甘木・秋月の山中にある川床・だんごあん。自営で連休がなかった我が実家では、夏になると日帰りで納涼ドライブに行くのが年中行事でした。
2年前に車を手放しちゃったけど、時間さえ確認しておけば公共交通でもいける場所。9月の平日、小旅行気分で出かけてみました。
今回は、「あまぎぐるりんフリーきっぷ」を利用。西鉄と甘木鉄道が「トライアングル」を描くエリアが乗り放題になる企画乗車券です。
西鉄甘木線、甘鉄ともに乗客減に悩む中、周辺自治体とのタイアップで生まれたきっぷです。
筑後川を渡り、甘木線へ。
猛暑から一転、ぐづつき気味だった9月。しかし今日は、夏の暑さが戻ってきそうな天気です。
単線を50分、2両の電車にのんびり揺られ、甘木着。
歩いて3分の甘木鉄道甘木駅へ。だんごあん行きの、甘木観光バス(通称、甘観)に乗りました。
甘観は、旧甘木市域周辺のバスを担う地元バス会社。「観光」の名の通り観光バス事業が本業で、久留米にいると割安にバスを借りられる会社のイメージがあります。
日ごろは西鉄バスばかりなので、違う会社のバスに乗ると旅行気分。甘木駅発車時は僕ら以外1人しかいませんでしたが、市街地で3人の乗車があり、地元利用が根付いています。
市街地では複数系統が経由地を分け、くまなくネット。100円運賃でサービスしており、思いのほか利便性は高そうです。
秋月までは1時間に1本以上の本数があり、ローカルバスとしては立派な頻度。秋月の街の入口にあたる眼鏡橋で、僕ら以外の全員が降りました。
だんごあんまでは、7~9月の臨時運行。運転士さんに確認されたので「だんごあんまでお願いします!」と伝えました。タクシーみたい。
甘木駅から30分弱で、終点・だんごあん着。山道を5分歩いて、「だんごあん」に到着しました。滝から下るひんやりした風で、気温は23度。7~8度は低くなる、別天地です。
着いたのは12時前。誰もいなくて「開いているの?」と思ったほどでしたが、すぐに車で来た人がぞろぞろ現れて9月の平日とは思えない賑わいに。人気は健在なんですね。
名物・鮎の塩焼きとともに、瓶ビール。車で来る人がほとんどなので、出されたコップは1個だけです。バスで来た旨を伝えて、もう1個出してもらいました。
涼風に吹かれながらのご飯、格別です。
川床の上流には砂防ダムがあり、年季が入っていて自然の滝のよう。小さいころは、ダムの上で水遊びしたものです。
上流にもバンガロー風の席もあったようだけど、使われていないこと久しいようで、床が抜けていました。
散策を終えた後は、これまた名物のお団子を。ラムネに落とした甘いお団子、当たり前の物だと思ってきたけど、初めて見たヨメさんはビックリしてました。
13時56分のバスで、下ります。夏シーズンのみ運行の、1日4往復のバスだけど、おかげで車がなくても来られました。感謝感謝です。
棚田を見ながら、ヘアピンカーブを下っていきます。
郷土館前で下車して、秋月の街並みを散策。春には観光客で賑わう桜並木、真夏ならば木陰を作ってくれるだろうと思っていたら、ほとんど葉がなくて参りました。猛暑の影響でしょうか。
今日は真夏日。だんごあんは涼しかったんだと、改めて思いました。
秋月城址の立派な石垣と、長屋門。くぐってみれば…
素朴な雰囲気の秋月中学校です。運動会の練習の真っ最中。あれ、中学校の運動会って、夏休み直後のこんな時期だったっけ…?
城址や神社の周りはモミジの木ばかり。春の桜もいいけど、秋の紅葉もさぞと思わせます。
秋月から甘木駅までのバスは、僕らの他に観光客の女性一人。寂しいなと思っていたら、途中から通学の小学生が大挙乗り込んできました。
スクールバスではない、路線バス通学というのはいいですね。
甘木駅から、甘鉄の「レールバス」に乗ります。今走っている車両は規格品のディーゼルカーで、決して簡易型のレールバスではないのですが、甘鉄発足時から一貫して使われている愛称です。
開業30周年を祝う懸垂幕にも、「レールバス開業30周年」の文字が見られます。
太刀洗駅で下車。駅前には甘観のバス停があったけど、1日数本と本数が少なく、歩くことに。15分ほど歩いた先にあるのが…
キリンビアファーム! キリンビールの福岡工場に併設されたビアレストランです。列車で来たのだから、二人揃って堂々と飲めます。
ジンギスカンでガッツリ!というには早い時間だったので、おつまみプレートと「一番搾り福岡づくり」で乾杯。おつまみプレートが思いのほかよく合い、ついつい2杯目を頼んでしまいました。うまかった!
ぐるりんきっぷを持っていれば、飲食代が1割引きになります。
夕方5時台、甘鉄はラッシュ輸送に対応すべく1時間に4本運行になります。
のどかな「レールバス」といえども、福岡都市圏の立派な交通機関。通勤とは逆方向でも通学輸送で賑わう姿に、「三セクの優等生」の健在ぶりを感じたのでした。