興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

大根と人参

2024-02-13 | 戯言(たわごと、ざれごと)
 夕方、5歳の息子とふたりでスーパーに行った。

 3連休最終日のためか、スーパーは混んでいた。

 ここに来る前に行ったホームセンターでの買い物は1時間ぐらい掛かったので、きっとスーパーの買い物もとてつもない時間が掛かるだろうと覚悟して行ったら、彼は思いのほか協力的で、妻からもらった長めの買い物リストのアイテムがサクサクとカートの中に入っていき、予想外にスムーズだった。

 あとでお菓子を選んで買ってもらえる事が頭にあったからか、先ほどのホームセンターでUFOキャッチャーで取ってあげたウーパールーパーのぬいぐるみの効果が続いているのか、彼が大人の階段を登っているのか。

 そんなことを考えていたら、不意に息子が手を伸ばして大きな大根を掴んで籠の中に入れようとした。

 彼の小さな体と大きな大根の対比がかわいくて思わず笑ってしまい、

「え?大根?大根食べたいの?」

と訊ねると、

「ママがせきしてるから。はちみつだいこん つくってあげないと!」

と、すかさず答える彼の優しさに嬉しくなり、

「なるほどね! うん! いいねいいね! Sは優しいね!」

と言うと、彼はすまし顔で、今度は素早い動作で袋入りのニンジンを掴んだ。大きなニンジンが3本入っている。

「え、ニンジン? S、ニンジン嫌いじゃなかったっけ?」

と聞くと、

「さいきん ようちえんの うさぎさんのえさがすくないから」

と即答するので、これにも思わず感銘を受けて、

「なるほどそうなんだね、わかった、ニンジンも買おう」

と言うと、彼は嬉しそうな顔をして、「つぎいこう!」と言って慣れた動作でカートを押し始めた。



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