記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

ジム・マイクル監督「肉」

2015-05-03 21:11:54 | ナ行
謎の感動。

ジム・マイクル監督「肉」
新宿の映画館でポスターを見かけてからずっと観たかった映画。絶対に地元じゃやらないからね。
ちなみに前回「スノーピアサー」を見て、今回「カニバル」と一緒に借りてこようとしたから、そろそろビデオ屋の店員に趣味を疑われるような気がする。

グロ描写が多いのかなと思ったらそうでもなく。重大な役目を担うことになった姉妹の葛藤やら悩みやら日常が崩れていく様子やら(いや、そもそも崩れてたか)が描き出されていて、これが面白い。
今まで積み重なっていたものが(文字通り)溢れ出してあらわになって、そこからの狂気の奔流が素晴らしいと思いました。

伝統を粛々と受け入れてきた一族ってのもすごいけど、それを誰も変えようとしなかった、逃げ出そうとしなかったってのもまぁアレだけど、洪水の件や人骨が現れた件やそういう諸々も含めて、変わるときに来てたんだろうな。

ネタバレになるのはわかるけど、あのクライマックス。
実の父親を貪り食うという、狂気あふれるシーンではあるけれども、美人姉妹ということもあって非常にエロティシズムに溢れる魅せられるシーン。こうやって命は受け継がれていくのですね…(違)
あの姉妹にとって、一族の伝統=自分たちの運命=父だったのではないかと思うのですよ。見えない何かをすべて具現化していたのが父だった、と。それを食らうというのは、運命を受け入れるという面もあり、食らうことで力関係を示す、つまり、運命よりも自分たちの方が強いのだと示す意図もあったのではないかと考える次第。食らうことで運命を文字通り食い破り、そこから脱出した、と思いたいです。そうすると綺麗なハッピーエンド。

でもきっとあの姉妹は土地を離れても人肉食を続けると思うな。人肉の魔力に憑りつかれたからのあのクライマックスだと思えなくもない。
父と違うのは、それでもまだ罪悪感(=髪飾り)が残っていること、なんだが…まぁなぁ。
あのラストは、「パフューム」を思い出した。全ては愛。愛のなせる業。


蛇足というかなんというか。最近エロネタが続いててなんだけれども。
彼氏とちょっといい空気→青姦、かーらーのー、父登場!それこそ発狂してもおかしくないレベルだと思う。
唐突なエロシーンにげんなりしてたから展開に大爆笑したけど。

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