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4月5日(土)、BRTに乗り陸前高田から盛駅まで出てきました。盛駅で、南リアス線全線復旧の記念フリー乗車券を購入。盛~釜石間の片道運賃は1,080円のところ、乗り降り自由で1,000円なのだから、かなりお値打ちです。
列車は、昨年の盛~吉浜間の部分復旧時に導入された、クウェート寄贈の新型気動車。正面には三井不動産提供のヘッドマークが添えられ、全線復旧を祝います。
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列車は1両きりの単行編成。8:50の釜石行きは、朝から3本目の列車です。乗り切れるのかなと心配でしたが、意外と車内には余裕がありました。
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盛を後にした列車は、ループを描いて大船渡市内を北へと向かいます。大船渡市内も大きな被害を受けており、沿線には仮設の建築物が並んでいました。
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吉浜までは、昨年春に部分復旧した区間ですが、各駅では大漁旗をなびかせてお祝いしていました。
三陸駅では盛行きの上り列車とすれちがい。あちらは、ぎっしり満員です。こちらの列車に乗り移ってくる人もおり、立つ人も出はじめました。
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防波堤の復旧工事現場にも、三鉄の未来を応援する力強いメッセージが。
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吉浜駅では、地元の少年たちが太鼓で出迎えてくれました。太鼓のリズムに送られながら、今日復旧した区間へと踏み出して行きます。
工事が終わって間もないことから、開業区間は徐行運転。これまでの復旧区間でも、概ね半年程度は徐行運転が続けられてきました。
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トンネルの合間から見える海は、穏やかな春の表情です。
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周辺が浸水したという唐丹駅でも、大漁旗の見送りが。
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平田駅からは戦場カメラマン(?)が乗り込み、釜石までの1駅を生中継で同乗取材。「本体」は釜石駅にいるようで、2元中継を行っていました。
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新しいショッピングセンターが見えてくれば、間もなく釜石。昨秋は吉浜までしか行けなかった線路は、確かにつながっていました。
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釜石駅に到着。ホームは、マスコミ各社が集っていました。岩手県内のテレビ局各局は土曜の朝ワイドの時間のようで、競って中継を行っていたようです。
そんな中の岩手放送の記者さんにつかまり、カメラの前へ。岩手県内へ生中継で流れてしまいました。沿線の盛り上がりに感動した、これからも応援してます…としゃべったように記憶していますが、うまくできたかな?
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地下道には応援メッセージの寄せ書きコーナー。
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賑わう駅前を横目に、さきほど車窓に見えたショッピングセンターをのぞき見に。通常なら屋上にある駐車場を1階に設け、津波被害に耐えるように設計された防災型のSCです。館内にも、避難経路があちこちに記されていました。
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釜石駅前は、お昼に向かうにつれて賑わいが増してきました。
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13:30からの開業記念式典まで時間があったので、お隣の平田駅まで往復することにしました。
小さな築堤上の無人駅は、大漁旗と、町内会が掲げた横断幕で飾られていました。
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傷跡残る街にはためく、青い空をバックに映えるノボリ。
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盛駅11時発の列車は、約10分遅れで到着しました。造花で飾られた車内は、ご覧の通りの超満員状態。ホームの人が数人乗り切れない状態だったので、中の人にトイレへ詰めてもらうように頼んで、どうにか全員乗ることができました。感謝!
30年前の三鉄開業時のルポに、トイレまで超満員になった列車のエピソードがあったと記憶しており、図らずとも30年前の再現となりました。
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釜石に戻り、駅横のシープラザ釜石でお昼ご飯。新鮮な魚介類は、三陸沿岸の楽しみです。
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13時30分から、特設会場では全線運行再開記念式典が開かれました。会場はテントでしたが、寒さ対策のためか透明な壁で覆われていました。入りきれなかった僕らは、ガラス越しに見学です。
式典は、震災犠牲者への黙祷から始まりました。沿線首長や国土交通大臣に続き、三鉄の望月社長が全線開業を宣言。「第2の開業」という言葉が重かったです。赤十字大使として藤原紀香さんも姿を見せており、多くのギャラリーが詰めかけていました。
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ホームに移動して、記念列車をお見送り。レトロ列車を併結した3両編成で、招待客と抽選で当たった一般市民のみ乗車できるものでした。僕ももちろん応募していましたが、あえなく落選でした。
くすだま割りと万歳三唱に続き、盛駅へと出発していきました。
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明日開業の北リアス線の始発駅・宮古へと向かいます。JR山田線は不通のままなので、まずは岩手県交通のバスで山田町まで向かいます。
昨冬乗った際にはガラガラでしたが、今回は同じ目的の人も多いようで満員状態。補助椅子がついた一般路線バスを初めてみましたが、大活躍でした。
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船越駅前で岩手県北バスに乗り継ぎ。その合間に、休止中の山田線の駅を見に行きました。錆びついた線路と、板が打ち付けられた駅舎が、しばらく列車が来ていないことを伝えています。線路の草は刈り取られ、荒れた感じがないのは救いでした。
JRが提案したBRTの仮復旧も沿線自治体は拒否し、代行輸送すら行われていない山田線。最近ではJRの負担で復旧し、三鉄に譲渡する案も提案されています。再び列車が走るのは、いつの日でしょうか…
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ただ県北バスで通った大槌駅の場所は、それがどこだったのかまったく分からない状態。山田町は木造家屋の基礎どころか、まだ3年前から手つかずの建物が多く残り、早期の鉄道復旧は険しい環境であることも感じられました。
新しい街のデザインが決まり、その基幹交通として山田線が復旧する…そんな日が早く訪れることを願っています。
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宮古到着、市内のホテルに投宿しました。街中でフラリと入った、若い大将の居酒屋が大当たり。旅行者とみるや、メニューにない刺身の盛り合わせや、日本酒に合う燻製セットを出してくれました。
飲み明かしたい気分にまでなりましたが、明日は北リアス線の一番列車に乗るため、5時起きの予定。10時には布団に入りました。