先週は土曜日に抗菌薬セミナーに行って、日曜日は病院の日直だったので、まったく休みなしだった。今週は特に当番でもなく、土日休みとなった。総合診療にセミナーに行っただけで、あとは特に予定はなし。ジュンク堂の医学書コーナーで野口先生の「不明熱の診断学」を買ってきた。実際はそれほど難しい症例に当たることはないが(わからなければ紹介してしまう)、勉強しておこう。来週は土曜日が内科地方会で日曜日が病院の内科当直だ。それにしても、最近は老眼で近くが見えにくくなっている。視力1.5~2.0でメガネをかけたことはないので、メガネをかけるという感覚が分からない。
33歳男性。今日の午後は救急当番だった。救急隊から外傷の受け入れ要請が入った。、解体作業中に3~4mの高さから転落して、コンクリートや鉄骨があるところに落ちて、左下腿に鉄骨が刺さったような穴が開いて出血しているという。整形外科医がいるのを確認して、来てもらうことにした。患者さんは大柄で筋骨隆々としていて、胸にタトゥーが入れていた。点滴と採血・X線のオーダーを入れて、整形外科医を呼んだ。左膝下の脛骨が骨折してバラバラになっている(粉砕骨折)。整形外科医二人が治療の相談をしながら、手術の準備に取り掛かっていた。外傷の救急では、内科医は単なる受付係なので、骨折のX線を見て驚くだけになる。
80歳女性。僧房弁置換術後・三尖弁形成術後で心房細動がある。1週間前から間欠的に頭痛・めまいがあるという。倒れているところを家族が見つけたこともある。気が遠くなることもあるという。当院の心臓血管外科外来(大学病院から週1回)に通院している。また糖尿病で内科医院に通院している。症状があって受診した際の血糖は正常域で低血糖ではない。今月当院の救急外来を2回受診しているが、受診時には症状が消失していたため、帰宅となっていた。今日は朝に同じ症状があり、内科医院を受診して精査目的で当院に救急搬送された。搬入時は何ともないという。心電図で心拍数正常域の慢性心房細動がある。推定だが、除脈性心房細動になるか、あるいは洞停止・洞除脈になるのではないかと思われた。入院して心電図モニターで経過を見ることにした。
87歳男性。腎機能障害とネフローゼがあり、腎臓内科の外来に昨年から通院していた。1週間前から両下肢の浮腫があり、息切れを訴えるようになった。数日前に外来を受診して、利尿剤が処方されていたが、改善しなかった。今日受診して、胸部X線で両側胸水貯留を認めた。たまたま腎臓内科医が休みだったため、内科で診た。心電図で慢性心房細動があり、心拍数は正常からやや頻脈だった。循環器科に心エコーを依頼すると、EF33%でMRもあった。腎不全+心不全として、内科で入院になった。認知症としてアリセプトも処方されていた。病棟に上がってから、ちょっと目を話すと、自分で廊下に出てきて自分の部屋がわからなくなっていた。性格は温和でこちら指示にはちゃんと従ってくれるが、夜間が心配だ。尿カテーテル挿入はイヤだと言われたが、ふだんでも失禁しているので、利尿剤を使うと大変なことになるので、パンツタイプのオムツを家族に買ってきてもらうことにした。
90歳女性。寝たきりで在宅介護を受けている。3日前に饅頭を食べていてむせったそうだ。その後からしだいに呼吸苦が出現して、今日救急搬入された。4月にも誤嚥性肺炎で入院していたが、抗菌薬投与で治癒していた。今回は左肺全体に浸潤影を認め、前回より重症だった。酸素と抗菌薬・点滴を開始して入院とした。背中が曲がりすぎていて胸部X線は普通には撮影できない。CTを撮ったが胸部を撮ろうとすると頭部も入ってしまう。家族には、できる範囲で治療するが、増悪時はDNR(心肺蘇生はしない、というよりできない)の方針とした。
当院の内科入院は3人にひとりは入院時からDNRの方針になっている。80歳台後半から100歳までの誤嚥性肺炎と癌終末期の緩和ケアが多いのでそうなってしまう。
94歳女性。もともと高血圧症・腎不全(高血圧性腎症か)・貧血(腎性貧血)・心不全などがある。大腿骨頸部骨折で整形外科に入院して手術を受けた。その後リハビリ病棟に移ってリハビリを開始していたが、年齢もあり、あまりADLは改善していなかった。3か月経過していた。病棟の看護師が喘鳴に気づき、酸素飽和度をみると80%台に低下していた。リハビリ医が循環器科医に相談した。胸部X線で心不全が悪化していて、腎不全と貧血も進行していた。術後にNSAIDが処方されて、腎不全の悪化とおそらく消化管出血をきたしたためと思われた。純粋な心不全ではないので循環器科では診ないといわれ、内科で診ることになった。難聴で理解力も低下している。92歳はどこまで治療に反応してくれるだろうか。
101歳女性。大腿骨頸部骨折の既往があり、寝たきり状態ではあった。家族の介護と内科クリニックの往診を受けていた。2-3日前から食事摂取量が低下していて、腹痛もあったらしい。土曜の夜に嘔吐して、日曜になって発熱もあった。 日曜日の内科日直をしていたら、かかりつけの内科クリニックの医師(以前当院の勤務医)から電話があり、救急車を要請するので診てほしいという。誤嚥性肺炎と思われ、引き受けた。しかし実際に来てみると肺炎はなく、胆嚢に複数の結石があり、胆嚢の腫大と壁肥厚を呈していた。血液検査で炎症反応の上昇と肝機能障害を認めた。胆石性急性胆嚢炎だった。さすがに101歳で手術はないので、内科で保存的に治療することにした。家族には経過をみないと助かるかどうかわからないとお話した。
抗菌薬適正使用セミナーに行ってきた。大曲先生や矢野先生の話を聞いた。最近は感染症の勉強が不足していたので、いいきっかけになると思う。ただ、やっているのは総合診療なので、新幹線では甲状腺疾患の本を読んでいたし、セミナーのついでに買ってきたのは脂質異常症の本だったが。
80歳台半ばの男性。前日から発熱があり、近くの診療所を受診しようとして、歩行できなくなり、救急要請した。軽い脳梗塞で入院して4日前に退院したばかりだった。来てみると体幹部と四肢に発疹がある。左胸部に黒色の痂皮(刺し口)があり、ツツガムシ病と診断された。実は前の週にツツガムシ病の高齢女性が搬入されていて、発疹と刺し口を一度見ていたので、今回は救急室の看護師さんがすぐに刺し口を発見した。この女性は発症してから1週間経過していてDICに陥っていた。主治医によると搬入時よりは改善しているが、まだICUで集中治療を受けている。私が担当のこの患者さんは、外来ですぐにミノマイシンの点滴静注を開始して、入院2日後には解熱して食欲良好となった。問題はいつ刺されたのかだ。脳梗塞で約1週間入院して、退院3日後に発症している。脳梗塞で入院する直前だったのだろうか。それとも退院した日か。
50歳台半ばの女性。糖尿病と甲状腺機能亢進症で内科クリニック(以前当院に勤務していた医師)に通院している。糖尿病はインスリン注射をしていた。2日前からの高熱で同クリニックを受診して、血液検査での炎症反高値がある、当院内科へ紹介された。肺炎はなく、尿混濁を認めた。腹部CTで尿路閉塞はなかったが、左腎臓内に低濃度域があり、腎臓辺縁のケバ立ちと周囲脂肪織のdirty fat signを認めた。腎膿瘍・急性腎盂腎炎と診断された。抗菌薬の投与(セフトリアキソン)で解熱軽快した。