なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

中脳病変

2019年12月19日 | Weblog

 先週の火曜日に65歳男性が内科外来を受診した。既往歴は6年前に僧房弁置換術を受けていて、その頃から血清クレアチニン2mg/dl程度の慢性腎臓病(CKD)を指摘されていた。

 それぞれ当院の心臓血管外科外来(大学病院から)、腎臓内科外来(大学病院から)に通院している。イライラしているというか、落ち着かない印象があった。意識障害はなく、会話は成り立つ(と思われた)。

 前日に車を運転して高速道路を走行していた時に、隣の車線の車と、最初はミラーを擦った程度の接触事故で、その次は相手の軽自動車が回転して壊れるくらいの事故を起こしたという。いずれも逃げてしまい、その後自分で警察に出頭したそうだ。身柄を確保されないのが不思議な気がしたが、病院に行くようにと言われただけだった。

 炎症反応が軽度に上昇して、筋原性酵素(骨格筋)の上昇があった。打撲しているはずだが、どこも痛くはないという。最近の血清クレアチニンは3mg/dl台まで上昇していたが、それが5mg/dl台に悪化していた。感染症は認められなかった。

 上肢下肢の細かな振戦を認めたが、明らかな筋力低下はなかった(甲状腺機能は正常域)。何だかわからないが、前日からあまり食べていないというので、入院して点滴で経過をみることにした。

 入院してからも落ち着かず、大声を出したこともあり、病棟看護師さんが不安がった。体格がいいので、本気で暴力を振るわれたら大変だった。本人に訊くと、自分でもよくわからないが、焦った感じになるという。対面して話をすると、理解はされていた。が、認知力低下がある印象を受けた。試しにリハビリスタッフに長谷川式をしてもらうと、11点だった。

 受診時に頭部CT、胸腹部CTを行ったが、新規の異常はなかった。入院後に頭部MRIを行うと、拡散強調画像で中脳に高信号を認めた。これは何を意味するのか。

 

 脳神経内科の新患外来(地域の基幹病院にも行っている先生)に診てもらった。仮診断をしてあとは調べてくるということだったが、今日両側赤核症候群では、と当院の神経内科医にメールが来た。当院の先生も病名が思いつかないという。認知力低下は説明がつくのだろうか。

 一度は脳神経内科のそろった専門施設で診てもらう必要がある。地域の基幹病院脳神経内科の先生に連絡すると、今は満床で受けられないが、週明けになれば転院で診てもらえることになった。ありがたい。

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)は脳神経内科志望なので、訊いてみた。脳幹部の血流支配からこういう形の脳梗塞もあるのではという意見だった。当方には難しすぎる症例だ。

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アルコール性肝硬変、肝性脳症 | トップ | DNARとNPPV »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事