涌谷町南部の花勝山集落、その北側を流れる江合川の河川敷内の農道を歩いていると、下流
側に小丘があって杉林になっています。
杉の木立越しに見ると、上には小さな神社が祀られているようです。
小丘の裾を歩いて行くと、杉林の中にオモトが群生していて、葉元に赤い実が付いています。
オモトの分布域は関東以西とありますから、これは民家の庭などから逸出したものでしょう。
二枚とも2020.2.2撮影
オモトを漢字表記すると「万年青」。これは葉が常緑、かつ株の寿命が数十年と長いことから
名付けられたようです。他にも大株を意味する大本(おおもと)に由来するという説もあるとか。
オモトは有毒植物ですが、薬草としても用いられます。
民間薬としては、葉を煎じて疥癬やたむしに外用するようです。
根茎・葉・種子に強心配糖体のローデキシン、ロデインを含有し、薬用として強心、利尿薬とし
て用いられます。ただ毒性が非常に強く、服用した場合の中毒症状としては呼吸、循環機能に
障害が出て、嘔吐、頭痛、不整脈、血圧降下を起こし死に至る場合もあるので、民間では絶対に
用いないよう特記されています。
2020.2.2撮影
キジカクシ科オモト属 の常緑多年草で、関東以西の本州〜九州に分布し、草丈は20〜40cm。
丘陵~低山地の林縁や林内に自生する。古典園芸植物で、江戸時代から栽培されている。
葉の形や斑の入り方などの違いで、多くの園芸種がある。
地下茎は肥大して、短く斜め~横にのびて、節からひげ根を出す。
葉は根出葉が叢生し、披針形で長さ30〜50cm、先端が長く尖り、下部は次第に狭くなる。
質厚く、両面無毛で光沢があり、縁は波打つ。
花期は5〜7月、葉の間から高さ8〜18cmの太い花茎を出し、長楕円状の穂状花序に小花
を密につける。花は6花被で淡黄色。苞は広卵形で長さ2〜3mm。
雄しべは6個で葯は卵形。花柱は短く柱頭は3浅裂する。
果実は液果で、直径1cmほどの球形。
晩秋~冬に赤熟して、中に黄白色の種子が1~3個入っている。
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