公安のエース、倉島警部補の活躍を描くシリーズ第6弾。公安外事一課の倉島は、「ゼロ」の研修帰りのエース。ロシア外相が来日し、随行員の行動確認を命じられるが、同時期にベトナム人の殺害事件が発生。容疑者にロシア人ヴァイオリニストが浮かび上がる。一方、外事二課で中国担当の盛本もこの事件の情報を集めていることがわかる。倉島は、ベトナム、ロシア、中国が絡む事件の背景を探るが・・・。題名ロータス(その果実を食べると、楽しく、忘我におちいり、故郷に帰ることも忘れるという植物。ロトス。蓮 。)通リ倉島警部補の愚鈍さが際立ち、本当に今までの倉島警部補と同一人物なのかと疑ってしまう。優秀な人の陥りがちな事「慢心」。ペアの白崎に指摘され、偉いさんに怒られ、直属の上司にも怒られる。そこでようやく目が覚める。そのような状況に陥ってしまった理由の描写、犯人検挙までのスリル感がなく淡々と描かれる。伊藤の頭の良さに感心、日本のインテリジャンスは大丈夫なのか心配になる。あいも変わらず縦社会、縄張り意識、階級意識、どうして警察組織機構というのはこうなんだろうと思う。
2021年7月文藝春秋社刊
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