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『信州の縄文時代が実はすごかったという本』信濃毎日新聞社
藤森英二/著
以前、父の誕プレか父の日のプレゼントに買ったのを忘れて
また同じ本をプレゼントしようとAmazonをポチっとしてから気づいて焦った/汗
それなら私が読もうとずっと積んでおいたのを
やっと読んでみた
本も読むベストタイミングもあるよね
文字と写真のバランスがちょうどよくて読みやすく
当時の縄文人の暮らしを素朴な人形にした作品もステキ
長野にこれだけ素晴らしい縄文文化があったことにとても驚き
誇りに思った
改めて、1万年以上続いた縄文時代の暮らし、思想に
現代人が学ぶ点も多い
父が昔、発掘調査にも関わっていたことがあるので
本書を贈った時、とても興奮していた
真夏の猛暑の中、パートの奥さま、学生さんらを使って発掘する話を
母から聞いたことがある
知人は、欠けた土器をパズルのように組み合わせるパートをしていたこともある
小さい頃から興味はあったものの
父に連れられて、家族でいろいろ巡った遺跡がどこかは
もう思い出せないのが残念
縄文 美の発見@日曜美術館
【内容抜粋メモ】
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●はじめに 藤森英二
母の故郷は信州諏訪
信州は縄文遺跡の宝庫だった
就職を機に私は憧れの信州に移り住み
千曲川流域の縄文遺跡を学んだ
八ヶ岳縄文文化繁栄の謎に迫る
※
本書の「〇〇年前」は、放射性炭素年代測定という方法で
研究の進展や計算方法により変わることがある
●縄文時代っていつ?
日本の屋根とも言われる長野県
この山塊は、日本列島を東西に分断する「フォッサ・マグナ(大地溝帯)」の火山帯だ(初耳/驚
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約50000年前にアフリカ大陸を旅だったホモサピエンスは
約38000年前に日本列島に足を踏み入れた
ナウマンゾウが闊歩し、氷河期の寒冷な気候
人々はまだ土器や弓矢を知らず遊動生活を送っていた
狩人は黒曜石を採集して槍を作る
約15000年前、土器が使われる
縄文時代の幕開けだ
それは定住にもつながった
約5500~4500年前、信州で縄文文化の頂点を迎える
「土器」
粘土を器の形に整形し焼き固めたもの
熱に強く、液体を満たすことができる
土の中でも腐らず、1万年に発掘して調べることができる!
(それを考えると、今のプラスチックも1万年後に発掘されて
今日の私たちの生活の様子を考察することができるのかも?
「最古級土器の発見された遺跡」
縄文土器が世界でも最古に近い古さを誇ることは意外に知られていない
(日本発信というより、中国、ロシアにもあったのか
どんな形か見てみたい
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「研究者は13000年を大きく6つに分けて考えることが多い」
八ヶ岳南麓の遺跡が増えたのは中期
(旧石器時代)→草創期→早期→前期→中期→後期→晩期→(弥生時代)
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「名前の由来」
英語の「Cord marked pottery」の日本語訳
明治時代に来日し、大森貝塚を発掘したアメリカ人動物学者エドワード・S・モースがこう呼んだ
(これも日本発信じゃないのか/驚
『土の中からでてきたよ』(平凡社)
町歩き@品川歴史館など
「貝 海辺のタイムトラベラー」@ビッグイシュー
「稲作の伝来」
大陸・朝鮮半島から水田稲作技術者が来て、混ざり合いながら弥生時代が始まる
稲作をしなかった北海道、琉球列島は違う文化、政治が発展
「縄文人」
今の日本人は、弥生時代に大陸から来た人と
縄文人の混血といえる
「縄文遺跡」
どこにでもある
全国で約9万か所以上(!
「文字」
縄文人は文字を残さなかったが
言葉を使って会話していたと思われる
「縄文時代の人口」
割り出すのは非常に難しい
「2つの発掘法」
・学術的な発掘調査
・緊急発掘(記録保存):遺跡の上に道路や建物を造る場合調査する
「食事」
クリ、ドングリなどの堅果類、シカ、イノシシなどの肉
魚介類、山菜、マメ類を栽培していたという説もある
「住居」
竪穴住居
「衣服」
土偶の模様から考えると、単に毛皮をまとっていたのではなく
服を着ていた可能性がある
●井戸尻文化の繁栄
考古学者・戸沢充則は、縄文時代の3つの特徴をあげた
貝塚文化
亀ヶ岡文化
信州の縄文中期の文化
本書では、3.を井戸尻文化と呼ぶ
関東西部から山梨・長野を1つの文化圏と考える者は多い
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●八ヶ岳山麓は遺跡だらけ
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フクロウが樹々の間を抜け
カワウソ、シカ、イノシシがそれぞれの住処を守る
5000年前、人間はまだこの大地の一部だった
やがてすべての人々は大地に帰る
そして千年の繁栄の後
人間はこの地から去っていった
そこに記された神話を読み解く巫女はもういない
「木の実の恵み」
日本の土は強い酸性でほぼ腐ってなくなってしまっているが
クリ、クルミ、ドングリなどの堅果類はでんぷんが多く、保存食としても優れる
クリの幹は柱などの木材としても使われた
(こういうものを食べて生きていきたい
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磨石で粉末にしてパンやクッキーのようなものも焼いて作っていた/驚
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(宇宙人クッキングと同じくらいのレベルでは?!←勝手に親近感
日本の落葉広葉樹林に多いコナラ、トチの実などは
タンニンなどの苦みがあり、灰汁抜きが必要
●本当に農耕はなかったか?
植物の管理、栽培も始めていたという「縄文中期農耕論」もある
シソ、エゴマも見つかった
ダイズ、アズキなどのマメ類はたんぱく質が詰まった食料だ
森の木々を間引くと陽が入り
ワラビ、ゼンマイ、ノビル、コゴミ、タラの芽なども生える
(大好きな山菜ばかり!
「打製石斧」
木の棒に石をつけて土を掘ったと考えられる
ヤマイモを掘り出した説もありイモ類も食べていたと思われる
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●狩り、漁
落とし穴を作ったり、犬を飼い、狩りのパートナーとしていたのだろう
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「見つかる動物骨」
シカ、イノシシ、サル、ウサギ、クマなど
骨・角・牙は加工して縫い針、アクセサリーにしていた
「千曲川のサケの溯上」
魚介類も重要な食料
地上から6mに縄文時代の遺跡が見つかった(そんなに浅いの?!
千曲川は新潟県に入ると信濃川となる367kmの日本最長の大河
1936年の飯山市西大滝ダム完成以前は
千曲川でサケ・マス漁が盛んだったようだ
天竜川でも1951年の平岡ダム完成までは
サケ・マス漁が行われていた
(ダムで電気を起こす代わりに、魚が消えたんだね
「石で作った錘」
(これでどう釣ったんだろう???
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<知恵の時代>
八ヶ岳山麓の縄文時代中期の食卓
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●火山の生んだ宝物「黒曜石」
(だんだん『ブラタモリ』みたいになってきたw
黒曜石は私の大好きな『銀河鉄道の夜』にも出てくる
「黒曜石の石器」
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「八ヶ岳に人が集まった理由」
矢尻は石で作る
黒曜石は天然のガラスで割れ口が鋭く
今でも手術用のメスに使われるほど/驚
火山のある特定の場所でしかとれない
八ヶ岳周辺は黒曜石の一大産地だった
黒曜石の集積跡がたくさんあり
大量に入手し、各地に分配していたようだ
「チャート」
石材のひとつ 石器製作には使いづらいものもあるが
矢じり、石匙(せっぴ)というつまみのついたナイフも見つかる
「ヒスイ」
狩りや漁に必要ないものだが
これらが遠く運ばれるということは
今でいうブランド力があったのだろう
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そして長野県の一大文化圏を作り出した
それが「井戸尻文化」ではないだろうか
千葉県銚子のコハクも運ばれている
●勝坂・井戸尻系と呼ばれる土器群
時代により変化する土器を模様、形、作り方の似ているものを「型式」と呼ばれる単位でくくる
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「中期後半土器の分布」
土器の分布は、今の方言分布とよく似ている
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藤内遺跡の出土遺物のうち199点が
2002年に国の重要文化財に指定されている(けっこう最近/驚
●土器には神話が隠れている
実用には向かない模様・突起がつけられている
遠く離れたムラ同士の友好関係の証として機能したのではないか
「蛇体把手土器」
重さ7kg以上! 何のために運んだのか?
八ヶ岳から運ばれた土器を真似して作りお手本とされたと考える
「デイサイト」
粘土の中に白い半透明の粒が見られる
岩が細かくなったもの 火山岩
「抽象文土器」
この文様が何を示しているのか謎
「顔面把手土器」から「釣手土器」へ
(『ナウシカ』の巨神兵みたい
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(もう絶対、宇宙人だよね
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一般に、土器は女性が作ったと考えられている/驚
世界の民俗でも、土器は女性が作る例が圧倒的に多い
縄文中期の最後には、土器文化が急速に衰え
関東地方の加曽利E式に飲み込まれる
「婚姻の習慣」
奈良・平安時代は婿入り婚が多い
江戸期の上流階級では一夫多妻の制度があった
嫁入り婚は明治以降といえる
(女性性・男性性、欧米文化の介入も見えてくる感じ
●壊れて出土する土偶が多い
わざと壊した、壊れやすいように作ったと捉えて
病気や怪我の身代わりにされたとも言われる
現在5点の縄文土偶が国宝指定されている
そのうち2点が茅野市出土のもの
●2人の女神が眠っていたのは偶然だろうか?
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『縄文のビーナス』
1986年、工業団地建設のため発掘調査が行われた
完全に近い形で横向きに埋められていた
(日本はどこを掘っても何かしら遺跡が出てくるなあ!
それぞれの時代を生きていた人々の記憶
この棚畑遺跡は、黒曜石供給地のある重要な場所だった
よく似ているが真似て作ったような土偶が
井戸尻文化圏内で散見される
ビーナスを観た人々が憧れて作ったのかもしれない
『仮面の女神』
縄文のビーナスから約600年後、2000年に出土(結構、最近なんだ/驚
中空のつくりで、ムラのほぼ中央のお墓と思われる穴から見つかる
墓穴から出土した副葬品であることから注目された
切り離された右足の謎は解明されていない
中ツ原遺跡は古くから土器の出る場所として知られ
「中ツ原縄文公園」でも出土状況を見ることが出来る
1924年の『諏訪史第一巻』でも紹介された
井戸尻文化圏では集落数が激減し、土偶も姿を消すものの
女神も地域の象徴として人々の心のよりどころになったのかもしれない
この地に留まった指導者、シャーマンが亡くなり
墓に女神を添えたのか?
●繰り返す氷期・間氷期
地球には過去に何度も、寒い時期と暖かい時期が交互に訪れているが
現在の地球温暖化は、ヒトが自動車、工場、発電所などで放出する
二酸化炭素が気温を上げているもので、自然現象と同じではない
●関東平野は海の中 「新ドリアス」
平均気温が今より7度も低い時期
「気温最適期」(クライマチック・オプティマム)
その後、2度高い気候が訪れ
海岸沿いの平野は海に没した「縄文海進」
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東京湾の埋立は、江戸時代に始まり、今も各所で行われている
関東平野は海と海岸だった
(また気温上昇すれば、これぐらいか、もっと広範囲が沈むだろうな
自然のならいにヒトは勝てないんだ
信州は、クリ、ドングリなど様々な山の幸を堪能できた
加えて、黒曜石が手に入る山がある
定住して、マメ類の栽培に適した環境が生じる
まさに好循環だ
●井戸尻文化の陰り
中期の後半の気温は、今より1度ほど低かったと思われる
冬は氷点下10度を超え、食べ物が減ると
人々が生活の場を変えようとしても不思議ではない
「寒さ対策」
毛皮、火の利用、犬と眠れば暖かい夜を過ごせたかもしれない
クリ、クルミ→トチの利用が増える
灰汁抜きのため、各地で「水場遺構」が見つかる
●石棒(急に男性性の象徴が出てきた
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ムラの儀式、祭りに使われたのではないか
それが家の中の炉の脇に持ち込まれた
同時期、「埋甕」(うめがめ)が大流行する
食料の貯蔵施設とも考えられるが
死産した子ども、赤ちゃんのへその緒を埋めたとも言われる
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●敷石住居
いろいろな説があるが、ムラのリーダー、シャーマンのための家
儀式の場所、サウナ説まである
重い石を敷き詰めるのは重労働のはず

●平等社会にも階層化の波か?
縄文時代は、比較的平等な社会だと言われているが
中期末~後期以降は環状列石、環状盛土などの
大規模、長期的な作業で造られた施設が増える
特別な力を持つ人が現れた説もあるが
弥生時代以降に見られるような
副葬品が多い大きなお墓は見当たらない
ここからは想像するしかない
井戸尻文化の人口増がピークを迎え、ヒトとの軋轢も増える
過度の人口増加は環境負荷を高め、食料生産が追いつかない可能性もある
次第に寒冷化し、富士山の噴火もあり
ヒトは不安の中、神や先祖霊に強い祈りを捧げる必要があった
「富士山の噴火」
4900~4500年前に噴火した証拠となるスコリア(火山灰)が見つかった
「集落の激減、人口の減少、ムラの縮小」
後期のはじめには、西日本の影響を強く受けた「称名寺式」土器に変わる
『遮光器土偶』
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奇妙な目からイヌイット等の使う雪目防止の道具に似ていることから命名
不思議なスタイルから「宇宙人」とまで言われる(絶対そうでしょ!
「貝塚文化」「亀ヶ岡文化」が異彩を放ち
数々の謎を残して縄文のミレニアムは5000年の眠りについた
●信州の縄文に魅せられた人々
信州は、縄文研究の先進地だった
戦後の大規模開発による発掘調査は
縄文時代の大集落をいくつも発見した
(高度経済成長期も弊害ばかりではなかったということか
H.E.ナウマン
ナウマンゾウの名の由来となった人物
信濃の山々を歩きながら「フォッサマグナ(大地溝帯)」に気づいた
「フォッサマグナ(大地溝帯)」
日本列島を大きく二分する重要な地帯
鳥居龍蔵:『諏訪史第一巻』の著者
八幡一郎:信濃考古学の指導者
宮坂英弐:尖石の鬼と呼ばれた
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尖石考古館は、今の尖石縄文考古館に引き継がれ
2つの国宝土偶を有するメッカ
藤森栄一:縄文農耕論を残した在野の考古学者
戸沢充則:日本の考古学と、信濃の考古学
2000年の「前・中期石器捏造事件」でも信頼回復に力を尽くした
●八ヶ岳周辺の縄文関連マップ
全部回りたいなあ!
JR中央線から始まってるけど、途中聞いたこともない支線も多々あり
駅から現地までが随分遠いから、クルマがなければムリ/汗
これを「2泊3日で」って、とんでもないスケジュール/驚
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JR中央線、山梨県小淵沢駅からスタート
「井戸尻遺跡群」
「尖石縄文考古館」
等高線てどこ???
都内と距離感がまったく違うからね
「野辺山高原と千曲川上流域」
高原列車の小海線(初耳
「浅間縄文ミュージアム」
「星ヶ塔黒曜石原産地遺跡」
名前が賢治っぽくてステキ
「諏訪大社」も行きたいんだよなあ!
「長野県立歴史館」「さらしなの里歴史資料館」
県民でも知らない所ばかり!
施設一覧には、私がよく通った「長野市立博物館」も載ってたv
ここだけでも結構な見ごたえ
とくにジオラマが好きv
【あとがき】
遺跡を見つけた人、発掘調査の書類を作る人、
移植ごてで土を掘る人、出土した土器を洗う人、
復元する人、保存する人、、、
そこには、膨大なドラマがある
本当に多くの方の協力を頂いて作りました
(縄文フィギュアを著者が作ったってビックリ
・A.E.G自然史博物館
イラスト:小林野々子 長野市在住
写真:山浦剛典 フリーフォトグラファー 長野市在住
(高橋まゆみさんの本も手掛けてる!
とにかく1冊の本から縄文愛&長野愛が溢れ出ている!
追。
以前、なにかのきっかけで知った冊子『縄文ZINE』のTwitterがあり
そのYouTubeチャンネルもあると知り、早速登録してみた
そしたら、ちょうど読んでいた井戸尻考古館の動画があり
遠くてなかなか足を運べない人には嬉しいかぎり♪♪♪
・Girl in the 井戸尻考古館
藤森英二/著
以前、父の誕プレか父の日のプレゼントに買ったのを忘れて
また同じ本をプレゼントしようとAmazonをポチっとしてから気づいて焦った/汗
それなら私が読もうとずっと積んでおいたのを
やっと読んでみた
本も読むベストタイミングもあるよね
文字と写真のバランスがちょうどよくて読みやすく
当時の縄文人の暮らしを素朴な人形にした作品もステキ
長野にこれだけ素晴らしい縄文文化があったことにとても驚き
誇りに思った
改めて、1万年以上続いた縄文時代の暮らし、思想に
現代人が学ぶ点も多い
父が昔、発掘調査にも関わっていたことがあるので
本書を贈った時、とても興奮していた
真夏の猛暑の中、パートの奥さま、学生さんらを使って発掘する話を
母から聞いたことがある
知人は、欠けた土器をパズルのように組み合わせるパートをしていたこともある
小さい頃から興味はあったものの
父に連れられて、家族でいろいろ巡った遺跡がどこかは
もう思い出せないのが残念

【内容抜粋メモ】
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●はじめに 藤森英二
母の故郷は信州諏訪
信州は縄文遺跡の宝庫だった
就職を機に私は憧れの信州に移り住み
千曲川流域の縄文遺跡を学んだ
八ヶ岳縄文文化繁栄の謎に迫る
※
本書の「〇〇年前」は、放射性炭素年代測定という方法で
研究の進展や計算方法により変わることがある
●縄文時代っていつ?
日本の屋根とも言われる長野県
この山塊は、日本列島を東西に分断する「フォッサ・マグナ(大地溝帯)」の火山帯だ(初耳/驚
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約50000年前にアフリカ大陸を旅だったホモサピエンスは
約38000年前に日本列島に足を踏み入れた
ナウマンゾウが闊歩し、氷河期の寒冷な気候
人々はまだ土器や弓矢を知らず遊動生活を送っていた
狩人は黒曜石を採集して槍を作る
約15000年前、土器が使われる
縄文時代の幕開けだ
それは定住にもつながった
約5500~4500年前、信州で縄文文化の頂点を迎える
「土器」
粘土を器の形に整形し焼き固めたもの
熱に強く、液体を満たすことができる
土の中でも腐らず、1万年に発掘して調べることができる!
(それを考えると、今のプラスチックも1万年後に発掘されて
今日の私たちの生活の様子を考察することができるのかも?
「最古級土器の発見された遺跡」
縄文土器が世界でも最古に近い古さを誇ることは意外に知られていない
(日本発信というより、中国、ロシアにもあったのか
どんな形か見てみたい
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「研究者は13000年を大きく6つに分けて考えることが多い」
八ヶ岳南麓の遺跡が増えたのは中期
(旧石器時代)→草創期→早期→前期→中期→後期→晩期→(弥生時代)
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「名前の由来」
英語の「Cord marked pottery」の日本語訳
明治時代に来日し、大森貝塚を発掘したアメリカ人動物学者エドワード・S・モースがこう呼んだ
(これも日本発信じゃないのか/驚
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「稲作の伝来」
大陸・朝鮮半島から水田稲作技術者が来て、混ざり合いながら弥生時代が始まる
稲作をしなかった北海道、琉球列島は違う文化、政治が発展
「縄文人」
今の日本人は、弥生時代に大陸から来た人と
縄文人の混血といえる
「縄文遺跡」
どこにでもある
全国で約9万か所以上(!
「文字」
縄文人は文字を残さなかったが
言葉を使って会話していたと思われる
「縄文時代の人口」
割り出すのは非常に難しい
「2つの発掘法」
・学術的な発掘調査
・緊急発掘(記録保存):遺跡の上に道路や建物を造る場合調査する
「食事」
クリ、ドングリなどの堅果類、シカ、イノシシなどの肉
魚介類、山菜、マメ類を栽培していたという説もある
「住居」
竪穴住居
「衣服」
土偶の模様から考えると、単に毛皮をまとっていたのではなく
服を着ていた可能性がある
●井戸尻文化の繁栄
考古学者・戸沢充則は、縄文時代の3つの特徴をあげた
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本書では、3.を井戸尻文化と呼ぶ
関東西部から山梨・長野を1つの文化圏と考える者は多い
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●八ヶ岳山麓は遺跡だらけ
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フクロウが樹々の間を抜け
カワウソ、シカ、イノシシがそれぞれの住処を守る
5000年前、人間はまだこの大地の一部だった
やがてすべての人々は大地に帰る
そして千年の繁栄の後
人間はこの地から去っていった
そこに記された神話を読み解く巫女はもういない
「木の実の恵み」
日本の土は強い酸性でほぼ腐ってなくなってしまっているが
クリ、クルミ、ドングリなどの堅果類はでんぷんが多く、保存食としても優れる
クリの幹は柱などの木材としても使われた
(こういうものを食べて生きていきたい
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磨石で粉末にしてパンやクッキーのようなものも焼いて作っていた/驚
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(宇宙人クッキングと同じくらいのレベルでは?!←勝手に親近感
日本の落葉広葉樹林に多いコナラ、トチの実などは
タンニンなどの苦みがあり、灰汁抜きが必要
●本当に農耕はなかったか?
植物の管理、栽培も始めていたという「縄文中期農耕論」もある
シソ、エゴマも見つかった
ダイズ、アズキなどのマメ類はたんぱく質が詰まった食料だ
森の木々を間引くと陽が入り
ワラビ、ゼンマイ、ノビル、コゴミ、タラの芽なども生える
(大好きな山菜ばかり!
「打製石斧」
木の棒に石をつけて土を掘ったと考えられる
ヤマイモを掘り出した説もありイモ類も食べていたと思われる
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●狩り、漁
落とし穴を作ったり、犬を飼い、狩りのパートナーとしていたのだろう
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「見つかる動物骨」
シカ、イノシシ、サル、ウサギ、クマなど
骨・角・牙は加工して縫い針、アクセサリーにしていた
「千曲川のサケの溯上」
魚介類も重要な食料
地上から6mに縄文時代の遺跡が見つかった(そんなに浅いの?!
千曲川は新潟県に入ると信濃川となる367kmの日本最長の大河
1936年の飯山市西大滝ダム完成以前は
千曲川でサケ・マス漁が盛んだったようだ
天竜川でも1951年の平岡ダム完成までは
サケ・マス漁が行われていた
(ダムで電気を起こす代わりに、魚が消えたんだね
「石で作った錘」
(これでどう釣ったんだろう???
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<知恵の時代>
八ヶ岳山麓の縄文時代中期の食卓
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●火山の生んだ宝物「黒曜石」
(だんだん『ブラタモリ』みたいになってきたw
黒曜石は私の大好きな『銀河鉄道の夜』にも出てくる
「黒曜石の石器」
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「八ヶ岳に人が集まった理由」
矢尻は石で作る
黒曜石は天然のガラスで割れ口が鋭く
今でも手術用のメスに使われるほど/驚
火山のある特定の場所でしかとれない
八ヶ岳周辺は黒曜石の一大産地だった
黒曜石の集積跡がたくさんあり
大量に入手し、各地に分配していたようだ
「チャート」
石材のひとつ 石器製作には使いづらいものもあるが
矢じり、石匙(せっぴ)というつまみのついたナイフも見つかる
「ヒスイ」
狩りや漁に必要ないものだが
これらが遠く運ばれるということは
今でいうブランド力があったのだろう
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そして長野県の一大文化圏を作り出した
それが「井戸尻文化」ではないだろうか
千葉県銚子のコハクも運ばれている
●勝坂・井戸尻系と呼ばれる土器群
時代により変化する土器を模様、形、作り方の似ているものを「型式」と呼ばれる単位でくくる
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「中期後半土器の分布」
土器の分布は、今の方言分布とよく似ている
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藤内遺跡の出土遺物のうち199点が
2002年に国の重要文化財に指定されている(けっこう最近/驚
●土器には神話が隠れている
実用には向かない模様・突起がつけられている
遠く離れたムラ同士の友好関係の証として機能したのではないか
「蛇体把手土器」
重さ7kg以上! 何のために運んだのか?
八ヶ岳から運ばれた土器を真似して作りお手本とされたと考える
「デイサイト」
粘土の中に白い半透明の粒が見られる
岩が細かくなったもの 火山岩
「抽象文土器」
この文様が何を示しているのか謎
「顔面把手土器」から「釣手土器」へ
(『ナウシカ』の巨神兵みたい
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(もう絶対、宇宙人だよね
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一般に、土器は女性が作ったと考えられている/驚
世界の民俗でも、土器は女性が作る例が圧倒的に多い
縄文中期の最後には、土器文化が急速に衰え
関東地方の加曽利E式に飲み込まれる
「婚姻の習慣」
奈良・平安時代は婿入り婚が多い
江戸期の上流階級では一夫多妻の制度があった
嫁入り婚は明治以降といえる
(女性性・男性性、欧米文化の介入も見えてくる感じ
●壊れて出土する土偶が多い
わざと壊した、壊れやすいように作ったと捉えて
病気や怪我の身代わりにされたとも言われる
現在5点の縄文土偶が国宝指定されている
そのうち2点が茅野市出土のもの
●2人の女神が眠っていたのは偶然だろうか?
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『縄文のビーナス』
1986年、工業団地建設のため発掘調査が行われた
完全に近い形で横向きに埋められていた
(日本はどこを掘っても何かしら遺跡が出てくるなあ!
それぞれの時代を生きていた人々の記憶
この棚畑遺跡は、黒曜石供給地のある重要な場所だった
よく似ているが真似て作ったような土偶が
井戸尻文化圏内で散見される
ビーナスを観た人々が憧れて作ったのかもしれない
『仮面の女神』
縄文のビーナスから約600年後、2000年に出土(結構、最近なんだ/驚
中空のつくりで、ムラのほぼ中央のお墓と思われる穴から見つかる
墓穴から出土した副葬品であることから注目された
切り離された右足の謎は解明されていない
中ツ原遺跡は古くから土器の出る場所として知られ
「中ツ原縄文公園」でも出土状況を見ることが出来る
1924年の『諏訪史第一巻』でも紹介された
井戸尻文化圏では集落数が激減し、土偶も姿を消すものの
女神も地域の象徴として人々の心のよりどころになったのかもしれない
この地に留まった指導者、シャーマンが亡くなり
墓に女神を添えたのか?
●繰り返す氷期・間氷期
地球には過去に何度も、寒い時期と暖かい時期が交互に訪れているが
現在の地球温暖化は、ヒトが自動車、工場、発電所などで放出する
二酸化炭素が気温を上げているもので、自然現象と同じではない
●関東平野は海の中 「新ドリアス」
平均気温が今より7度も低い時期
「気温最適期」(クライマチック・オプティマム)
その後、2度高い気候が訪れ
海岸沿いの平野は海に没した「縄文海進」
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東京湾の埋立は、江戸時代に始まり、今も各所で行われている
関東平野は海と海岸だった
(また気温上昇すれば、これぐらいか、もっと広範囲が沈むだろうな
自然のならいにヒトは勝てないんだ
信州は、クリ、ドングリなど様々な山の幸を堪能できた
加えて、黒曜石が手に入る山がある
定住して、マメ類の栽培に適した環境が生じる
まさに好循環だ
●井戸尻文化の陰り
中期の後半の気温は、今より1度ほど低かったと思われる
冬は氷点下10度を超え、食べ物が減ると
人々が生活の場を変えようとしても不思議ではない
「寒さ対策」
毛皮、火の利用、犬と眠れば暖かい夜を過ごせたかもしれない
クリ、クルミ→トチの利用が増える
灰汁抜きのため、各地で「水場遺構」が見つかる
●石棒(急に男性性の象徴が出てきた
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ムラの儀式、祭りに使われたのではないか
それが家の中の炉の脇に持ち込まれた
同時期、「埋甕」(うめがめ)が大流行する
食料の貯蔵施設とも考えられるが
死産した子ども、赤ちゃんのへその緒を埋めたとも言われる
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●敷石住居
いろいろな説があるが、ムラのリーダー、シャーマンのための家
儀式の場所、サウナ説まである
重い石を敷き詰めるのは重労働のはず
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●平等社会にも階層化の波か?
縄文時代は、比較的平等な社会だと言われているが
中期末~後期以降は環状列石、環状盛土などの
大規模、長期的な作業で造られた施設が増える
特別な力を持つ人が現れた説もあるが
弥生時代以降に見られるような
副葬品が多い大きなお墓は見当たらない
ここからは想像するしかない
井戸尻文化の人口増がピークを迎え、ヒトとの軋轢も増える
過度の人口増加は環境負荷を高め、食料生産が追いつかない可能性もある
次第に寒冷化し、富士山の噴火もあり
ヒトは不安の中、神や先祖霊に強い祈りを捧げる必要があった
「富士山の噴火」
4900~4500年前に噴火した証拠となるスコリア(火山灰)が見つかった
「集落の激減、人口の減少、ムラの縮小」
後期のはじめには、西日本の影響を強く受けた「称名寺式」土器に変わる
『遮光器土偶』
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奇妙な目からイヌイット等の使う雪目防止の道具に似ていることから命名
不思議なスタイルから「宇宙人」とまで言われる(絶対そうでしょ!
「貝塚文化」「亀ヶ岡文化」が異彩を放ち
数々の謎を残して縄文のミレニアムは5000年の眠りについた
●信州の縄文に魅せられた人々
信州は、縄文研究の先進地だった
戦後の大規模開発による発掘調査は
縄文時代の大集落をいくつも発見した
(高度経済成長期も弊害ばかりではなかったということか
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ナウマンゾウの名の由来となった人物
信濃の山々を歩きながら「フォッサマグナ(大地溝帯)」に気づいた
「フォッサマグナ(大地溝帯)」
日本列島を大きく二分する重要な地帯
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尖石考古館は、今の尖石縄文考古館に引き継がれ
2つの国宝土偶を有するメッカ
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2000年の「前・中期石器捏造事件」でも信頼回復に力を尽くした
●八ヶ岳周辺の縄文関連マップ
全部回りたいなあ!
JR中央線から始まってるけど、途中聞いたこともない支線も多々あり
駅から現地までが随分遠いから、クルマがなければムリ/汗
これを「2泊3日で」って、とんでもないスケジュール/驚
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JR中央線、山梨県小淵沢駅からスタート
「井戸尻遺跡群」
「尖石縄文考古館」
等高線てどこ???
都内と距離感がまったく違うからね
「野辺山高原と千曲川上流域」
高原列車の小海線(初耳
「浅間縄文ミュージアム」
「星ヶ塔黒曜石原産地遺跡」
名前が賢治っぽくてステキ
「諏訪大社」も行きたいんだよなあ!
「長野県立歴史館」「さらしなの里歴史資料館」
県民でも知らない所ばかり!
施設一覧には、私がよく通った「長野市立博物館」も載ってたv
ここだけでも結構な見ごたえ
とくにジオラマが好きv
【あとがき】
遺跡を見つけた人、発掘調査の書類を作る人、
移植ごてで土を掘る人、出土した土器を洗う人、
復元する人、保存する人、、、
そこには、膨大なドラマがある
本当に多くの方の協力を頂いて作りました
(縄文フィギュアを著者が作ったってビックリ
・A.E.G自然史博物館
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(高橋まゆみさんの本も手掛けてる!
とにかく1冊の本から縄文愛&長野愛が溢れ出ている!
追。
以前、なにかのきっかけで知った冊子『縄文ZINE』のTwitterがあり
そのYouTubeチャンネルもあると知り、早速登録してみた
そしたら、ちょうど読んでいた井戸尻考古館の動画があり
遠くてなかなか足を運べない人には嬉しいかぎり♪♪♪
・Girl in the 井戸尻考古館