造を感じますよね」と渋谷陽一。
・YMO
30年前は自分を当時の状況に適応させるのに苦労したと教授。今また3人でやってるがすごく楽なんだという。バンドをやるのがはじめてだったし、共同作業が苦手だったのでYMO時代は辛かったそうだ。
YMOに入るときの有名なエピソードがあって、それは高橋幸宏さんと教授が細野晴臣さんの家に呼ばれて、コタツにみかんとおにぎりがあって、細野さんから大学ノートを見せられて、そこには富士山の絵と「イエローマジックオーケストラ」と書いてあって、「やんない?」と誘われて、「うん、でも、まぁ、僕も自分の仕事が忙しいんで、時間があったらやってもいいっすけどね」みたいなことを言ったそうだ(笑)。「なんて生意気な野郎なんだっていう(笑)。それは両足突っ込まないで、いつでも逃げられるようにという僕の独特のスタンスなんですけれど。もちろんうれしんですよ。尊敬する細野さんにそんなこと言われたっていうのはさ」と教授。
・Merry Christmas Mr. Lawrence
1988年のアルバム『Coda』から「Merry Christmas Mr. Lawrence」のピアノ・ヴァージョン。
「ちょっとびっくりするな。僕は過去のものはほとんど聴かないんですよね。びっくりするぐらいに打鍵が強いですね。やっぱ若いからですかね。なんか全然音色が違うな、今と。こんなに強く弾けないですよ、今はもう枯れちゃって(笑)」と教授。
・YMO散開
アルバム『テクノデリック』を作ったときにやりつくした感があったそうだ。その後1年間休止したあと、暗黙の了解で最後の年にしようというのがあったとか。だから最後はぱあっと花火を上げて終わろうよという気持ちになっていたという。
・TIBETAN DANCE
YMO散開後の1984年にリリースされたアルバム『音楽図鑑』から。
この当時はYMOを仮想敵にして、YMOはメジャーでポップなバンドで人気者で「陽」の世界、自分は「陰」の世界、もっと過激なことをやるんだという陰陽のバランスを取っていたという。それが無くなって肩の荷がおり、もう少し難しいところに入っていたという感じあったそうだ。アルバム完成まで1年10ヶ月かかったという。
久しぶりに聴いた印象は「もっとほんわかしたトラックかなと思っていたんですけど、明るい曲だしね。ものすごい緊張感があるトラックですね。緊張が走ってるなぁ(笑)」と教授。
・Broadway Boogie Woogie
1986年のアルバム『未来派野郎』の1曲目。
「乱暴だなぁ」と教授。当時のことは忙しくてあまり覚えてないそうだ。毎晩飲んでいたとかで「俺が、俺が、俺が」という感じがするという。サンプリングマシーンが急速に普及してきて、コンピューターも使いやすくなって楽しくてしょうがない感じなのだそうだ。
・RISKY
1987年のアルバム『NEO GEO』から。ヴォーカルはイギー・ポップ。ドラムはスライ&ロビーのスライ・ダンバーで、プロデューサーのビル・ラズウェルがベースを弾いている。
「音感がゴージャスだな」と教授。
十代の頃はファンク・ミュージックを知らなくて、リズムに弱いというコンプレックスがあったのだという。二十歳を過ぎてから鈴木茂さんにスライ&ファミリーストーンを教えてもらったそうだ。そこからブラック・ミュージックやジャマイカの音楽を聴くようになったそうだ。
・Same Dream, Same Destination
1980年代の後半はアメリカのレコード会社と契約して『Beauty』、『Smoochy』、『Sweet Revenge』とポップな作品を制作する。レコード会社の社長命令だったが、曲のタイトルが変えられたり、シングルを作れと言われたり、プロデューサーの指名まであったという。
「Same Dream, Same Destination」はアズティック・カメラのロディ・フレームと一緒に作った曲。すべてループで作ったそうだ。当時、アズティック・カメラからプロデュースのオファーがあり知り合ったという。1994年のアルバム『Sweet Revenge』から。
・chanson
アメリカのレコード会社から「ポップなレコードを作れ」と言われて精一杯やったがよい結果が出せなかった。
1998年、原点に立ち返る意味で"Back To The Basic"の頭文字をタイトルにしたアルバム『BTTB』を発表。ブラームスっぽい曲を書いたりして十代の頃に聴いてきた音楽に寄り添ったのだという。その中から「chanson」。
「この落差がすごいよね」と教授。
・World Citizen -I won't be disappointed
2004年の前作『CHASM』から。
自分より一回り下の世代が作り出す音響系とかエレクトロニカと出合い楽しんでる、と教授。
・YMOの再結成
最初は食事会からはじめたという。細野さんはお酒が飲めないから食べたらすぐ帰ったという(笑)。
・RIOT IN LAGOS
2008年にスペインのヒホンで行われたYMOのライヴから。
昔のYMOはテクノでクールなバンドだった。「汗をかかない」というのがテーマだったそうだ。最近は普通になってきて汗をかいてライヴをしているという(笑)。細野さんのベースは今がいちばんすごいそうだ。テクノじゃなければというしばりがないのでチャック・レイニーから何から全部、おいしいものが、詰まってるものが、平気でゴリゴリ出てくる、と教授。
・still life
ニュー・アルバム『out of noise』から。
この2年ほどアイディアをノートに書いていたという。そこには「響き」という言葉が何回も出てきたそうだ。
「不思議な音楽だね(笑)」と教授。
・firewater
ニュー・アルバム『out of noise』から。アルバムの中でいちばん過激な曲。
「この独特なアシッド感、でも誰にもわかる心地よさ」と渋谷陽一。
「坂本龍一というのはものすごいエモーシャルな人で、ものすごいセンチメンタルな人だ、自分のセンチメンタリズムと向きあおうとする度にクールであろうとする、そのバランスの中でいろんなものが出たり、引っ込んだりする、そういうふうな歴史なのですよ」と話す。
・glacier
ニュー・アルバム『out of noise』から。曲の中に出てくる水の音は北極圏のグリーンランドを訪れたときに、氷河を割って録音した音なのだそうだ。自然にできた三角形の氷の中に入って行って鈴を鳴らし録音した音も入ってるという。
・composition 0919
ニュー・アルバム『out of noise』から。
秋にヨーロッパで20本ほどのライヴ・ツアーが予定されているそうだ。
・to stanford
ニュー・アルバム『out of noise』から。コトリンゴが書いた曲。
去年は
渋谷氏は
早くニューアルバムを作ってよ
と教授に要請してました。
ニューアルバムが出来て、どんな感想を述べるのかなあと思っていましたが、渋谷氏はアルバムに関する印象を何か話されてましたか?
渋谷さんは「『CHASM 2』をひたすら待ってたんですけれど、この『out of noise』も素晴らしい作品で、新しいステージに立った坂本龍一ですよね」と話してましたよ。