1970年初版 掛川恭子/訳 矢吹中彦/ケース・イラスト
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
子どもと大人の狭間にいるYA(ヤングアダルト)向けの一冊
他のシリーズも読んでみたい
教師の両親のもとで、理想的な教育環境に育って
“いい子”だったアイリーンが未成年で妊娠して
シングルマザーになることで、母の翼から旅立つまで
自分と母の関係を重ねて読んだ
【内容抜粋メモ】
登場人物
アイリーン 17歳の学生
ゲイ 3歳になる娘
ジョエル BF ゲイの父
フィオナ 親友
●1
アイリーンは3歳になる娘ゲイを連れて
親の友人の別荘へ週末旅行に出かける
バスに乗ると、おしっこがしたいと言い出すゲイ
母に育児を任せきりにしていたことを反省し
1人でもゲイを育てられることを証明しなくてはならない
実家を出て、アパートを探して、ゲイを保育園に入れて、働いて・・・
母の持論「子どもを自分の分身としてしか見てない親や祖父母にはガマンならない」
別荘に着いて、暖炉に火を入れ、ゲイを連れて店に行くと休業中
農家にミルクと卵を分けてもらい、夫が後から来るんだとウソをついた
母「ウソをついてはダメ 信じていることに自信を持たないと」
●2
だしぬけに妊娠したことを打ち明けると、両親はショックを受けたが
いつも通り、感情を理性で抑えて理解ある親の態度を崩さなかった
結婚するつもりもないと伝えると
母:どんな難題にも必ず解決の道はあるもの
友だちはいつも「あなたの両親は本当に素晴らしい」と羨ましがる
アイリーンは親にぶたれたり、脅かされたりしたことは一度もない
モーレイ・ハウス(エジンバラの師範学校)で教職課程をとるのを諦めるとホッとした
両親が代わりに考えてくれて、最上の解決策を見つけてくれるだろう
テニスをした後、再び親と話し合い、母は3つの道があると教える
1.堕胎手術を受ける 2.養子に出す 3.自分で育てる
母:
もちろん、できるだけのことはしてあげる
仕事のために資格をとらなきゃ
秘書養成コースなんかいいんじゃない?
両親ははじめからジョエルを好きじゃなかった
ジョエルは非まじめで、わざと反感を買うような言い方をした
アイリーンは自分で自分のことが決められない人間だが
今回はどうしても自分で決めなくてはならない
好きなタバコもアルコールも不味く感じて
妊娠したからだと驚き歓びがわいた
生まれてくるだけで完璧なもの 赤ちゃん!
アイリーンは自分で育てる決心を伝える
●3
ゲイはお風呂に入れようとしても拒み
「おばあちゃんがいい」と言ってアイリーンをイラだたせる
お尻を叩いて、布団に押し込み、後悔して泣いた
母:子どもをぶつのは、なまけ者の親がすることよ
母が「だから言ったでしょ」というのを抑える姿が浮かぶ
絶対に敗北を認めたりしない
●4
アイリーンは16歳の大晦日パーティーを初めて友だちだけで過ごしたいと伝える
親友フィオナは奔放な性格で、次々とBFを変えている
パーティーで初めて会ったジョエルはとても陽気な医学生
ジョエル:君の名前と電話番号を教えてよ 君こそボクの理想の女性だ
2人で庭に出て、キスをして、親に電話をかける約束をすっかり忘れてしまう
●5
寝る前にトイレに行くのを拒んだため、ゲイはおねしょをした
着替えさせ、お風呂に入れ、朝食を用意し、食べたら食器を洗い
食料を買うためにゲイを連れて3マイル歩き、雨が降り出した
ゲイが生まれなければよかったとは思ってない
いつかは扱い方が分かるようになるだろう
やっと12時半
娘が眠ってくれるまでの時間を指折り数えるとはひどい母親だ
●6
ジョエルはアイリーンの家に来るのを嫌がった
ジョエル:ボクは生命力のかたまりだし、君の両親はその生命を怖れている
両親「人間は分別のある人と、だらしない人に分けられる」
両親はアイリーンが分別があることをよく自慢していた
ジョエルはアイリーンに診療所でピルをもらうよう言う
ジョエル:安定したつまらない生き方をするのはやめよう
妊娠したかもしれないと思い、ジョエルが「あの薬を飲んでいるんだろう?」と囁いた時
診療所に行くのを延ばしていることを言えなかった
結婚話をしたら、すごく腹を立てるかもしれない
でも、責任をとってくれるだろう
ジョエルは30歳になるまでに王立外科学会の会員になるつもりだと打ち明けた
アイリーン:私、赤ちゃんができたの
ジョエル:
なんてバカなことになったんだ
結婚するつもりさ 君がそうしたいならね
アイリーン:
だれがあんたと結婚するもんですか 二度と顔も見たくない!
人でなし! ユダ公!
アイリーンは初めて感情を爆発させて、ジョエルを叩いた
●7
アイリーンはゲイに買収と脅迫を交互に繰り返していた
ゲイはポテトを食べずにお菓子を食べた
タンパク質抜きの食事でどれだけ健康でいられるのか?
ジョエルがやって来て、ゲイの面倒をみはじめる
ゲイ:ジョウにやってもらうの
アイリーンは嫉妬と不公平と思う気持ちで煮えくり返る
小さな女の子はみんな父親に媚びを売るものだ
ジョエル:話をしよう ずっと君のことを考えていた
アイリーンは男の手を借りる必要はまったくないフリをした
●8
ゲイが生まれた時、突き刺すような孤独感を感じ、自分だけの殻に閉じこもった
友だちとの間に深い溝ができたと感じた
両親は虚勢を張って、友人たちに娘の立場を話して周った
母:初めての孫を楽しみにしてますの
「ボクにも責任をとることを・・・」と書かれたジョエルからの長い手紙を封筒に戻して返事は出さなかった
意外にも母は溺愛型おばあちゃんになった
アイリーンが育児に途方に暮れて泣いていると、母が助けてくれ
次第に主導権を握っていった
母は教師を休業し、アイリーンに小遣いを渡し
ゲイに必要なものはすべて買ってくれた
母:私を乳母として雇ってくれればいいのよ
●9
フィオナに誘われて、映画『ドクトル・ジバゴ』を観に行く(!
相手のロバートはジョエルと全然似ていなかった
キスを求められて拒み、ワケの分からない嫌悪感に身震いした
●10
どうしてあんなにジョエルに腹を立てたのだろう?
両親の前で押し殺していた感情を吐き出しただけじゃなかったか?
父:
ゲイを養女にしてもいい
お前は働きだして、ずっと幸せそうになった
お母さんはゲイをとても愛している
あんなに夢中になるのを見たことがない
アイリーンはなにか違和感を感じて、週末旅行を思いついた
ジョエル:
君は優等生すぎるよ 時にはもっと人間らしいほうがいいんだ
好きなだけ腹を立てて、よかったらまた殴ってもいい
君のお母さんは、君に自分の手でどうするか決めさせるべきだったんだ
僕と結婚させたくなったのさ
アイリーンは診療所に行ったとウソをついたこと
手紙に返事を書かなかったことを謝る
●11
2人は和解する
これからはどんなことも2人で決め、責任も分かち合うのだ
アイリーンは母に電話する
アイリーン:私たち結婚することにしたの
3人で実家に帰ると、居心地悪い思いをする
ジョエルは両親に話して、家族でアフリカに旅行する計画を話す
●12
シンプルな結婚式を挙げた
両親の寝室から母の泣く声が聞こえる
母:私はあの子を愛しているのよ あの子が行ってしまうなんて耐えられない 助けて!
“あの子”とはアイリーンではなく、ゲイのことだと気づく
「他人に苦痛を与え得ると悟った時に大人になる」という言葉を思い出す
アイリーンは今大人になろうとしている
母の傷を癒す手助けができるのは父だけだ
ロンドン行きの夜行列車に乗るアイリーン、ジョエル、ゲイ
アイリーンは仕事を辞めて、医者の妻になるのを嬉しく思う
■あとがき
母と子の関係は、親子であると同時に
同じ女という性で結ばれた永遠のライバルでもある
その屈折した戦いの姿を巧みに描き出している
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教師の両親のもとで、理想的な教育環境に育って
“いい子”だったアイリーンが未成年で妊娠して
シングルマザーになることで、母の翼から旅立つまで
自分と母の関係を重ねて読んだ
【内容抜粋メモ】
登場人物
アイリーン 17歳の学生
ゲイ 3歳になる娘
ジョエル BF ゲイの父
フィオナ 親友
●1
アイリーンは3歳になる娘ゲイを連れて
親の友人の別荘へ週末旅行に出かける
バスに乗ると、おしっこがしたいと言い出すゲイ
母に育児を任せきりにしていたことを反省し
1人でもゲイを育てられることを証明しなくてはならない
実家を出て、アパートを探して、ゲイを保育園に入れて、働いて・・・
母の持論「子どもを自分の分身としてしか見てない親や祖父母にはガマンならない」
別荘に着いて、暖炉に火を入れ、ゲイを連れて店に行くと休業中
農家にミルクと卵を分けてもらい、夫が後から来るんだとウソをついた
母「ウソをついてはダメ 信じていることに自信を持たないと」
●2
だしぬけに妊娠したことを打ち明けると、両親はショックを受けたが
いつも通り、感情を理性で抑えて理解ある親の態度を崩さなかった
結婚するつもりもないと伝えると
母:どんな難題にも必ず解決の道はあるもの
友だちはいつも「あなたの両親は本当に素晴らしい」と羨ましがる
アイリーンは親にぶたれたり、脅かされたりしたことは一度もない
モーレイ・ハウス(エジンバラの師範学校)で教職課程をとるのを諦めるとホッとした
両親が代わりに考えてくれて、最上の解決策を見つけてくれるだろう
テニスをした後、再び親と話し合い、母は3つの道があると教える
1.堕胎手術を受ける 2.養子に出す 3.自分で育てる
母:
もちろん、できるだけのことはしてあげる
仕事のために資格をとらなきゃ
秘書養成コースなんかいいんじゃない?
両親ははじめからジョエルを好きじゃなかった
ジョエルは非まじめで、わざと反感を買うような言い方をした
アイリーンは自分で自分のことが決められない人間だが
今回はどうしても自分で決めなくてはならない
好きなタバコもアルコールも不味く感じて
妊娠したからだと驚き歓びがわいた
生まれてくるだけで完璧なもの 赤ちゃん!
アイリーンは自分で育てる決心を伝える
●3
ゲイはお風呂に入れようとしても拒み
「おばあちゃんがいい」と言ってアイリーンをイラだたせる
お尻を叩いて、布団に押し込み、後悔して泣いた
母:子どもをぶつのは、なまけ者の親がすることよ
母が「だから言ったでしょ」というのを抑える姿が浮かぶ
絶対に敗北を認めたりしない
●4
アイリーンは16歳の大晦日パーティーを初めて友だちだけで過ごしたいと伝える
親友フィオナは奔放な性格で、次々とBFを変えている
パーティーで初めて会ったジョエルはとても陽気な医学生
ジョエル:君の名前と電話番号を教えてよ 君こそボクの理想の女性だ
2人で庭に出て、キスをして、親に電話をかける約束をすっかり忘れてしまう
●5
寝る前にトイレに行くのを拒んだため、ゲイはおねしょをした
着替えさせ、お風呂に入れ、朝食を用意し、食べたら食器を洗い
食料を買うためにゲイを連れて3マイル歩き、雨が降り出した
ゲイが生まれなければよかったとは思ってない
いつかは扱い方が分かるようになるだろう
やっと12時半
娘が眠ってくれるまでの時間を指折り数えるとはひどい母親だ
●6
ジョエルはアイリーンの家に来るのを嫌がった
ジョエル:ボクは生命力のかたまりだし、君の両親はその生命を怖れている
両親「人間は分別のある人と、だらしない人に分けられる」
両親はアイリーンが分別があることをよく自慢していた
ジョエルはアイリーンに診療所でピルをもらうよう言う
ジョエル:安定したつまらない生き方をするのはやめよう
妊娠したかもしれないと思い、ジョエルが「あの薬を飲んでいるんだろう?」と囁いた時
診療所に行くのを延ばしていることを言えなかった
結婚話をしたら、すごく腹を立てるかもしれない
でも、責任をとってくれるだろう
ジョエルは30歳になるまでに王立外科学会の会員になるつもりだと打ち明けた
アイリーン:私、赤ちゃんができたの
ジョエル:
なんてバカなことになったんだ
結婚するつもりさ 君がそうしたいならね
アイリーン:
だれがあんたと結婚するもんですか 二度と顔も見たくない!
人でなし! ユダ公!
アイリーンは初めて感情を爆発させて、ジョエルを叩いた
●7
アイリーンはゲイに買収と脅迫を交互に繰り返していた
ゲイはポテトを食べずにお菓子を食べた
タンパク質抜きの食事でどれだけ健康でいられるのか?
ジョエルがやって来て、ゲイの面倒をみはじめる
ゲイ:ジョウにやってもらうの
アイリーンは嫉妬と不公平と思う気持ちで煮えくり返る
小さな女の子はみんな父親に媚びを売るものだ
ジョエル:話をしよう ずっと君のことを考えていた
アイリーンは男の手を借りる必要はまったくないフリをした
●8
ゲイが生まれた時、突き刺すような孤独感を感じ、自分だけの殻に閉じこもった
友だちとの間に深い溝ができたと感じた
両親は虚勢を張って、友人たちに娘の立場を話して周った
母:初めての孫を楽しみにしてますの
「ボクにも責任をとることを・・・」と書かれたジョエルからの長い手紙を封筒に戻して返事は出さなかった
意外にも母は溺愛型おばあちゃんになった
アイリーンが育児に途方に暮れて泣いていると、母が助けてくれ
次第に主導権を握っていった
母は教師を休業し、アイリーンに小遣いを渡し
ゲイに必要なものはすべて買ってくれた
母:私を乳母として雇ってくれればいいのよ
●9
フィオナに誘われて、映画『ドクトル・ジバゴ』を観に行く(!
相手のロバートはジョエルと全然似ていなかった
キスを求められて拒み、ワケの分からない嫌悪感に身震いした
●10
どうしてあんなにジョエルに腹を立てたのだろう?
両親の前で押し殺していた感情を吐き出しただけじゃなかったか?
父:
ゲイを養女にしてもいい
お前は働きだして、ずっと幸せそうになった
お母さんはゲイをとても愛している
あんなに夢中になるのを見たことがない
アイリーンはなにか違和感を感じて、週末旅行を思いついた
ジョエル:
君は優等生すぎるよ 時にはもっと人間らしいほうがいいんだ
好きなだけ腹を立てて、よかったらまた殴ってもいい
君のお母さんは、君に自分の手でどうするか決めさせるべきだったんだ
僕と結婚させたくなったのさ
アイリーンは診療所に行ったとウソをついたこと
手紙に返事を書かなかったことを謝る
●11
2人は和解する
これからはどんなことも2人で決め、責任も分かち合うのだ
アイリーンは母に電話する
アイリーン:私たち結婚することにしたの
3人で実家に帰ると、居心地悪い思いをする
ジョエルは両親に話して、家族でアフリカに旅行する計画を話す
●12
シンプルな結婚式を挙げた
両親の寝室から母の泣く声が聞こえる
母:私はあの子を愛しているのよ あの子が行ってしまうなんて耐えられない 助けて!
“あの子”とはアイリーンではなく、ゲイのことだと気づく
「他人に苦痛を与え得ると悟った時に大人になる」という言葉を思い出す
アイリーンは今大人になろうとしている
母の傷を癒す手助けができるのは父だけだ
ロンドン行きの夜行列車に乗るアイリーン、ジョエル、ゲイ
アイリーンは仕事を辞めて、医者の妻になるのを嬉しく思う
■あとがき
母と子の関係は、親子であると同時に
同じ女という性で結ばれた永遠のライバルでもある
その屈折した戦いの姿を巧みに描き出している