Chang! Blog

福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

肥薩おれんじ鉄道「おれんじ食堂」への期待

2013年01月21日 | ■旅と鉄道


 毎年恒例の春の鉄道ダイヤ改定、ニューフェイスの列車といえば秋田新幹線の「スーパーこまち」が目立つ程度で、今年はあまり多くありません。
 そんな中でも俄然、僕が注目しているのは、南九州の私鉄・肥薩おれんじ鉄道が満を持して投入する観光列車「おれんじ食堂」です。構想は以前から公表されていた列車ですが、1月18日に専用サイトがオープンし、全貌が明らかになりました

 肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線開業に伴い廃止となった八代~川内間のJR鹿児島本線を引き継いだ、第3セクター鉄道。おだやかな東シナ海を望む、美しい車窓が自慢の路線です。僕も九州内では一、二位を争う絶景路線だと思っています。
 ところが車両はと言えば、観光快速やイベント対応車両はあるものの、比較的平凡なワンマンのディーゼルカーばかり。JR九州が各地で走らせているような観光列車に比べると、魅力に欠けるのは否めませんでした。

 今回登場する「おれんじ食堂」はその名の通り、沿線の食材を使った、旬の料理が楽しめるグルメ列車です。さすがに車内で調理とはいかないものの、メインディッシュは沿線の味処からできたてをデリバリー。ご飯やスープはミニキッチンから、温かいものを提供するそうです。大改造される車内には、座席に広いテーブルが設けられており、限りなく食堂車に近い感覚になりそう。海を見ながら温かいご飯だなんて、JRの観光列車にない魅力で、これは楽しみ!

 列車は2両編成で、1号車はダイニングカーとして、食事と全区間乗車をセットで販売。2号車のリビングカーは普通運賃に指定席料金を追加すれば乗れて、オプションで食事も付けられるシステムになるそうです。エコノミークラスで、追加料金を払ってファーストクラスの食事を食べるような感覚かな?

 気になる料金は、1号車だと、ディナータイムの3号で14,600円、ランチタイムの1号でも12,800円と、なかなかのお値段です。一方、2号車は指定席料金(1,400円)と食事(3,500円)に、新八代~川内間の運賃(2,710)を足しても7,610円。1号車では沿線の「食のエンターテイメント」やフリードリンクが付くようですが、それにしては大きな差です。食事の内容もちがうのかな?
 2号車は各種フリーきっぷも利用できるので、たとえば九州全鉄道の普通列車が乗り放題の「旅名人の九州満喫きっぷ」ならば、8,400円(食事込み・3人利用の1人当たり)で福岡から訪れることも可能です。

 たとえば、こんなコース(現行ダイヤが基準)。

【往路】西鉄福岡7:00(特急)8:04大牟田8:12(普通)9:08熊本9:38(普通)10:09新八代10:18(おれんじ食堂1号)13:33川内
【復路】川内14:19(おれんじ鉄道)15:59津奈木…つなぎ温泉色彩…津奈木17:57(おれんじ鉄道)18:55八代19:08(普通)20:51大牟田21:13(快速)22:21博多


 各地の「並行在来線」と同じく、膨大な赤字に苦しむおれんじ鉄道にとって、起死回生の大いなる期待を掛けて送り込む「おれんじ食堂」。 
 明智鉄道や樽見鉄道でもグルメ列車は試みられていますが、いずれも既存の車両にテーブルを持ち込んだもので、料金も5千円程度。いずれも人気を博していますが、都市部に近いのは強みの一つでしょう。
 それに対して「おれんじ食堂」は、車両そのものを改造する大掛かりな試み。運賃もかなり高い上に、大都市圏から距離があります。勝算はあるのでしょうか?前例のない列車だけに、なんとも判断できないところです。

 ホームページには、パスワードの掛かった「旅行会社の皆さまへ」というページがあり、団体旅行に組み込むことが想定されているのでしょう。鹿児島へのバスツアーの途中で、昼食は「おれんじ食堂」…人気を博しそうなツアーです。
 でも個人客も大切にしてほしいところで、JRとの連携が鍵になりそうです。指定席券はJR九州の窓口で扱うようですが、たとえば片道は「おれんじ食堂」、片道は新幹線の往復きっぷなんてあると、だいぶ乗りやすくなります。おれんじ食堂目当てに新幹線でアクセスしてもらえれば、JRにとっても悪い話ではないはず。

 いまのところ九州の列車といえば、JRの豪華寝台列車「ななつ星」が注目を浴びていて、「おれんじ食堂」はあまり注目を浴びている印象がありません。車両が落成したら、福岡方面へもどしどしPRしてほしいところです。

 特急「つばめ」のビュッフェでご飯を食べつつ眺めた海を、ふたたび美味しい食事とともに楽しめるようになる…夢のような列車の成功を、心から願っています。
 春になったら、仲間を募って「九州満喫きっぷ」片手に訪れる計画を立てているところです。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レストランのイメージ? (ちゃん(管理人))
2013-02-26 21:53:14
★てつさん
コメントありがとうございます。
横向き座席になっているのは、東シナ海の車窓を楽しんでもらおうとの趣旨だと思いますが、確かに1号車だと海に背を向けてしまう席もありますね。
むしろ2号車の横向き席&テーブル席の方が、車窓も楽しめて「食堂車」的な雰囲気もあるように感じました。
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がっかり・・・ (てつ)
2013-02-26 21:20:00
「旧鹿児島本線」に面白そうな列車が登場する
というので期待していたのですが・・・
なんで進行方向横向きの座席なんでしょうね?

明知鉄道の「食堂車」もそうですが、詳細を
知ってがっかり、というケースが多いです。
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