4月29日(祝・火) 晴れ。
先日、『ノーカントリー』を観たときに、ボブ・ディランを扱った映画『I'M NOT THERE』の予告編が上映された。おもしろそうだなと思ったので『I'M NOT THERE』を観に行くことにした。
http://www.imnotthere.jp/
■I'M NOT THERE
梅田ガーデンシネマ2
http://www.kadokawa-gardencinema.jp/umeda/
2008年4月29日(祝・火) 12時15分の回 整理番号37番
トッド・ヘインズ監督作品。2007年ヴェネチア映画祭主演女優賞(ケイト・ブランシェット)、審査員特別賞(トッド・ヘインズ)受賞。
ウディ・ガスリーと名乗り放浪する黒人少年、自らをアルチュール・ランボーと名乗る象徴派詩人、偽りの結婚生活を送るハリウッド・スター、カトリック教会の牧師となりゴスペルを歌う元プロテスト・フォーク・シンガー、フォークと決別した反逆のロックスター、西部開拓時代のアウトロー、ビリー。6人のキャラクターによってディランの伝説を映画化している。映画は6つのエピソードが絡み合いながら進行する。
ケイト・ブランシェットが演じる'60年代のディランが最高だ。ただ脚本は意識して変えてあるので抜かれた思いもある。真実のディランの人生ではないが、それ故に批評性を感じた。大音量で聴くディランの曲に気分が高揚した。この映画の縦軸はディラン、横軸はアメリカなのかもしれない。ハリウッド・スターのエピソードではヴェトナム戦争がキーワードとなっていた。
映画のサントラ盤『I'M NOT THERE』にはディランの曲のカヴァーが収められている。ディラン自身のヴァージョンはタイトル曲「I'm Not There」のみ。でも、このタイトル曲はディランとザ・バンドの共演で『地下室(The Basement Tapes)』のアウト・テイク。これまで公式未発表になっていた作品だとか。
『I'M NOT THERE』
映画の中で登場人物が歌うディランの曲はカヴァー・ヴァージョンが使われている。「Pressing On」はキリスト教3部作の1作、アルバム『Saved』に収録されている曲だ。映画ではかつてのプロテスト・フォーク・シンガーが牧師となり、教会で説教する場面で「Pressing On」が歌われている。これはJohn Doeのカヴァー・ヴァージョンで印象に残るシーンだ。
西部開拓時代のアウトロー、ビリーのエピソードが難解だった。映画の解説によるとウッドストック隠遁生活とサム・ペキンパー監督作品『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』(ディランが出演し、サントラ盤として『Pat Garrett & Billy The Kid』を製作した)にインスパイアされた話ということである。街の有力者ギャレットとビリーの対決場面の直前に「Going To Acapulco」が挿入されている。こちらはJim James & Calexicoのヴァージョン。オリジナルは『地下室(The Basement Tapes)』。この場面のシンガーは顔を白塗りにしていてローリング・サンダー・レビューの頃のディランのようだった。