昨日からお邪魔している街、ラッパーズヴィル。正確にはラッパーズヴィル・ヨーナと称します。80年代にラッパーズヴィルとヨナが合併して成立した市で、ネーミングの図式は山陽小野田市と同じですね。
エリー&マヌやんの新居は旧ヨーナにあるのですが、飛び地状になっていて、地元の人には「そこってラッパーズヴィルとでしょ?」と認識されている場所だとか。とういわけで本稿でも、ラッパーズヴィルで通します。
そのラッパーズヴィルにあるエリー&マヌやんの新居は、ケンプラーテン駅近くの賃貸住宅。1階がガレージで、傾斜地を生かし、2階の共用玄関からも直接出入りできるようになっています。
車窓から見るスイスの集合住宅は、どこも広々としたテラスを持っています。テーブルや観葉植物を置いて、もう一つのリビングとして使っている家も多く、ゆとりがうらやましい限り。
エリー&マヌやんの家は地上レベル(正確には地下駐車場の上)なので、テラスも中庭に面してます。中庭に面した3軒のテラスはお互いが丸見えの状態で、まさに向こう3軒両隣。共用の中庭で一緒にバーベキューでもするの?と聞いてみたら、そんなノリではないとのこと。つかず、離れずの距離感のようです。
寒いスイスの冬ですがエアコンはなく、床暖房の熱で暖を取っています。その床とて韓国のオンドルのように熱くはなく、ほんのり暖かいといった程度。
窓はペアガラス、その外側にはシャッターが付いていて、これが高い断熱性を担保しているようです。外側を見ただけでは分からないけど、壁も断熱材をしっかり入れてあるのでしょう。冬の間は床暖房を付け放しにしているそうだけど、エネルギー消費は思いのほか、少ないのでは?
お隣のアパートとの仕切りには、金網のかごに自然石を詰めた「布団かご」を立てているのがユニーク。河川の護岸材ですが、こんな使い方もあるんですね。ツタを這わせているので、夏場には緑の壁になるのだとか。
街中の住宅街でも何箇所かで見たので、スイスではメジャーな使われ方なのかも。
ラッパーズヴィルの中心部までは歩いて20分ほどの距離があり、天気もよいのでぶらぶらお散歩。タイ料理やさんのクロイツ通りは、街中までストレートに通じていますが、それにしては通行量が少なめです。
住宅街を貫くこの道路、沿道の住民の車と、路線バス以外は通行禁止なのだとか。住宅街の安全性が増すのはもちろん、バスは渋滞に巻き込まれないし、近隣の人が沿道を訪ねる際には、バスが一番便利な交通手段ということになります。
中学校。街区との垣根がなく、公園の中にでもあるかのようです。以前、日本も「開かれた学校」を志向していた時期がありましたが、実際目にしてみるまで、なかなかイメージができていませんでした。
路地を抜け、チューリッヒ湖畔へ。その名の通りチューリッヒまで続く湖で、鉄道と共通のチケットで乗れる航路もあるのだとか。
夏は湖水浴を楽しむ人で賑わうんだそうです。雪景色もきれいだけど、夏場にも来てみたいな。
湖畔を歩いて、ラッパーズヴィル駅の近くまで出てきました。湖を渡る橋は、鉄道・道路が平行。山々を背景に、湖の上を電車が渡っていきます。
湖畔にはホテルが集まり、ちょっとした観光地風。日本のガイドブックには載っていない街ですが、ドイツあたりからだと観光に訪れる人も多いそうです。
あくせくせず、湖の風景を眺めたり、旧市街をぶらぶらしたりしながら、ゆったりバカンスする姿が目に浮かびます。
玄関口となるラッパーズヴィル駅も、お城のようなたたずまいです。
今日の目的地、州都のザンクトガレンへのチケット(40フラン=4,770円)を購入。単純往復でも安くなるということで、勧められるままにフリーきっぷを買いました。実際どれくらいトクになっているのかは、人任せなのでよく分かりません(笑)。
ラッパーズヴィルは、4方向からの線路が集う交通の要衝。各方面からの列車が、ひっきりなしに行き交います。
ザンクトガレンへは、民鉄のフォアアルペン急行が結びます。テーブルには沿線の名所が描かれ、一応観光列車という位置付けらしいですが、クロスシートが並ぶだけの車内は庶民的です。
クロスシートに向き合っていると、ローカル列車の旅気分も高まってきます。
ザンクトガレンは州都ということもあり、外国人がラッパーズヴィルに住むとなれば出向かねばならない場所。しかし峠越えのある道路では時間がかかり、トンネルで貫く列車の方が便利で早いのだそうです。
そう書くと車窓の楽しみがなさそうですが、そこはスイス。オーバー湖から牧草地帯、雪を頂いた山々と、それはもう絵に描いたようなスイスの風景が広がります。
渓谷を渡る橋はアーチ橋のようだけど、当の列車からよく見えないのは残念。影でその形を追いました。
1時間あまりで、ザンクトガレン駅に到着。チューリッヒ方面からはSBB(スイス国鉄)の列車が頻繁に走り、長距離特急(インターシティ)から近郊列車まで、車両のバラエティも豊かです。
駅の外には別棟の駅舎があり、短編成の赤い電車が発着していました。スイスには狭い国土に60社もの私鉄があり、フォアアルペン急行のような幹線級の列車もありますが、日本のローカル私鉄のようなたたずまいにも惹かれます。
旧市街をお散歩。こんな道なら、歩いているだけでも楽しいです。
ザンクトガレンの見所といえばここ、ザンクトガレン修道院。修道院と付属図書館は、世界遺産にも指定されています。
中でも付属図書館は、中世の貴重な文献を数多く抱える歴史的な図書館(入場料12フラン=1,430円)。図書館の内部そのものも、つややかで、細やかな装飾に圧倒されます。一つ一つの装飾を観察していたら、それこそ1日あっても足りない「日暮の図書館」です。
内部はやはり撮影禁止だったので、玄関の扉を1枚だけ。
同じく世界遺産の修道院は、厳かというよりも華やかな雰囲気を感じます。
こんな歴史的な建物なのに、現役の学校が入っているのが、なんとも面白い光景。図書館も修道院も、窓の外にはバスケに勤しむ学生たちが映ります。
修道院の廊下は、観葉植物で飾られていました。
お昼もだいぶ過ぎたので、街へと戻りましょう。
イースターを控え、ドイツでもスイスでもいたるところにシンボルのうさぎが飾られています。特にスーパーのお菓子コーナーやお菓子屋さんの店先には、色も大きさもとりどりのウサギたち。日本に入ってきた西洋の風習は多いけど、これは見慣れません。そのうち流行ったりして。
物価の高いスイスでも、特に外食費は割高。それは現地人にとっても同じことで、わざわざ店に入ってご飯を食べるというのは一種、贅沢なことのようです。
というわけで、街角のお店でテイクアウトして立ち食い。この構図の写真を撮っていたら、現地のマダムから微笑まれてしまいました。
つづく。
エリー&マヌやんの新居は旧ヨーナにあるのですが、飛び地状になっていて、地元の人には「そこってラッパーズヴィルとでしょ?」と認識されている場所だとか。とういわけで本稿でも、ラッパーズヴィルで通します。
そのラッパーズヴィルにあるエリー&マヌやんの新居は、ケンプラーテン駅近くの賃貸住宅。1階がガレージで、傾斜地を生かし、2階の共用玄関からも直接出入りできるようになっています。
車窓から見るスイスの集合住宅は、どこも広々としたテラスを持っています。テーブルや観葉植物を置いて、もう一つのリビングとして使っている家も多く、ゆとりがうらやましい限り。
エリー&マヌやんの家は地上レベル(正確には地下駐車場の上)なので、テラスも中庭に面してます。中庭に面した3軒のテラスはお互いが丸見えの状態で、まさに向こう3軒両隣。共用の中庭で一緒にバーベキューでもするの?と聞いてみたら、そんなノリではないとのこと。つかず、離れずの距離感のようです。
寒いスイスの冬ですがエアコンはなく、床暖房の熱で暖を取っています。その床とて韓国のオンドルのように熱くはなく、ほんのり暖かいといった程度。
窓はペアガラス、その外側にはシャッターが付いていて、これが高い断熱性を担保しているようです。外側を見ただけでは分からないけど、壁も断熱材をしっかり入れてあるのでしょう。冬の間は床暖房を付け放しにしているそうだけど、エネルギー消費は思いのほか、少ないのでは?
お隣のアパートとの仕切りには、金網のかごに自然石を詰めた「布団かご」を立てているのがユニーク。河川の護岸材ですが、こんな使い方もあるんですね。ツタを這わせているので、夏場には緑の壁になるのだとか。
街中の住宅街でも何箇所かで見たので、スイスではメジャーな使われ方なのかも。
ラッパーズヴィルの中心部までは歩いて20分ほどの距離があり、天気もよいのでぶらぶらお散歩。タイ料理やさんのクロイツ通りは、街中までストレートに通じていますが、それにしては通行量が少なめです。
住宅街を貫くこの道路、沿道の住民の車と、路線バス以外は通行禁止なのだとか。住宅街の安全性が増すのはもちろん、バスは渋滞に巻き込まれないし、近隣の人が沿道を訪ねる際には、バスが一番便利な交通手段ということになります。
中学校。街区との垣根がなく、公園の中にでもあるかのようです。以前、日本も「開かれた学校」を志向していた時期がありましたが、実際目にしてみるまで、なかなかイメージができていませんでした。
路地を抜け、チューリッヒ湖畔へ。その名の通りチューリッヒまで続く湖で、鉄道と共通のチケットで乗れる航路もあるのだとか。
夏は湖水浴を楽しむ人で賑わうんだそうです。雪景色もきれいだけど、夏場にも来てみたいな。
湖畔を歩いて、ラッパーズヴィル駅の近くまで出てきました。湖を渡る橋は、鉄道・道路が平行。山々を背景に、湖の上を電車が渡っていきます。
湖畔にはホテルが集まり、ちょっとした観光地風。日本のガイドブックには載っていない街ですが、ドイツあたりからだと観光に訪れる人も多いそうです。
あくせくせず、湖の風景を眺めたり、旧市街をぶらぶらしたりしながら、ゆったりバカンスする姿が目に浮かびます。
玄関口となるラッパーズヴィル駅も、お城のようなたたずまいです。
今日の目的地、州都のザンクトガレンへのチケット(40フラン=4,770円)を購入。単純往復でも安くなるということで、勧められるままにフリーきっぷを買いました。実際どれくらいトクになっているのかは、人任せなのでよく分かりません(笑)。
ラッパーズヴィルは、4方向からの線路が集う交通の要衝。各方面からの列車が、ひっきりなしに行き交います。
ザンクトガレンへは、民鉄のフォアアルペン急行が結びます。テーブルには沿線の名所が描かれ、一応観光列車という位置付けらしいですが、クロスシートが並ぶだけの車内は庶民的です。
クロスシートに向き合っていると、ローカル列車の旅気分も高まってきます。
ザンクトガレンは州都ということもあり、外国人がラッパーズヴィルに住むとなれば出向かねばならない場所。しかし峠越えのある道路では時間がかかり、トンネルで貫く列車の方が便利で早いのだそうです。
そう書くと車窓の楽しみがなさそうですが、そこはスイス。オーバー湖から牧草地帯、雪を頂いた山々と、それはもう絵に描いたようなスイスの風景が広がります。
渓谷を渡る橋はアーチ橋のようだけど、当の列車からよく見えないのは残念。影でその形を追いました。
1時間あまりで、ザンクトガレン駅に到着。チューリッヒ方面からはSBB(スイス国鉄)の列車が頻繁に走り、長距離特急(インターシティ)から近郊列車まで、車両のバラエティも豊かです。
駅の外には別棟の駅舎があり、短編成の赤い電車が発着していました。スイスには狭い国土に60社もの私鉄があり、フォアアルペン急行のような幹線級の列車もありますが、日本のローカル私鉄のようなたたずまいにも惹かれます。
旧市街をお散歩。こんな道なら、歩いているだけでも楽しいです。
ザンクトガレンの見所といえばここ、ザンクトガレン修道院。修道院と付属図書館は、世界遺産にも指定されています。
中でも付属図書館は、中世の貴重な文献を数多く抱える歴史的な図書館(入場料12フラン=1,430円)。図書館の内部そのものも、つややかで、細やかな装飾に圧倒されます。一つ一つの装飾を観察していたら、それこそ1日あっても足りない「日暮の図書館」です。
内部はやはり撮影禁止だったので、玄関の扉を1枚だけ。
同じく世界遺産の修道院は、厳かというよりも華やかな雰囲気を感じます。
こんな歴史的な建物なのに、現役の学校が入っているのが、なんとも面白い光景。図書館も修道院も、窓の外にはバスケに勤しむ学生たちが映ります。
修道院の廊下は、観葉植物で飾られていました。
お昼もだいぶ過ぎたので、街へと戻りましょう。
イースターを控え、ドイツでもスイスでもいたるところにシンボルのうさぎが飾られています。特にスーパーのお菓子コーナーやお菓子屋さんの店先には、色も大きさもとりどりのウサギたち。日本に入ってきた西洋の風習は多いけど、これは見慣れません。そのうち流行ったりして。
物価の高いスイスでも、特に外食費は割高。それは現地人にとっても同じことで、わざわざ店に入ってご飯を食べるというのは一種、贅沢なことのようです。
というわけで、街角のお店でテイクアウトして立ち食い。この構図の写真を撮っていたら、現地のマダムから微笑まれてしまいました。
つづく。