■『Peace(ピース)』(2010)
監督:想田和弘
監督の義理の父母が行っている「身体障害者の乗降介助」等、幅広いボランティア活動の様子を
監督自身がつききりでハンディカメラのようなもので撮った短編ドキュメンタリー。
高齢者が高齢者を支える時代。
これは、涙する類いのドキュメンタリー映画じゃない。
今ある日常で、これが生活の格差なんだ。
と同時に、戦中戦後を生きざるを得なかった方たちの心のうちが、
どれほど現代の若者たちと距離があるかも見えてきた。
厳しい現実とは裏腹に、岡山地方の方言があったかくてホッとする。
【内容抜粋メモ】
代々面倒をみてきたのらにゃんの間に最近黒いネコが加わり、ご飯を盗むのだという。
泥棒猫って
自慢のハート柄
「この猫なんかはもう子猫の時に捨てられて・・・」
他にも脚を怪我してるコもいる。
【ケアマネージャーの仕事内容例】
知的身体障害者の公園散歩や、重度身体障害者のホームへの運転等
脚が不自由な男性は「靴が買いたい」と依頼していた。
脚を引きずって歩くので靴底がすぐ減るから、裏がゴツゴツした丈夫な靴を丁寧に選ぶ。
彼がインタビューに答える。
「“かたわ”には嫁がきてくれない。
来てもいいって話もあったが、1、2年で離婚するくらいなら来なくていいと言ったんだ」
町で唯一の“養護学校”を建てる際には、地元住民の偏見による反対があったという。
高齢者の免許更新に20万円もかかったなどという利用者の話や、
事務所では、インフルエンザワクチンの無料注射は、
障害者にも適用可能か?など電話で問い合わせるシーンもある。
橋本さんの場合
末期の肺がんで在宅でケアを受けている。こうゆう役目は「ホスピス」てゆうのかな?
ダニのスプレーをかけてから家に入って/驚、料理を作ったり、細々としたお世話をする。
ネズミが石鹸を齧った跡がすごい!驚
「夜が長い・・・」と言う橋本さん。
「僕だけ・・・生き残ったのは・・・。九十までも生きて・・・だめやなあ・・・。
耐える、耐えれんやなくて・・・独りやからしようがないわな、どうも。
まあ、それでもな、結構、独りには独りの面白さ、良さもありますわ。誰にも遠慮せんでええからなあ。
良さを作らなあかんな、自分で」(深い言葉だな
橋本さんが戦争の話をするのは、今作の撮影の時が初めてだという。
「男は一銭五厘と言われた。当時の葉書の値段と同じですわ。弾除けってことです」
お国のために死ぬのが誇りであって、生きて帰るのが恥と思っているんだな。そんな時代だったんだ。
「出征の汽車のガラスには、紙が貼ってあって、皆どこに連れて行かれるかも見えない」
末期がんで苦しいのに、カメラが来たから、寝床でもちゃんとシャツとネクタイをして、
「愛嬌がないもんで、すんません。迷惑ばかりかけて」としきりに申し訳なさそうに謝る姿が残った。
あんな明るい笑顔で謙虚なのに
収入は半年で38万円
「政府からの援助みたいなものはあるんですか?」との監督からの質問に対して、
「この事業はそもそもボランティアで、無料でボランティアで運ぶというのが従来行われておったわけですがね、
それでは気の毒ないうことでね、ガソリン代ぐらいは、運んでくれる人へ利用者から払うてもえんじゃないかと・・・
だが規定があって、細かい規定がいっぱい出てきとんですが、しかも料金は勝手には決められん。
赤字ということは、運転者の給料は一銭も出んのが現実です。
貰よんじゃけど、それは、結局、母体の他の事業から貰ようるわけ、
共助グループ“喫茶去”いう訪問介護事業所から貰ようるだけで」
(マザー・テレサの信念から来てるんだなぁ・・・
駐車場料金も1時間分しか出ないが、訪問先で洗濯等やっていれば、どうしても2時間くらいははかかってしまうという。
「福祉有償運送運転者講習会」でセミナーもしている
「いごけば、いごくほど、ガソリン代が余計いるわけです。
私も3日に1回はガソリンを入れに行きょうたわけです。
ホントに朝から晩までなんです。土曜日、日曜日なしに。
初めっから分かっとんですよ。そもそも“福祉有償運送とは、何ぞや”ということ。
お金儲けではないんです、これは。(でも)お金には換えられないものがある」
近所から「(のらねこのせいで)真夏の蠅がすごい」とか臭いなどの苦情を言われる。
奥さんから夫に言うと、自分が悪者になるから「そこが夫の大嫌いなところ」
て旦那さんやカメラがいる前で堂々と言えちゃう奥さんも、ある意味カッコいい
お世話している猫の中には、腎臓が悪くて2日おきに点滴をしなければならないコもいるし、
メスは去勢するようにしている。
これまで何十年の間に、何十匹も世話をしてきたが、
自然とある一定数になると老猫は姿を消すのが不思議でならないと言う。
「自然淘汰いうんかな。あんまり数がごじゃごじゃおったらなあ、若いのにえさ場を譲るんじゃ。
特に雄はもう3歳くらいになるとな。どげぇ行くんか知らん。
なんぼ探して、そりゃあもう分からんなあ。一旦何処かへおらんようになったら。
それこそ、旅立つ言うんかなあ。不思議じゃ、あれは。
順繰り、順繰りにおらんようになっていくんじゃ不思議と!
ほんまに知らん間に1匹ずつおらんようになる。ほいで、若いもんが残るわけじゃ」
おじさんにとっては、猫にご飯をあげたりすることが心の支えなんだってことがよく分かる。
奥さんもあれだけボランティア精神に溢れているのに、にゃんこは嫌いなのかな?
それとも、近所とのトラブルが困るだけかな?
無償の愛にもいろんな事情、いろんな形があるだろうし、
“人助け”ってすんなり出来る人と出来ない人の違いって何だろう?
わたしには、あすこまで出来ない!て思った。たとえやりたいって思ったとしても。
どのみち、それぞれ自分が出来ることを精一杯やるしかなさそうだ。
カーラジオから流れる政治屋の福祉に関する演説が絶妙のタイミングで入ってきて、とても空疎に聞こえた。
彼らはずっと裕福で、何不自由なく暮らしているのだから。
小さな頃から、おそらく老後もずっと。。
橋本さんはその後亡くなられたんだ。合掌。
監督:想田和弘
監督の義理の父母が行っている「身体障害者の乗降介助」等、幅広いボランティア活動の様子を
監督自身がつききりでハンディカメラのようなもので撮った短編ドキュメンタリー。
高齢者が高齢者を支える時代。
これは、涙する類いのドキュメンタリー映画じゃない。
今ある日常で、これが生活の格差なんだ。
と同時に、戦中戦後を生きざるを得なかった方たちの心のうちが、
どれほど現代の若者たちと距離があるかも見えてきた。
厳しい現実とは裏腹に、岡山地方の方言があったかくてホッとする。
【内容抜粋メモ】
代々面倒をみてきたのらにゃんの間に最近黒いネコが加わり、ご飯を盗むのだという。
泥棒猫って
自慢のハート柄
「この猫なんかはもう子猫の時に捨てられて・・・」
他にも脚を怪我してるコもいる。
【ケアマネージャーの仕事内容例】
知的身体障害者の公園散歩や、重度身体障害者のホームへの運転等
脚が不自由な男性は「靴が買いたい」と依頼していた。
脚を引きずって歩くので靴底がすぐ減るから、裏がゴツゴツした丈夫な靴を丁寧に選ぶ。
彼がインタビューに答える。
「“かたわ”には嫁がきてくれない。
来てもいいって話もあったが、1、2年で離婚するくらいなら来なくていいと言ったんだ」
町で唯一の“養護学校”を建てる際には、地元住民の偏見による反対があったという。
高齢者の免許更新に20万円もかかったなどという利用者の話や、
事務所では、インフルエンザワクチンの無料注射は、
障害者にも適用可能か?など電話で問い合わせるシーンもある。
橋本さんの場合
末期の肺がんで在宅でケアを受けている。こうゆう役目は「ホスピス」てゆうのかな?
ダニのスプレーをかけてから家に入って/驚、料理を作ったり、細々としたお世話をする。
ネズミが石鹸を齧った跡がすごい!驚
「夜が長い・・・」と言う橋本さん。
「僕だけ・・・生き残ったのは・・・。九十までも生きて・・・だめやなあ・・・。
耐える、耐えれんやなくて・・・独りやからしようがないわな、どうも。
まあ、それでもな、結構、独りには独りの面白さ、良さもありますわ。誰にも遠慮せんでええからなあ。
良さを作らなあかんな、自分で」(深い言葉だな
橋本さんが戦争の話をするのは、今作の撮影の時が初めてだという。
「男は一銭五厘と言われた。当時の葉書の値段と同じですわ。弾除けってことです」
お国のために死ぬのが誇りであって、生きて帰るのが恥と思っているんだな。そんな時代だったんだ。
「出征の汽車のガラスには、紙が貼ってあって、皆どこに連れて行かれるかも見えない」
末期がんで苦しいのに、カメラが来たから、寝床でもちゃんとシャツとネクタイをして、
「愛嬌がないもんで、すんません。迷惑ばかりかけて」としきりに申し訳なさそうに謝る姿が残った。
あんな明るい笑顔で謙虚なのに
収入は半年で38万円
「政府からの援助みたいなものはあるんですか?」との監督からの質問に対して、
「この事業はそもそもボランティアで、無料でボランティアで運ぶというのが従来行われておったわけですがね、
それでは気の毒ないうことでね、ガソリン代ぐらいは、運んでくれる人へ利用者から払うてもえんじゃないかと・・・
だが規定があって、細かい規定がいっぱい出てきとんですが、しかも料金は勝手には決められん。
赤字ということは、運転者の給料は一銭も出んのが現実です。
貰よんじゃけど、それは、結局、母体の他の事業から貰ようるわけ、
共助グループ“喫茶去”いう訪問介護事業所から貰ようるだけで」
(マザー・テレサの信念から来てるんだなぁ・・・
駐車場料金も1時間分しか出ないが、訪問先で洗濯等やっていれば、どうしても2時間くらいははかかってしまうという。
「福祉有償運送運転者講習会」でセミナーもしている
「いごけば、いごくほど、ガソリン代が余計いるわけです。
私も3日に1回はガソリンを入れに行きょうたわけです。
ホントに朝から晩までなんです。土曜日、日曜日なしに。
初めっから分かっとんですよ。そもそも“福祉有償運送とは、何ぞや”ということ。
お金儲けではないんです、これは。(でも)お金には換えられないものがある」
近所から「(のらねこのせいで)真夏の蠅がすごい」とか臭いなどの苦情を言われる。
奥さんから夫に言うと、自分が悪者になるから「そこが夫の大嫌いなところ」
て旦那さんやカメラがいる前で堂々と言えちゃう奥さんも、ある意味カッコいい
お世話している猫の中には、腎臓が悪くて2日おきに点滴をしなければならないコもいるし、
メスは去勢するようにしている。
これまで何十年の間に、何十匹も世話をしてきたが、
自然とある一定数になると老猫は姿を消すのが不思議でならないと言う。
「自然淘汰いうんかな。あんまり数がごじゃごじゃおったらなあ、若いのにえさ場を譲るんじゃ。
特に雄はもう3歳くらいになるとな。どげぇ行くんか知らん。
なんぼ探して、そりゃあもう分からんなあ。一旦何処かへおらんようになったら。
それこそ、旅立つ言うんかなあ。不思議じゃ、あれは。
順繰り、順繰りにおらんようになっていくんじゃ不思議と!
ほんまに知らん間に1匹ずつおらんようになる。ほいで、若いもんが残るわけじゃ」
おじさんにとっては、猫にご飯をあげたりすることが心の支えなんだってことがよく分かる。
奥さんもあれだけボランティア精神に溢れているのに、にゃんこは嫌いなのかな?
それとも、近所とのトラブルが困るだけかな?
無償の愛にもいろんな事情、いろんな形があるだろうし、
“人助け”ってすんなり出来る人と出来ない人の違いって何だろう?
わたしには、あすこまで出来ない!て思った。たとえやりたいって思ったとしても。
どのみち、それぞれ自分が出来ることを精一杯やるしかなさそうだ。
カーラジオから流れる政治屋の福祉に関する演説が絶妙のタイミングで入ってきて、とても空疎に聞こえた。
彼らはずっと裕福で、何不自由なく暮らしているのだから。
小さな頃から、おそらく老後もずっと。。
橋本さんはその後亡くなられたんだ。合掌。