読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
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天童荒太著「青嵐の旅人(下)うつろう朝敵」 

2024-12-15 | Weblog
文久3年(1862年)から慶応4年(1868年)の6年間の激動の時代を一般庶民の目線で描く歴史長編。幕末の幕府vs倒幕の争いに巻き込まれていくヒスイと救吉たち。藩士・大原観山の命で新選組の原田左之助を訪ねたヒスイと救吉は、旅の途上で、かつて山中で命を救った坂本龍馬と再会。その後、沖田総司ら新選組の隊士たち、長州の桂小五郎、高杉晋作ら新しい世を作らんと志す者たちと出会う。いっぽう、武士としての信念と現実の狭間で揺れる辰之進には、その心を試すように常に鷹林雄吾の影がつきまとう。情け容赦ない戦、愛する人龍馬の死、そして迎えた、故郷伊予松山最大の窮地、長州征伐にむかった伊予松山藩、錦の御旗から朝敵とされた松山藩の運命は。・・・やがて激動の時代を愚直に生き残った三人が見た希望の光は・・・上野の戦いに上京する船上で終わる。新しい視点の庶民から見た幕末の小説だと思う。主人公が一般人のヒスイらの視点でえがかれているため、長州も、薩摩も、土佐も、藩も幕府も俯瞰した客観視的に描かれて展開されているところが新鮮で面白い。内戦ともいうべき日本人同士の戦いの悲惨さや辰之進やヒスイの恋の心の揺れ動き模様も描かれ感動小説になっている。読み終わって新しくなった道後の温泉にもう一度入りたくなった。
2024年10月毎日新聞出版刊 


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