メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

久我美子さん出演『牝犬』(1951年)@池袋 新文芸坐(9.19

2021-09-20 11:58:58 | 映画
監督:木村恵吾

出演:
堀江亘 志村喬
たみ 北林谷栄
由記子 久我美子
エミー 京マチ子
的場五郎 加東大介
白川圭一 根上淳
ほか



「久我美子さん出演作まとめ」カテゴリー内に追加します


女性より男子トイレに長い行列が出来てる光景って初めて/驚
男性はヴァンプが好きなんだねえ

館内はそれぞれ自主的に1つずつ席を空けて満席状態



 












凄い作品だった!!
あんまり強烈で、しばらく熱に当てられたように茫然とした

京マチ子と言えば、黒澤明の『羅生門』の印象しかないが
ヒッチコックのヒロインを越える熱演

しなやかで豊満な肢体、日本人離れした顔立ち
男を誘惑する目つきや仕草は女性も惹かれる

志村さんも『生きる』を彷彿とさせる茫然自失っぷり
志村さんが出れば、全部名作になる

そして、私の大好きな久我美子さんの踊り子役にビックリ!!
本人もこの役が来た時は驚いて戸惑ったのでは?

踊ってるのは別人だろうけど
パッと正面を向いた一瞬のシーンの美しさったら!


【内容抜粋メモ】(内容、セリフはうろ覚えです/謝

健康が自慢な父・堀江亘
ホリエ:この家を建てたのも、私の健康のお蔭だ

母は娘・由記子を生んでから20年間ずっと病身
ユキコはもっとバレエを本格的に習いにロンドンに行きたいと夢を話すが
父から「ダメだ!」と鶴の一声

ホリエは部下を呼び出し、6万円ほど会社の金を使い込んだ社員について尋ねる
若者の将来を潰すのは気の毒だから説得するため
彼が貢いだと思われるキャバレーの女の名前を聞くとエミー

出張の用事が思ったより早く終わり
キャバレーの楽屋に行ってみると
てんやわんやの大騒ぎに巻き込まれるw

エミーの露わな太ももに度肝を抜かれるホリエ
エミー:私は関係ないわ
ホリエ:失敬する!

カバンを忘れた!と戻ると、ものの1分もしないうちになくなっている
ホリエ:あれには今日預かってきた300万円が入っているんだ! 返せ!

エミーの兄・五郎(加東大介)が現れる
盗んだのは兄





300万も入っていると知って、これを元手に2人で一旗揚げようと
妹にホリエを誘惑するよう言う

断るエミーにいつも2枚のカードを出してどちらかを選ばせる
負けたエミーは仕方なく、ホリエを家に連れ込み
暑いと言って風呂に入って、浴衣に着替える

ホリエ:
なんでそんな格好なんだ?(真面目な慌てぶりがいちいち可笑しい
早く金を返してくれ!

エミー:兄ちゃんが戻らないんだもの

なんだかんだとウソをついて、とうとう関係を持ってしまう

会社では「ホリエが戻らない」と社長から家に電話が来る
社長:彼にかぎってないとは思うが、女が関係しているかもしれん

それを聞いて卒倒してしまう妻


それから1年経ち、また暑い夏
他の街で店を持ち、踊り子に「マダム」と呼ばれているエミー
ホリエはエミーから「パパ」と呼ばれて、店のオーナーをしている

エミーの体の汗を拭いたり、服を片付けたりして、すっかり骨抜き状態で
始終うざがられている





ホリエ:お前のために妻子、会社の地位も捨てて・・・
エミー:もう聞き飽きたわよ!

店のジャズバンドのサックスの老男が胸を患って辞めるから
代わりの若い男性・白川圭一を連れてくる
(サックスは胸を痛める???


エミーが酔っぱらって賭けに興じている間に終電がなくなり
「店に泊まりなよ」と言われて、仕方なく階段に座る白川

1人で熱心にピアノを弾く姿を見てひと目で惚れてしまうエミー
キスを迫ると拒まれて傷つく

ホリエ:
何をしてきたんだ?
俺はお前が1晩も2晩も帰らないわけを知ってるぞ

エミーにすがるホリエのねちねちっぷりが完璧で哀れな半面
なにか恐ろしい事が起きそうな予感がする


水着を買いに来た踊り子たち

踊り子:
それ、冬のコーデュロイじゃない
ズボンくらい買ったら?
このジャケット着てみなさいよ 似合うじゃない

エミー:買ってあげるわ
白川:いいです!

その後、四畳半ひと間の部屋に戻ると
エミも「後を尾けてきた」と言って来る
ここでも迫るがかたくなに拒む白川

エミー:
女にも意地があるんだ
死んだってこんな所に二度と来るもんか!

と言いつつ、背中がとても寂しそう
初めて異性に恋した女の子みたい



海に来て、ボートに乗り、嵐がきて、小屋に入るエミーと白川
ありがちなシチュエーションだけど、ここでも拒む白川






ホリエ:ボートで島に行って、ひと晩過ごして、何をしてたんだ?!

エミー:みんな私じゃなく、この体目当てな犬ばっかりなんだ! と泣き伏せる
白川さんががあたいを拒むのはパパがいるせいだ!
パパ、あたいと別れて!

ホリエは茫然として、無意識にナイフを握り
ホリエ:白川を殺してやる・・・

エミー:今言ったのは全部ウソ! 私にキスして!!


刑務所から出た兄が店に来て金を無心するがないと断る

「俺がいないとダメなんだ」
と妹にまた売春をさせようとして
カードを2枚出して選ばせる

エミー:
私をこんな風にしたのは兄ちゃんだ!
私は兄ちゃんを恨む!


店で黒いシースルーの衣装で妖艶に踊る女性
踊り子:あんな踊りが知れたら、営業停止になるわよ

パッと顔が映るとユキコ!






楽屋で着替えていると、ホリエが入ってきて、父だと分かり
2人はしばし茫然とする





ユキコ:
来ないで! あんたなんかお父様じゃないわ
どうせなら立派になって現れたらいいのに

お母さまは死んだわ
病身なのに、あれから一生懸命働いて・・・

私はお陰様でバレエが役に立ったわ

父親に捨てられた娘がこんな場末のキャバレーで再会して
許すのが物語でしょうけど・・・

私は許さない!!
お母さまが許しても、私は絶対許さない!

もう金輪際お目にかかりません!

どんなに身を落としても、久我さんが演じると品が出ちゃう


憎むと言いながらも「お父さまへ」と書いて封筒にお金を入れて
警官に「あの人が落としたみたいなんです」と言って渡して去る

警官はホリエのポケットに入れ
その封筒を見て

ショーウィンドウに映った自分の哀れな姿に向かって
「バカ野郎!!」と繰り返す

飾られたマネキンの組んだ艶めかしい脚が動いてエミーを思い出し
ウィンドウのガラスを叩き割る



エミーが再び白川の部屋に行くと、電報が来て

白川:
以前から入るのが夢だったバンドのオーディション?に受かり
採用されることになったから、今の店は辞めます


荒れまくるエミー
エミー:あたいはあいつに惚れてんだ!

踊り子の友人は、今からでも遅くない
東京までついていけばいいと後押しする

最後の演奏が終わり、夜行電車に乗る予定の白川

エミ:あたいはやり直すんだ

白い服に着替えて、部屋を出ようとすると
ナイフを持ったホリエが現れる

エミー:私を殺さないで!

揉み合ううちに背中を刺されてもヨロヨロと歩いて
最終列車になんとか乗ろうとする女の執念が凄い

純粋な白い花に囲まれた柵で絶命する姿も絵本のように美しい






列車で白川はユキコに席を譲る
この2人はお似合いだな

ホリエは荒れた海のほうへ歩いて行くというエンディング


***


久我さんのシーンがもっと観れると期待していたけれども
端役としても様々な映画に出ていることが分かったし
なにより京マチ子×志村喬の演技力に拍手!!


森雅之×京マチ子『痴人の愛』も観てみたい!!







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