スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

そのときの思いや状況で、いろいろなことを話し合ってきた喫茶店。きまぐれに、思いつくままに・・・

お仕事小説を読んだ

2020-06-20 08:18:23 | 日記・エッセイ・コラム

 


上野歩氏著作のお仕事小説を読みました。「削り屋」を読んでるとき、少し違和感を覚えました。

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    書名: ①就職先はネジ屋です〔A6判;文庫本〕
             ②わたし、型屋の社長になります〔A6判;文庫本〕
  ③削り屋〔A6判;文庫本〕
著者:上野 歩
発行所:株式会社 早川書房
初版発行日:①2019年 3 月11日
      ②2015年10月11日
      ③2015年 3 月11日
ジャンル;日本文学



 上野氏は、1962年、東京都墨田区で家内工業のプラスチック成型加工所を営む家に生まれました。専修大学文学部国文学科卒。1994年、『恋人といっしょになるでしょう』で第七回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビューしました。
その著作には、
・ 恋人といっしょになるでしょう(1994年 集英社) 初出:『小説すばる』1994年12月号
・ チャコールグレイ(1995年 集英社)
・ 朝陽のようにそっと(1998年 集英社)
・ 愛は午後(2001年 文芸社)

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・ 鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル (2011年 文芸社 / 2017年 文芸社文庫NEO『鳴物師 音無ゆかり 依頼人の言霊』に改題)
・ 削り屋(2015年 小学館文庫)
・ わたし、型屋の社長になります(2015年 小学館文庫)
・ 墨田区吾嬬町発ブラックホール行き(2016年 小学館)
・ 探偵太宰治(2017年 文芸社文庫NEO)
・ キリの理容室(2018年 講談社) 第52回夏休みの本(緑陰図書)高等学校部門選定、第17回髪っぴー大賞受賞
・ 就職先はネジ屋です(2019年 小学館文庫)
などがあります。

 2001年を最後に2011年まで新しい著作の発表はありません。その間の約10年間、どんな小説を書くのか悩み、「仕事」をテーマとする小説を書くことに思い至ったようです。

私は先ず「就職先はネジ屋です」を読みました。そしてその内容に感銘を受け、上野歩氏の過去の作品はどうかとの興味が沸いてきました。

読んだ順番は2019年3月発売、2015年10月発売、2015年3月発売となっており、発表された順の逆になっています。
 つまり、「就職先はネジ屋です」に感銘し、「わたし、型屋の社長になります」を読んで更に感銘し、終には「削り屋」を読んでしまったということです。

 経緯(いきさつ)は兎も角、これらの小説の舞台は、東京都荒川区吾嬬町という架空の下町・町工場が中心となっています。(吾嬬町自体は現在の墨田区東部 ― かつての東京府南葛飾郡に存在しました。しかし、現在の荒川区ではありません。)

 「就職先はネジ屋です」と「わたし、型屋の社長になります」の主人公、三輪勇(ユウ)と花丘明希子(アッコ)は荒川の土手で一度会っています。(「就職先はネジ屋です」で記述)

 ジャケットの絵でも分かると思いますが、「ネジ屋」と「型屋」の二作品は主人公が女の子なのに対して、「削り屋」は男の子です。主人公が男の子の話で、時代的な背景もあるのでしょうか、俗に言う“漢臭い”作品になっています。

 また「削り屋」には、2011年3月11日に発生した東日本大震災の様子、特に原子力発電所の事故が重なる様にあった福島の様子について記しています。

 私が感じた違和感はこれらが原因になっているのではないでしょうか。

 何年も前(1995年1月17日)の阪神淡路大震災に遭った自分としては他人事ではない身につまされる思いで読みました。


《Bookデータベース》

就職先はネジ屋です
 ユウ(三輪勇)は、第一志望の商社に落とされ、母親が社長を務めるミツワネジに入社。現場研修を経て、同期の辻と同じ営業に配属された。営業の取引先は、ネジを扱う顔なじみの商社ばかりだった。直接提案型の営業もしたいと考えたユウは、飛び込みでメーカーを回るが、相手にされない。ある日、荒川の河川敷で消波ブロックの製作現場を見たユウは、新しいボルトのアイディアを思いつく。幾度もしがらみと闘いながら、業界のスペシャリストとともに新しいネジの開発に携わるようになる。ヤル気が出る!華恵さんオススメのモノづくり小説。文庫オリジナル。

わたし、型屋の社長になります
 広告代理店のOL(とはいえ、既に部長代理になっていた)だった花丘明希子は、脳出血で復帰できなくなった父親に替わって、花丘製作所の社長になった。しかし、会社は大幅な売り上げ減で銀行から借入金の返済を求められ、資金調達に駆け回ることに。また、同業社の引き抜きにあって五人の社員が辞めていった。そんなとき、大手自動車メーカーから連絡が入る。ライバル企業に発注されていたラジエターキャップに不備があり、仕事が回ってきたのだ。しかし、クリアしなければいけない技術的な壁が!ひたむきに取り組む女性社長の奮闘と、中小企業の心意気を描いた製造業応援小説!文庫オリジナル。

削り屋
 歯学生だった剣拳磨(つるぎ けんま)は、親の敷いたレールに逆らって大学を中退し、東京にやってきた。そして、歯学部実習での「削り」つながりで、飛び込みで下町の金属加工会社に就職する。削りには自信のあった拳磨だが、大学でやってきたことが全く通用しなかった。しかし夢中で取り組む内、手作業による削りの仕事が自分に打ち込める世界だと気づく。やがて、社長に技能五輪全国大会を目指すよう言われた拳磨。そこに、中学の頃から立ちはだかってきた神無月グループの御曹司・神無月純也が現れた。自分の会社から多くの選手を出場させた神無月。拳磨は、頂点に立てるのか。



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