南郷駅に着くと、宮崎行き特急「海幸山幸」号が待っていた。純白の車体だが、窓周りが県産材でデコレーションされた外観が画期的だ。車内に入っても、床や座席、壁まで、白木がこれでもかと主張してくる。昔の列車も内装は木が基本だったが、それとはテイストの違う、モダンな和のデザインだ。女性陣も、
「わあ、すごい」
と歓声を上げており、20代前半の女性の感性にも響く列車のようである。
座席は3列と、グリーン車並みのゆったりした配置。列車が走り始めた当初は1号車指定席、2号車自由席になっていたが、指定券が取りづらいとの声が相次ぎ、その後自由席は2号車後部のわずか9席になっている。ちなみに今回のきっぷも、1ヶ月前の12時に電話をかけたのだが、その時点で残りはすでにバラバラの6席のみ。キャンセルも出ず、僕はどうせ動き回るからと自由席にした。にちなん号のガイドさんも、
「よく指定席取れましたね!」
と驚いており、大人気の列車なのだ。
独特の発車メロディを奏で、南郷駅を出発。新幹線つばめの車内メロディでもおなじみ、向谷実氏作曲の作品とのことで、爽やかな中にも旅立ちの高揚感がある。客室乗務員は1人乗務で、改札から車内販売までこなすのだから、大変そうだ。
さっそく列車は、日南海岸沿いへ飛び出した。窓は上下にワイドで、「にちなん号」よりも迫力ある車窓だ。景勝地では徐行運転もあり、またバスとは違った景色を楽しめる。ただ海幸山幸号、「いさぶろう」のように下車観光の時間はなく、乗ってしまえば下車駅まで乗り通すことになってしまう。バスとのセットでこそ楽しめる列車だと断言しておこう。
落ち着いたところで、車内をひとめぐり。基本的には新幹線「つばめ」以降のデザイン路線に則っており、白をベースに、随所に素材の色を生かした、明るいながらも落ち着くインテリアになっている。照明に高照度ライトを使っているのは目新しい。暖簾で間仕切る手法や、ギャラリーコーナーなども、近年の「水戸岡デザイン」によく見られる路線である。それでも一味違うと感じさせる所以は、やはり宮崎杉の存在感だろう。デザイナーによって新たな命を吹き込まれた宮崎県産材の、「動くショールーム」とも言えるかもしれない。
車両の形式はキハ125系で、九州各地のローカル線で走っている「イエローワンマン」と同じ系列の車両だが、元々は高千穂鉄道のトロッコ列車として親しまれていた車両だ。高千穂鉄道は台風災害という不遇で廃線に追い込まれ、以後は純民間の観光鉄道としての再生を模索していたが、今はどうなっているのか。車両そのものが召し上げられてしまっては、かなり苦しい状況であると察するが…
飫肥から北郷にかけて一旦内陸に入った後は、再び海岸線へ出た。日南線の車窓からも楽しめる「鬼の洗濯岩」では、観光停車。ちなみに3月からは、下り列車並みに観光停車と徐行運転を拡大して、よりじっくりと車窓の旅を楽しめるようになるそうだ。もはや「特急」とは名ばかりの肩書きだが、まあ設備料金のようなものと考えれば、細かいことにこだわらなくても良いか。
宮崎市内に入り、田吉駅では宮崎空港行きと交換。大きなキャリーバックを持った旅行者も降り立ち、飛行機との連携もスムーズなようだ。南宮崎から大淀川を渡り、5時20分、宮崎駅に舞い戻った。
全文
「わあ、すごい」
と歓声を上げており、20代前半の女性の感性にも響く列車のようである。
座席は3列と、グリーン車並みのゆったりした配置。列車が走り始めた当初は1号車指定席、2号車自由席になっていたが、指定券が取りづらいとの声が相次ぎ、その後自由席は2号車後部のわずか9席になっている。ちなみに今回のきっぷも、1ヶ月前の12時に電話をかけたのだが、その時点で残りはすでにバラバラの6席のみ。キャンセルも出ず、僕はどうせ動き回るからと自由席にした。にちなん号のガイドさんも、
「よく指定席取れましたね!」
と驚いており、大人気の列車なのだ。
独特の発車メロディを奏で、南郷駅を出発。新幹線つばめの車内メロディでもおなじみ、向谷実氏作曲の作品とのことで、爽やかな中にも旅立ちの高揚感がある。客室乗務員は1人乗務で、改札から車内販売までこなすのだから、大変そうだ。
さっそく列車は、日南海岸沿いへ飛び出した。窓は上下にワイドで、「にちなん号」よりも迫力ある車窓だ。景勝地では徐行運転もあり、またバスとは違った景色を楽しめる。ただ海幸山幸号、「いさぶろう」のように下車観光の時間はなく、乗ってしまえば下車駅まで乗り通すことになってしまう。バスとのセットでこそ楽しめる列車だと断言しておこう。
落ち着いたところで、車内をひとめぐり。基本的には新幹線「つばめ」以降のデザイン路線に則っており、白をベースに、随所に素材の色を生かした、明るいながらも落ち着くインテリアになっている。照明に高照度ライトを使っているのは目新しい。暖簾で間仕切る手法や、ギャラリーコーナーなども、近年の「水戸岡デザイン」によく見られる路線である。それでも一味違うと感じさせる所以は、やはり宮崎杉の存在感だろう。デザイナーによって新たな命を吹き込まれた宮崎県産材の、「動くショールーム」とも言えるかもしれない。
車両の形式はキハ125系で、九州各地のローカル線で走っている「イエローワンマン」と同じ系列の車両だが、元々は高千穂鉄道のトロッコ列車として親しまれていた車両だ。高千穂鉄道は台風災害という不遇で廃線に追い込まれ、以後は純民間の観光鉄道としての再生を模索していたが、今はどうなっているのか。車両そのものが召し上げられてしまっては、かなり苦しい状況であると察するが…
飫肥から北郷にかけて一旦内陸に入った後は、再び海岸線へ出た。日南線の車窓からも楽しめる「鬼の洗濯岩」では、観光停車。ちなみに3月からは、下り列車並みに観光停車と徐行運転を拡大して、よりじっくりと車窓の旅を楽しめるようになるそうだ。もはや「特急」とは名ばかりの肩書きだが、まあ設備料金のようなものと考えれば、細かいことにこだわらなくても良いか。
宮崎市内に入り、田吉駅では宮崎空港行きと交換。大きなキャリーバックを持った旅行者も降り立ち、飛行機との連携もスムーズなようだ。南宮崎から大淀川を渡り、5時20分、宮崎駅に舞い戻った。
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こちらも先月ゲキ★ヤス1万円きっぷを利用し、海幸山幸号に乗車する機会がありましたが、連日満席御礼で1人でも指定席確保は難しい状況(希望日が満席→その後サイバーステーションで僅かな空席を確認し、窓口へ急行)でしたので、6席も確保となると至難の業ですね。
また内装の完成度の高さは文句なしで、フリースペースの多さも、適度な乗車率であれば良いのですが、余りの盛況ぶりに自由席化しているのが実態で、これならもう少し座席数を増やしても…と感じたものでした。
シーズンオフの2月だし…と甘く見ていた、海幸山幸の指定券でしたが、いやあ、苦戦しました。まさか1ヶ月前の12時で満席近くとは、思っても見ませんでした。
自由席の少なさは苦しいところですが、「かもめ」や「ゆふDX」の豊富なフリースペースは、
・閑散期=リフレッシュのスペース
・混雑時=自由席代用
という考え方で設けられていると聞いたことがあり、同じコンセプトだとすれば、設計時の狙い通りの状況といえるかも…!?
あえて全席指定とせずに自由席8席を残したのも、そんな狙いがあるのかもしれませんね。