ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

谷川浩司と若手棋士

2019-01-14 18:57:48 | 将棋
昨年の2月17日、この日は2つの号外が出た珍しい日でした。1つはオリンピックのフィギュアスケートで羽生結弦選手の金メダル。そしてもう1つは中学生棋士の藤井聡太五段の全棋士参加棋戦の朝日オープンでの最年少優勝でした。

社会現象にまでなった藤井フィーバー。将棋界も当然、様々な反応がありました。中でも谷川浩司九段が藤井君の快挙を称えたうえで「20代、30代の棋士たちは悔しくないのかと思うところもあります」という言葉を発し、波紋が広がりました。若い棋士たちの反応も様々だったと思います。「しっかりしなければいけない」と思う棋士もいれば「谷川先生は若手に冷たいな」と思う棋士もいたでしょうし、全く気にしない棋士もいたでしょう。僕はこの時、谷川さんもうっかり本音を発してしまい「君たち、悔しくないのか」という部分だけを面白おかしく取り上げられてしまったのかなと思っていました。しかし、今にしてみると、敢えて若手棋士の耳に届くことを期待しての発言だったと考えるようになりました。

そして昨日行われた茶王戦というイベントで高見泰地叡王の指名を受けた谷川九段。久しぶりに和服姿での対局となり、勝負は熱戦となりましたが、終盤の読みでわずかに高見さんが上回り、谷川さんは敗れました。キリン生茶とのコラボ企画ということで、対局後は茶道師範である大柴宗徹さん、実はルー大柴さんなんですが、彼がたてたお茶を茶道の先生の指導の下、谷川さんと高見さんがお茶を飲むというシュールなコントにも見える光景をはさみ、聞き手の香川愛生女流三段を交えて谷川さんと高見さんの対談が始まりました。

「あの言葉は昨日のように覚えています。谷川先生にしか言えない言葉。自分はそれで発奮して叡王になることができました」と高見さん。さらに「棋士として常に心掛けていることは何でしょうか?」と質問。谷川さんは「練習の時は謙虚に、ただ対局になったら自分が一番強いぐらいの自信をもって挑むことですかね。過信にならない程度の自信」と回答。そして「高見さんの場合、叡王となり、急激に地位が上がったことで苦しまれたこともあったでしょう」と穏やかな口調で語り、高見さんは目頭を押さえたように見えました。

谷川九段は1月18日、唯一の弟子である都成竜馬五段との初対局があります。この日は谷川さんも被災されたあの大震災の翌日、そして都成君の誕生日の翌日でもあります。師弟ともに生涯忘れられない日になるのではないでしょうか。
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