南三陸町の杉林内、荒れた作業道を上がって行くと、伐開されたエリアがあって、そこに
草丈3mほどもある背高な植物が数本茂っていて、今は茎や枝の先端側にたくさんの果実
を円錐状に付けています。これはタケニグサですね。
伐採跡地や林道の法面などに逸早く侵出する先駆植物(パイオニアプランツ)です。
子供の頃はこの果穂を採って、振り回してはシャカシャカ鳴らして遊んだものです。
振ると長さ2cmほどのサヤ同士が当たって音をたてますし、サヤの中には疎らに5~6個
の種子が入っていて、これもサヤの中で動いて音をたてます。
二枚とも2021.8.6撮影
タケニグサの茎や葉を折ったり千切ったりすると、橙色の汁が出てきます。
この汁は有毒で、触れると皮膚炎やアレルギーを引き起こすと言われています。
でも、私が子供の頃はこの汁を「赤チンキ」などと呼んで、手の甲などに塗って遊んでい
ましたが、私も友達もかぶれたことはありませんでした。
有毒成分はプロトピン、ホモケリドニン、サンギナリン、ケレリスリンなどのアルカロイ
ドで、誤食すると嘔吐や昏睡、脈拍や体温低下、呼吸麻痺などを起こすそうです。
2021.8.6撮影
ケシ科タケニグサ属の多年草で、本州~九州に分布し、草丈は1~3m。
先駆植物の一つであり、山地の日当たりのよい崩壊地や伐採跡地、林道法面などに生える。
全体に粉白を帯びる。茎は中空で太く、切ると有毒な黄橙色の汁を出す。
葉は長さ10〜30cmで、菊の葉のように裂け、裂片の先は丸い。裏面には縮毛が密生する。
花期は7〜8月、茎や枝の先端に大きな円錐花序を出し、白い花を多数付ける。花には花弁
はなく、萼片は2個で白色、長さ1cmほどの倒披針形で開花直前に散り落ちる。雄しべは多
数あり、葯は黄白色で長さ3~4mmの線形。花柱は短く、柱頭は太くなって2裂する。
果実は扁平な蒴果、広倒披針形で長さ2cmほど。さやは膜質の2蒴片に割れて種子をはじき
飛ばす。種子は黒色で5~6個入り、エライオソームがついておりアリによって運ばれる。
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