ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

卒業

2017-03-08 13:59:09 | 
鈍い照明の薄暗い体育館に、春になりたての新しい光が差し込む

紅白の幕と、幾重にも並べられた椅子が、特別な日を物語る

僕らは「大地を愛せよ」などと口ずさむ

本当の意味など分からないままに



惜別と解放が交差する日

だから皆の顔には、涙と笑顔が織り交ざっている

健やかなる時、病める時、喜びの時、悲しみの時

明日から僕らは、別々の場所でそれらを積み重ねていく

頂上たる死に向かって

最後の卒業に向かって



ハーモニーのようなざわめき

包むように降る、白くて柔らかな光

未来を信じる権利があった場所


もはやそこへ戻っても

色あせた校舎のみが残り

未来がくっきりと消されている






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