なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

食道裂孔ヘルニア

2024年11月28日 | 消化器疾患

 11月27日(水)に前日から嘔吐が続く90歳女性が受診した。前日の昼に餅を食べたそうだ。午後から嘔吐が続き、吐物は黒色(コーヒー残渣様)となっていた。

 患者さんは外来の処置室に横臥していた。意識清明で普通に会話ができる。認知症はないようだ。吐物は確かに黒色だった。

 隣町の病院に通院していて、PPI(ランソプラゾール15mg)とスタチンが処方されていた。食道裂孔ヘルニアといわれているという。結膜を見ると貧血かもしれない。

 前日から30回は嘔吐している、と問診票に記載していた。腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。腸閉塞ではない。食道裂孔ヘルニアのためか、幽門狭窄による嘔吐が疑われた。

 単純X線では確かに胃の大部分が胸腔内に入り込んでいる。胸腹部CTで確認すると、胃内に食物と消化液が充満している。高濃度に見えるのは餅かもしれない。

 消化器科医に相談すると、この状態で内視鏡を入れるのは危ないといわれた。入れて吸引してもすぐに吸引口が詰まってしまう。そもそも入れた時に嘔吐して誤嚥性肺炎を来す可能性が高い。経鼻胃管(NGチューブ)を入れるのも同じことが起こるかもしれない。

 点滴をしてPPI注を行っていたが、その後は嘔吐しなくなった。絶食・点滴・半座位で腸管への流出があるか1日経過をみてから、処置を決めることになった。

 

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