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作品賞ノミネートされた非英語作品11本 (第1回~第92回アカデミー賞)

2020-02-12 12:57:32 | 映画 - ベスト

 2020年2月9日(日)(日本時間:10日(月) )に行われた第92回アカデミー賞にて、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞(旧・外国語映画賞)の4部門で受賞する快挙を成し遂げた。非英語作品が作品賞を受賞するのは初めて。

 そこで、これまで作品賞にノミネートされた非英語作品の一覧を表にまとめてみました。


posters of 11 non-English language films which nominated for Best Picture category in the Academy Awards


年度題名/原題(米国題)監督主な製作国言語他部門など
1938年度第11回『大いなる幻影』
La grande illusion
ジャン・ルノワールフランスフランス語など作品賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは10本。
1969年度第42回『Z』
Z
コスタ=ガヴラスフランス=アルジェリアフランス語など編集・外国語映画賞を受賞。
作品・監督・脚色賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
1972年度第45回『移民者たち』
Utvandrarna
(The Emigrants)
ヤン・トロエルスウェーデンスウェーデン語など作品・監督・主演女優・脚色・外国語映画('71年度)賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
1973年度第46回『叫びとささやき』
Viskningar och rop
(Cries & Whispers)
イングマール・ベルイマンスウェーデンスウェーデン語など撮影賞を受賞。
作品・監督・脚本・衣装デザイン賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
1995年度第68回『イル・ポスティーノ』
Il postino
マイケル・ラドフォードイタリア=フランスイタリア語など音楽賞(オリジナルドラマ)を受賞。
作品・監督・主演男優・脚色賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
1998年度第71回『ライフ・イズ・ビューティフル』
La vita è bella
(Life Is Beautiful)
ロベルト・ベニーニイタリアイタリア語など主演男優・音楽(オリジナルドラマ)・外国語映画賞を受賞。
作品・監督・脚本・編集賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
2000年度第73回『グリーン・デスティニー』
臥虎藏龍 / Crouching Tiger, Hidden Dragon
アン・リーアメリカ=中国中国語撮影・作曲・美術・外国語映画賞を受賞。
作品・監督・脚色・衣装デザイン・編集・歌曲賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
2006年度第79回『硫黄島からの手紙』
Letters from Iwo Jima
クリント・イーストウッドアメリカ日本語など音響編集賞を受賞。
作品・監督・脚本賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは5本。
2012年度第85回『愛、アムール』
Amour
ミヒャエル・ハネケフランス=ドイツ=オーストリアフランス語など外国語映画賞を受賞。
作品・監督・主演女優・脚本賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは9本。
2018年度第91回『ROMA/ローマ』
Roma
アルフォンソ・キュアロンメキシコスペイン語など監督・撮影・外国語映画賞を受賞。
作品・主演女優・助演女優・脚本・美術・音響編集・音響調整賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは8本。
2019年度第92回『パラサイト 半地下の家族』
기생충
(Parasite)
ポン・ジュノ韓国韓国語など作品・監督・脚本・国際長編映画賞を受賞。
美術・編集賞にノミネート。
この年の作品賞ノミネートは9本。


 以上の11本です。

 上記のように『グリーン・デスティニー』と『硫黄島からの手紙』は主な製作国にアメリカ合衆国が入っています。米国以外の映画で非英語作品に絞ると9作品が今までのアカデミー賞で作品賞にノミネートされたことになります。



◆ ◆ ◆

 『パラサイト 半地下の家族』より前の10本のうち作品賞受賞に一番近かったのは、主演男優賞を受賞した『ライフ・イズ・ビューティフル』と、監督賞を受賞した『ROMA/ローマ』でしょうか。

 『ライフ・イズ・ビューティフル』は1999年2月9日にノミネート発表までは週末集計だと全米で最大228館で上映されていました。ノミネート発表を受けて週末興行収入がトップ10入りして8位になり、上映館も685館まで増えました。3月21日の授賞式のあとには2週に渡ってトップ10に再び入り、上映館も1,136館に増えました。

 『ROMA/ローマ』はアメリカではNetflixが配給だったため、数字が発表されていません。

 『パラサイト 半地下の家族』は、全米の週末興行収入では今のところ11位が最高位。10月と11月と2月に1週ずつ、計3週で記録してます。週末ではなく1日ごとの集計では11月に8位を1日、10位を2日記録し、授賞式の翌日からは4位を連日記録しています。今週末に週末興行収入で初めてのトップ10入りは確実そうです。上映館数は2020年1月13日のノミネート発表までは11月の620館が最大で、ノミネート発表後は1,060館までに増えています。



◆ ◆ ◆

 なお、これまでの作品賞の受賞作には英語作品ながらインドが舞台の『ガンジー』 Gandhi (1982年) や『スラムドッグ$ミリオネア』 Slumdog Millionaire (2008年)、中国が舞台の『ラストエンペラー』 The Last Emperor (1987年、監督はイタリアのベルナルド・ベルトルッチ) があります。

 『ラストエンペラー』は作品・監督・脚色・撮影・作曲・美術・衣装デザイン・音響・編集賞の9部門で受賞し、アメリカ資本ではない映画の最多受賞記録となっています。

 また、フランス映画だが無声映画の『アーティスト』 The Artist (2011年) も作品賞を受賞してます。無声映画で作品賞を受賞したのは、第1回の『つばさ』 Wings (1927年) と第84回の『アーティスト』の2本のみです。



◆ ◆ ◆

 最後に、アカデミー賞の作品賞のノミネート作品数について書きます。


作品賞のノミネート本数
アカデミー賞本数
第1回 (1927年/1928年)1回 3本
第2回 (1928年/1929年)
  |
第4回 (1930年/1931年)
3回 5本
第5回 (1931年/1932年)1回 8本
第6回 (1932年/1933年)1回10本
第7回 (1934年度)
  |
第8回 (1935年度)
2回12本
第9回 (1936年度)
  |
第16回 (1943年度)
8回10本
第17回 (1944年度)
  |
第81回 (2008年度)
65回 5本
第82回 (2009年度)
  |
第83回 (2010年度)
2回10本
第84回 (2011年度)
  |
第86回 (2013年度)
3回 9本
第87回 (2014年度)
  |
第88回 (2015年度)
2回 8本
第89回 (2016年度)
  |
第90回 (2017年度)
2回 9本
第91回 (2018年度)1回 8本
第92回 (2019年度)1回 9本

 3本×1回、5本×(3+65)回、8本×(1+2+1)回、9本×(3+2+1)回、10本×(1+8+2)回、12本×2回となり、全92回で合計563本となります。

 第84回(2011年度)からルールが改定され、現在は獲得票の比率によってノミネート資格が与えられ、5~10本の映画が作品賞にノミネートされることになってます。



参照:


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