※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
2000年初版 各務三郎/訳 安藤由紀/挿絵
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
本当は『オリエント急行殺人事件』のほうを先に読みたかったけれども
図書館に行ってみたらなかったから
もうひとつの有名な作品を借りてきた
他の出版社では1冊にまとめられたものもあり
きっと面白いと確信があったから
同じ児童書とはいえ上下巻のほうを選んだ
最初に挿絵を見たときあまりにラフでちょっとがっかり
後ろを見たら2000年て新し過ぎたな
昭和初版のジュヴェナイルでアガサのシリーズはないのかなあ?
でもストーリーはやはりどんどん引き込まれていく
今で言う犯人像を想像して行くやり方は『羊たちの沈黙』のプロファイリングを思い出した
犯人は自信たっぷりにポワロに対して挑戦状を送る
全く関係ない人達をABC順に殺しているように思われるが
上巻の半分まで読んで私なりにも推理してみた
ポワロが被害者が美人かどうかを気にしていたので
『羊たちの沈黙』同様、最初のきっかけは
女性に対する何かの恨みで1人をターゲットにした犯行で
精神異常者の連続殺人に見せかけるために
他の関係ない人たちを殺していると思えた
これまで出てきた登場人物の中で一番意外だと思われるのは
精神科医?
とても自信家の若い刑事?
謎の美女の秘書?
でもまだまだ序盤なのなので、後半が楽しみすぎる
【内容抜粋メモ】
●第1の挑戦状
1935年 数年ぶりに南アメリカからイギリスに戻ったヘースティングスは
引退した(!)ポワロを訪ねると1通の殺人予告の手紙を見せる
白い便せんに活字体で「6月21日 アンドーバーを警戒せよ ABC」などと書かれている
警視庁には毎日こんなのが届くからイタズラだと笑われた
アレキサンダー(A)・ボナパルト(B)・カスト(C)といういかにもな名前の
謎の男がいきなり出てきて、最初は意味が分からない
予告の日、小さいタバコ屋のアッシャー夫人が後ろから殴られて殺された
ポワロ:これが始まりだ
夫はアルコール依存症 行方不明 いつも金をせびりに来ていた
カウンターの上にABC列車時刻表がアンドーバーで開かれたままふせてあった
金は盗まれていない
アルコール依存症者にはこんな活字体は書けない
凶器は重いステッキか棍棒
姪メリー・ドロアーの証言
アッシャーは弱気でこんなことは出来ないと否定
向かいの八百屋主人の話を聞く
ポワロ:
イギリス人は正面から聞かれると口を閉ざす性格がある
私が尋ねて、君が反対意見を言えば、彼らの口は軽くなる
タバコ屋に寄った客のリストを作る警部
最後に夫人に会った客、死んだのを知らずに帰った客に尋問しても何も出てこない
アッシャーは容疑者としてすぐ捕われるが犯行を否定
ポワロは犯人について考察する
自信家、強い個性、激しい劣等感を持つ男
周りが言う精神異常者の仕業という意見は最初から否定する
●第2の挑戦状
指定されたのは「7月25日 ベクスヒル海岸 ABC」
捜査に精神科医のソンプソン博士も加わる
次はBで始まる名前が被害者となる可能性が高いが
夏休みで海岸は観光客で混む
25日早朝、ベクスヒルの海岸でエリザベス・バーナードが殺された
レストラン「ジンジャー・キャット」のウエイトレスで若い美人
凶器は彼女のベルトで首を絞められた
ベクスヒルのページが開かれたABC鉄道案内が置かれていた
ロンドンでタイピストをしている姉ミーガンの証言
妹には不動産会社に勤めるドナルド・フレーザーというBFがいる
妹は派手な性格で、誘われるとすぐにデートに行くため
ドナルドはひどくやきもちを妬いていた
2度ほどひどいケンカをして、「殺してやる!」と脅したこともあった
ドナルドの証言
GFとセント・レナードへ行くと言っていたが
信じられずあとを尾けたが来なかった
たちまちマスコミが騒ぎ出す
ポワロ:
手紙を公開すれば、たくさんの情報が得られる
犯人は自分の犯罪が有名になって喜ぶでしょうね
公表しなかったら、また殺人は続く
A~Zまでか たぶんGかHくらいで捕まえられるでしょう
Cの段階で捕まえます
犯人はそのうち決定的な失敗をやらかす
この連続殺人事件で重要なことは1つ
きっかけ(動機)は何かということです
夫を死刑にされた女が、裁判の立会人を1人ずつ殺した事件があった
共通点がなかなか見つからず連続殺人となった
犯人は優しい
この手紙がなければ、アッシャーやドナルドが捕まったはず
結局、まだ公表は控えることに決まる
●第3の挑戦状
「チャーストン 8月30日 ABC」
書かれたのは8月27日、届いたのは30日の夜!
ホワイトホース荘宛てだが、ポワロの家はホワイトヘヴン荘
カーマイケル・クラーク卿が日課の散歩中、後ろから殴られて殺された
中国美術品のコレクター
死体のそばにはABC鉄道案内が置いてあった
ポワロ:共通点があるはずなのに、あまりに身分が違いすぎる
弟フランクリン・クラークの証言
兄嫁の夫人はがんで長くない
8月のチャーストンは海水浴客で混む
カーマイケルの秘書で北欧系の美女ミス・グレーは
夫人の世話をしている
●アレキサンダー・ボナパルト・カスト
「チャーストンに殺人狂が現れた!」
「犯人はあなたの町にいる!」
などと書かれた新聞を読む男にベンチで話しかけられる
カスト:
僕は戦争に行ったお蔭でダメになり
頭がハッキリしない
時々、自分のしていることが分からなくなる
警視庁は公開捜査に踏み切った
新聞にはヘースティングスが話してないことまで記事にしてあり怒ると
ポワロ:
喋ったことと正反対の記事が載ることもある
でもそれを読んで、犯人がうっかりボロを出すかもしれない
犯人はある目的で人を殺し続けてきた
もう1つの犯罪が起きるのは間違いない
これまでは運が良かった
腕のいい釣り人は魚の好きな餌を知っている
私はその餌を犯人の前にそっと出す
事件関係者は、自分が重要だと思ったことしか話さない
●特別捜査隊
フランクリンは被害者の友人や身近な人で捜査隊を作る提案をして
特別捜査隊としてポワロのアパートに集まったのは
ソーラ、ミーガン、メリー、フランクリン、ドナルド
ポワロ:
犯人はあらかじめ犠牲者を選び、土地を選び、殺人の時間も決めているはず
パズルの1片が集まれば1枚の絵になる
それぞれが事件前後の話をする
ポワロはジンジャー・キャットのウエイトレスや
タバコ屋の近所の子どもたちから話を聞くよう捜査隊に指示する
ソーラはロンドンで働きたいと願っていること
兄嫁がポワロに会いたがっていることを伝えるフランクリン
■アガサ・クリスティー作品と解説 各務三郎
ポワロは清潔好き、秩序と整頓が生活信条
最後の『カーテン』で病死するが(すごいネタバレ!)
作者が主人公の探偵を死なせるケースは稀
ポワロの死亡記事は新聞・雑誌に載るほど世界で有名になっていた
イギリス紳士とは反対の性格、派手なうぬぼれ屋がユーモラスで
エルキュール(大男ヘラクレス)という名前も良かった
クリスティーが有名になったのは『アクロイド殺人事件』
奇想天外なトリックがフェアかアンフェアかで論争となった
(読んでみたいな
・アガサ・クリスティー探偵名作集 22 『ABC殺人事件 下』 アガサ・クリスティー/著 岩崎書店
につづく
2000年初版 各務三郎/訳 安藤由紀/挿絵
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
本当は『オリエント急行殺人事件』のほうを先に読みたかったけれども
図書館に行ってみたらなかったから
もうひとつの有名な作品を借りてきた
他の出版社では1冊にまとめられたものもあり
きっと面白いと確信があったから
同じ児童書とはいえ上下巻のほうを選んだ
最初に挿絵を見たときあまりにラフでちょっとがっかり
後ろを見たら2000年て新し過ぎたな
昭和初版のジュヴェナイルでアガサのシリーズはないのかなあ?
でもストーリーはやはりどんどん引き込まれていく
今で言う犯人像を想像して行くやり方は『羊たちの沈黙』のプロファイリングを思い出した
犯人は自信たっぷりにポワロに対して挑戦状を送る
全く関係ない人達をABC順に殺しているように思われるが
上巻の半分まで読んで私なりにも推理してみた
ポワロが被害者が美人かどうかを気にしていたので
『羊たちの沈黙』同様、最初のきっかけは
女性に対する何かの恨みで1人をターゲットにした犯行で
精神異常者の連続殺人に見せかけるために
他の関係ない人たちを殺していると思えた
これまで出てきた登場人物の中で一番意外だと思われるのは
精神科医?
とても自信家の若い刑事?
謎の美女の秘書?
でもまだまだ序盤なのなので、後半が楽しみすぎる
【内容抜粋メモ】
●第1の挑戦状
1935年 数年ぶりに南アメリカからイギリスに戻ったヘースティングスは
引退した(!)ポワロを訪ねると1通の殺人予告の手紙を見せる
白い便せんに活字体で「6月21日 アンドーバーを警戒せよ ABC」などと書かれている
警視庁には毎日こんなのが届くからイタズラだと笑われた
アレキサンダー(A)・ボナパルト(B)・カスト(C)といういかにもな名前の
謎の男がいきなり出てきて、最初は意味が分からない
予告の日、小さいタバコ屋のアッシャー夫人が後ろから殴られて殺された
ポワロ:これが始まりだ
夫はアルコール依存症 行方不明 いつも金をせびりに来ていた
カウンターの上にABC列車時刻表がアンドーバーで開かれたままふせてあった
金は盗まれていない
アルコール依存症者にはこんな活字体は書けない
凶器は重いステッキか棍棒
姪メリー・ドロアーの証言
アッシャーは弱気でこんなことは出来ないと否定
向かいの八百屋主人の話を聞く
ポワロ:
イギリス人は正面から聞かれると口を閉ざす性格がある
私が尋ねて、君が反対意見を言えば、彼らの口は軽くなる
タバコ屋に寄った客のリストを作る警部
最後に夫人に会った客、死んだのを知らずに帰った客に尋問しても何も出てこない
アッシャーは容疑者としてすぐ捕われるが犯行を否定
ポワロは犯人について考察する
自信家、強い個性、激しい劣等感を持つ男
周りが言う精神異常者の仕業という意見は最初から否定する
●第2の挑戦状
指定されたのは「7月25日 ベクスヒル海岸 ABC」
捜査に精神科医のソンプソン博士も加わる
次はBで始まる名前が被害者となる可能性が高いが
夏休みで海岸は観光客で混む
25日早朝、ベクスヒルの海岸でエリザベス・バーナードが殺された
レストラン「ジンジャー・キャット」のウエイトレスで若い美人
凶器は彼女のベルトで首を絞められた
ベクスヒルのページが開かれたABC鉄道案内が置かれていた
ロンドンでタイピストをしている姉ミーガンの証言
妹には不動産会社に勤めるドナルド・フレーザーというBFがいる
妹は派手な性格で、誘われるとすぐにデートに行くため
ドナルドはひどくやきもちを妬いていた
2度ほどひどいケンカをして、「殺してやる!」と脅したこともあった
ドナルドの証言
GFとセント・レナードへ行くと言っていたが
信じられずあとを尾けたが来なかった
たちまちマスコミが騒ぎ出す
ポワロ:
手紙を公開すれば、たくさんの情報が得られる
犯人は自分の犯罪が有名になって喜ぶでしょうね
公表しなかったら、また殺人は続く
A~Zまでか たぶんGかHくらいで捕まえられるでしょう
Cの段階で捕まえます
犯人はそのうち決定的な失敗をやらかす
この連続殺人事件で重要なことは1つ
きっかけ(動機)は何かということです
夫を死刑にされた女が、裁判の立会人を1人ずつ殺した事件があった
共通点がなかなか見つからず連続殺人となった
犯人は優しい
この手紙がなければ、アッシャーやドナルドが捕まったはず
結局、まだ公表は控えることに決まる
●第3の挑戦状
「チャーストン 8月30日 ABC」
書かれたのは8月27日、届いたのは30日の夜!
ホワイトホース荘宛てだが、ポワロの家はホワイトヘヴン荘
カーマイケル・クラーク卿が日課の散歩中、後ろから殴られて殺された
中国美術品のコレクター
死体のそばにはABC鉄道案内が置いてあった
ポワロ:共通点があるはずなのに、あまりに身分が違いすぎる
弟フランクリン・クラークの証言
兄嫁の夫人はがんで長くない
8月のチャーストンは海水浴客で混む
カーマイケルの秘書で北欧系の美女ミス・グレーは
夫人の世話をしている
●アレキサンダー・ボナパルト・カスト
「チャーストンに殺人狂が現れた!」
「犯人はあなたの町にいる!」
などと書かれた新聞を読む男にベンチで話しかけられる
カスト:
僕は戦争に行ったお蔭でダメになり
頭がハッキリしない
時々、自分のしていることが分からなくなる
警視庁は公開捜査に踏み切った
新聞にはヘースティングスが話してないことまで記事にしてあり怒ると
ポワロ:
喋ったことと正反対の記事が載ることもある
でもそれを読んで、犯人がうっかりボロを出すかもしれない
犯人はある目的で人を殺し続けてきた
もう1つの犯罪が起きるのは間違いない
これまでは運が良かった
腕のいい釣り人は魚の好きな餌を知っている
私はその餌を犯人の前にそっと出す
事件関係者は、自分が重要だと思ったことしか話さない
●特別捜査隊
フランクリンは被害者の友人や身近な人で捜査隊を作る提案をして
特別捜査隊としてポワロのアパートに集まったのは
ソーラ、ミーガン、メリー、フランクリン、ドナルド
ポワロ:
犯人はあらかじめ犠牲者を選び、土地を選び、殺人の時間も決めているはず
パズルの1片が集まれば1枚の絵になる
それぞれが事件前後の話をする
ポワロはジンジャー・キャットのウエイトレスや
タバコ屋の近所の子どもたちから話を聞くよう捜査隊に指示する
ソーラはロンドンで働きたいと願っていること
兄嫁がポワロに会いたがっていることを伝えるフランクリン
■アガサ・クリスティー作品と解説 各務三郎
ポワロは清潔好き、秩序と整頓が生活信条
最後の『カーテン』で病死するが(すごいネタバレ!)
作者が主人公の探偵を死なせるケースは稀
ポワロの死亡記事は新聞・雑誌に載るほど世界で有名になっていた
イギリス紳士とは反対の性格、派手なうぬぼれ屋がユーモラスで
エルキュール(大男ヘラクレス)という名前も良かった
クリスティーが有名になったのは『アクロイド殺人事件』
奇想天外なトリックがフェアかアンフェアかで論争となった
(読んでみたいな
・アガサ・クリスティー探偵名作集 22 『ABC殺人事件 下』 アガサ・クリスティー/著 岩崎書店
につづく