記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

ダン・ギルロイ監督「ナイトクローラー」

2016-05-30 07:39:05 | ナ行
テレビ怖いww

ダン・ギルロイ監督「ナイトクローラー」
一人の無一文がパパラッチとなってのし上がる話。間違っているようで間違っていない、と思ってる。

主人公ルイスはもともとコソ泥なんですけど、これなら儲かりそう!ってことで手を出したのがフリーランスのジャーナリスト(っていうとかっこいいけど要はパパラッチ)。もともと頭は良かったんでしょうね。サクセスストーリー歩みだした感じですよね。

ルイスとニーナが途中から超気持ち悪く感じる。「どこまで伝えるか」「何を伝えるか」「真実を伝えているのか」って考え始めるとテレビなんか観られなくなりますよね。テレビなんざここ何年もBGM代わりに朝のニュースをかけておくだけだかんな。
ルイスさんこれ取材のために事件を作るぞ、と思ってたら、マジで事件作りやがった。飯を食うためには必要なのかもしれないけど、本末転倒というか、そこが気持ち悪い。自分でも「人間が嫌い」っぽいニュアンスのことを言ってたけど、たぶんあの映画でそれだけが真実。
ライバルのジャーナリストが事故った瞬間や元部下が死んでいく瞬間の目がただただ気持ち悪い。人を見る目ではなく、モノを見る目だった。

別にそういう「報道の問題点」のようなモノを伝える映画ではないけれども、しかもだいぶ脚色されている感はあるけれども、まともな神経してたらできない商売ではあると思う。向こうじゃそれが商売として成り立っているのだろうが、日本だとそれを一般人がやっちゃうもんな。傍観者でいられるから、無神経に写真撮ったりするんだろうか、なんて。

主人公ルイス役のジェイク・ジレンホールがイケメン。

蛇足
ルイスの女の趣味は悪いと思う。

トーマス・ヤーン監督「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」

2015-11-17 06:28:09 | ナ行
愛すべきバカの集団。

トーマス・ヤーン監督「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」
余命いくばくかの男2人が死ぬ前に海を見たいって言って悪いことしまくって警察とギャングから追われながらアレやこれやする映画。
すごくざっくり説明したけど間違ってはいないと思う。

余命いくばくか、というより、いつ死ぬかもわからないって言った方が正しいんだよねたぶん。酔ってたノリもあったんだろうが。
その状態で、「死ぬ前に何をしたい?」って言って、海を見に行くって、まぁロマンあふれる話ではないですか。
もし自分なら何をしようか。

最初無茶をしまくるマーチンに対してルディはちょっと引き気味なんだよな。まぁな。おそらく真面目一辺倒で生きてきたんだろうってのがよくわかるもんね→ルディ。ずいぶんと最後の方には無茶をするようになったもんだ。友情ってすごい。
だんだんマーチンの発作がひどくなって行くのがわかるのよぅ。本当にいつ死ぬかわからない状態だったんだなぁ。その割に寄り道回り道していたような気がしないでもないけど。
ハッピーエンドの方が好きだけど、あんな終わり方も嫌いじゃない。
一個だけ、何でボスがあんなに簡単に二人を解放したのかがわからないのよね。どうしても。「天国では海の話をする」ってのが何か言い伝えでもあるのかしら。そういうわけじゃないのよねきっと。
もう死ぬかもしれない2人組に無駄弾使うのも…なのか?単なる人情か?うーん。これがわかればもう少しすっきりすると思うんだけど。

それにしてもバカが多い。ギャングだけかと思ったら警察もか。銀行もじゃないか。なんというか…シュールよねぇ。
もっとシリアスな話だと思ってたから、思った以上にあほが多くて、そこでやっとコメディなんだって気が付いた。
アクションロードムービーっていうくらいだからアクションも多いんだけど、ちょこちょこバカがいる。
でも観て損はないかな、って感じ。


蛇足
ルディが大○洋に似てる気がする。

ジム・マイクル監督「肉」

2015-05-03 21:11:54 | ナ行
謎の感動。

ジム・マイクル監督「肉」
新宿の映画館でポスターを見かけてからずっと観たかった映画。絶対に地元じゃやらないからね。
ちなみに前回「スノーピアサー」を見て、今回「カニバル」と一緒に借りてこようとしたから、そろそろビデオ屋の店員に趣味を疑われるような気がする。

グロ描写が多いのかなと思ったらそうでもなく。重大な役目を担うことになった姉妹の葛藤やら悩みやら日常が崩れていく様子やら(いや、そもそも崩れてたか)が描き出されていて、これが面白い。
今まで積み重なっていたものが(文字通り)溢れ出してあらわになって、そこからの狂気の奔流が素晴らしいと思いました。

伝統を粛々と受け入れてきた一族ってのもすごいけど、それを誰も変えようとしなかった、逃げ出そうとしなかったってのもまぁアレだけど、洪水の件や人骨が現れた件やそういう諸々も含めて、変わるときに来てたんだろうな。

ネタバレになるのはわかるけど、あのクライマックス。
実の父親を貪り食うという、狂気あふれるシーンではあるけれども、美人姉妹ということもあって非常にエロティシズムに溢れる魅せられるシーン。こうやって命は受け継がれていくのですね…(違)
あの姉妹にとって、一族の伝統=自分たちの運命=父だったのではないかと思うのですよ。見えない何かをすべて具現化していたのが父だった、と。それを食らうというのは、運命を受け入れるという面もあり、食らうことで力関係を示す、つまり、運命よりも自分たちの方が強いのだと示す意図もあったのではないかと考える次第。食らうことで運命を文字通り食い破り、そこから脱出した、と思いたいです。そうすると綺麗なハッピーエンド。

でもきっとあの姉妹は土地を離れても人肉食を続けると思うな。人肉の魔力に憑りつかれたからのあのクライマックスだと思えなくもない。
父と違うのは、それでもまだ罪悪感(=髪飾り)が残っていること、なんだが…まぁなぁ。
あのラストは、「パフューム」を思い出した。全ては愛。愛のなせる業。


蛇足というかなんというか。最近エロネタが続いててなんだけれども。
彼氏とちょっといい空気→青姦、かーらーのー、父登場!それこそ発狂してもおかしくないレベルだと思う。
唐突なエロシーンにげんなりしてたから展開に大爆笑したけど。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督「21グラム」

2014-09-09 19:45:47 | ナ行
だーかーらー、時系列がこんがらがってる映画は苦手なんだって!

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督「21グラム」
21グラムが魂の重さってところまではジャケットから余裕だったんだけども。

交通事故の加害者と、被害者の妻と、被害者の心臓を移植された男。
で、移植された男ポール(ショーン・ベン)が、自分が誰の心臓を移植されたのか探し始めて、そしたら事故で旦那と娘を亡くしたばかりの
クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)に出会って(ちなみにポールは奥さんと上手くいってない)…ってなったらこの2人がデキるのは自明の理というか、普通くっつくよね?的な感じ。
でもって、加害者ジャック(ベニチオ・デル・トロ)はなまじ信心深いもんだから、旦那と娘を死なせてしまったことに罪悪感抱きまくり。弁護士を雇おうとする奥さんを押しとどめ、罪の意識に苛まれる…というか、罪の意識に逃げ込んでる、と言った方が近かったような。

「愛してるならあの男を殺してよ」と叫ぶクリスティーナ。それを実現しようとしてしまうポール。愛って偉大ね。
というかこの映画ろくな女がいない。一番まともなのはジャックの奥さんじゃね?

愛と人生が複雑に絡みあった映画。ちょっと重い。ちょっと?かなり重い。思いが重い。愛も重い。


蛇足
ベニチオ・デル・トロがイケメン。