Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

大西厚樹の予言

2012-05-19 20:24:00 | 大西厚樹
大西さんは私より確か11歳年上です。
その年齢差のせいか、上司と部下(姫と召使かも)という関係のせいか、
大西さんはよく「しましまさん、ってよ!」
と世の中のアレコレを語られました。


まあ、私にだけじゃなくて、部下全員に語っていたと思います。「おしゃべり」とも言えます・・・

長時間一緒に仕事してると、話題もそれは多岐に渡りますが、
私が宣伝/広告担当だったため、大西さんと長時間すごすのは、
おもに「広告撮影」「ショー」でした。
このふたつの共通点は、モデルを使うということ。



このモデル・キャスティング、
デザイナーにとっては、自分の服を頭の中のイメージどおりか、
それ以上に見せてくれるモデルを選ぶのですから、それは真剣勝負。kirakira

そして、その真剣な仕事でも特に思わず全身全霊で打ち込んでしまうのが
大西さんにとっても、私にとっても「メンズ」部門でした。

映画監督のヴィスコンティの「ベニスに死す」ダジオ役のオーディション・シーンと同じ。
真剣な品定め。pika

オーディションに来たモデルさんに服を着て歩いてもらって、
顔のアップと全身のポラ写真を撮って、
来てくれたお礼を言って、モデルさん達が帰った後も
・・・さらに盛り上がりました!!

お仕事をしていただくか、そうでないかを決める仕事の真剣さ、
だけではないアドレナリンが、美男美女を見ると出るんだと思います。
それは神様に選ばれた才能としか思えない、魅力。kirakira

大西さんは基本的にお坊ちゃん系が好きですけど、
「きゃー、不良ーー!!でもかっこいい!女ならこんな男に泣かされたい」
・・・って、
結局「不良」とか言ってもかっこ良ければいい、ってことなんですね。

幸いなことに、大西さんと私のモデルの好みは90%一致していたので、
恐ろしく忙しくも楽しい時を過ごすことができましたsymbol1

知らないが故にやってしまったのは、モデルのダイレクト・ブッキング。
ルオモ・ヴォーグで見た大西さんのお気に入りジョナサン君に、
うちのショーだけのためにNYから来てもらったのです。


左から3番目がジョナサンだと思います。1996年のルオモ・ヴォーグより

ところが彼のエージェントはなぜかパリにいて、フランス人と私の怪しい英語で
契約を進めたってんですから、今思うと、よく実現したもんだと感心しますase
しかも、たったひとりでショー前のプレス業務をし、
なぜか「話が盛り上がる」という理由で、ショーのスタイリングも
大西さんのアシスタントを私がしていたのですから、よく身体が足りてたなあ。。。



↑ このイヴァン君にもショーに出てもらったことがありました。
大西さんも私もファンだったので、舞い上がってしまいました。
「記念に写真を一緒に撮ってもらったら?」と大西さんが気をきかしてくれて
私はなんとツーショット写真を撮ってもらったのですが、
彼、私より身長は20cmくらい高くて、顔は私の2/3くらいなんです!
遠近法が狂った写真は、嬉しいのに人に見せられないというつらいものにfukidashi

ところで
あるショーに出たモデルで、ニュージーランド出身のエリオット君が来た時、
「素朴でいい子よね~、ニュージーランドって田舎だから、
垢抜けてないんだけど、人がいいんですって!」と語っていました。

キウイのモデルって私も後にも先にも彼しか知りませんが、
確かにパリですでに活躍していたジェローム君とかと比べちゃったら
「田舎から出てきました」感は否めなかったかもしれませんが、
大西さんてばエリオット君見るたびに「田舎者」を繰り返してたので、
私の頭の中にはすっかり「ニュージーランド人」=「田舎者」の方程式が定着・・・

その数年後に私がキウイ人と結婚することになるとは、その時は夢にも思わず。

でも結婚後ロンドンに住んで、都会の愛想ないロンドンっ子に慣れてから
ニュージーランドに行った時、「みんないい人だ~」と実感しました。

知らない間に大西さんの語りが私の人生を決めたとは思いたくないですけど。

















タータンのポット&マグ

2012-05-03 11:09:00 | 大西厚樹
またA.O. by ATSUKI ONISHIのノベルティがでてきました。
大西さんグッズはもはや私にとって、あって当たり前でしたので、
持っていることをも忘れていたりします。 yellow20



タータンチェックのティーポットとマグカップ item9

実はコレ、・・・私のデザインです。お恥ずかしいです。
ふたにつけたアールデコ風のイニシャルが密かにお気に入りでした。
ちょっと大人のオシャレのつもりで。

]

downもとネタはこちらです。スコットランドのお土産屋にありそう yellow19



でも当時でも大西厚樹のイメージにしては地味なのは自覚はしていました。

この頃、シーズンごとにプリントのテーマがあったので
それに合ったノベルティをお客様にプレゼントしていて
「テディ・ベア」「レオパード」などは、今初めて告白しますと
大西さんが自宅で愛用していたリチャード・ジノリのお皿を参考に

leftこれや
leftこれ

クマちゃんやヒョウのぬいぐるみのイラストを配して
こんなお皿をつくりました。カップ&ソーサーもありました。



ヒョウはこのイラストでした。お皿は・・・行方不明yellow23



・・・という経緯がありまして、ある秋冬シーズン、
お洋服がボルドーや深緑のタータンチェックになった時は、
陶器シリーズもポップからシックにしたくなった・・・というわけです。

ノベルティのデザインは、私が決めたら大西さんの了解を得てから
GOしてましたが、サンプルを見た大西さんもOKしてくれました。

でもたぶん、ポップでかわいい世界が好きで買ってくださるファンの方には
深緑色のお洋服も、ポットも、評判は良くなかったでしょうね。
やはり、ずっとファンでいてくださる方は、ほかにはないものを求めて
買ってくださるわけですからね。

たぶん、その後の営業会議で「地味な色は売れない」などと
討議されたのではないかなあ・・・

その後はまた「チューリップ」とか「プードル」などの
かわいいモチーフがちゃんと復活してますから。

プードルは、大西さんの愛犬=良太(リョウタ)も転写プリントで
Tシャツになり販売されていました。
あの時は、親バカ炸裂だなあと思ってましたが。。。


残念ながらリョウちゃんの写真は見つからず、コチラはよそのコです。


15年くらい前は、日本では珍しい毛の色でした。
「アプリコット」という色なのだ、と大西さんから教わりました。
今はもう、よく見かけるようになりましたね nikukiu

スポーツも好き

2012-04-25 23:24:00 | 大西厚樹
今朝、NHKのニュースで「復刻ブーム」を報じていました。
30~50代の世代が「昔は良かったな~」と感じる80年代あたりに
スポットを当て、お菓子からDCブランドまでを紹介していました。

「VIVA YOU」がデパートでフューチャーされている映像を見て、
ああ・・・大西さんも生きていたらカムバックしてるかも、
と、ちょっとグッときてしまいました

・・・い、いかんase

すっかり暖かくなって、外出のおしゃれも嬉しい季節がやってきた!sun
ので、
こちらをご紹介します。大西さん監修のニットの本です。


日本ヴォーグ社 1996年発行

タイトルに「夏、スポーツを編もう!」とあるように、
スポーツ系のデザインを多く集めています。

大西さんと言えば、ロマンチックなこんな感じが人気ですが、


(この本でもレース編みなども紹介してはいます)

実は、大西さん、スポーツのユニフォームみたいな服、大、大、大好きです!



ぴったりしたニットにワイドパンツはよくご自身着ていました。



女の子もかわいいですよね。スポーツ系。メンズっぽいからかな。



ボーダーに肩ボタンは永遠に好きだ~ いつも探してる、けど、ない。



ロンドン・オリンピックも始まると、こういうのが着たいよね。
あら、そんなことないですか? 私だけですか?



こちらは、同じセーターを男の子と女の子が別の着こなしで。
ポロシャツニットにスカーフの大西さんも見たなあ。

   ship      ship      ship

この本の撮影は、大西さんが別荘を持っていた葉山ロケでした。
花柄スカートの女の子がすわっているのは、大西さんのベッドルーム。
屋外の風景は、葉山マリーナに行きました。

その葉山の大西さんのマンションへは、
別の雑誌のインテリアの取材&撮影の準備で前日から入り
お泊まりさせていただいたこともあるのですけど、
大西さんのあのかわいいベッドがある大きな寝室に比べ
私と販促課の上司は一番小さい和室で寝たんですよね・・・いいんですけどね~

金子國義氏をご招待した時にもお手伝いしたのですが、
その時、私が「大根おろし」の水分を絞らずにお出しして
金子氏にしかられたことも、anger
今となってはこうして語れる思い出に。。。
あの時「日本人の常識」なんてマニュアル本があったならなあ!

そうそう、もうひとつ、葉山と言えば。。。。

ある日、東京本社で大西さんと会社の専務に言いつかった私の任務は、

大西さんの葉山の家から、クマちゃんのぬいぐるみをとってくる」こと

その時点ですでに午後3時ごろだったでしょうか。
葉山って、最寄り駅はないんです。
逗子駅から、バスで行くしかない。
そして大西さんのマンションは海のすぐ近く。。。

恐怖の暗夜行路でございました。

私が逗子駅に着いた時には日も暮れかかり、
大西さんの部屋に侵入して、クマちゃんをだっこして
真っ暗な、海の音のする、人気のない道を走った私。。。。

こうした私のミッションのおかげで次のシーズンのテディ・ベア柄が
でき上がったことは大西さんしか知らないんだろうな。

ってことは今や私が知るのみ。




RUPERT

2012-04-20 14:28:00 | 大西厚樹
ルパート バイ アツキオオニシ、と読みます。
「RUPERT by ATSUKI ONISHI」1994年創立



女性用のお洋服では、90年代には金子国義さんのイメージも使わなくなり、
(ショッピング・バッグはずっと金子氏の絵がついていましたが)
ちょっと毒入りのコアな少女趣味から
「チューリップ」「苺」「レオパード」「テディ・ベア」「バンビ」
などの愛されモチーフを打ち出していました。

そこで、メンズではこのルパートくんだった
・・・・と私は思っています。
でも、
クマのルパートがフューチャーされたのって、実は、初期のみで、
その後は大西さん自身のワードローブに近いものが出て来るんですよ。

あえてキーワードを探すと、「ジャン・コクトー


「恐るべき子供達」マントにマフラーの少年達に萌えたと言っていました


ジャン・マレーのシックな装いにあこがれていました


でも一番好きだったのは顔かも・・・あ、いえ、何でもありません。そそくさ・・kirakira2


コクトーによるイラスト。ベレー帽だ!大西さんのトレードマークsymbol7

これだけだと、金子國義美少女に近く、「美男美女以外はどうしたらいいの?!」
という近寄りがたさですが、・・・大丈夫、ちゃんと逃げ道もあった。



「タンタンの冒険」exclamation2映画も記憶に新しいですね。

見れば見るほど大西さんそのもの。
白シャツ、ステンカラーのコート、ニッカボッカー!
よくこういう出で立ちで犬を連れて出社してましたっけ。
犬の世話は私の仕事でもあった。

こちらのイメージなら、ジャン・マレーのような顔の持ち主じゃなくても、
モデルのように背が高くなくても、オシャレでかわいいじゃありませんか!!


モデルさん着用ですけどね・・・

大西さんのキャリアの中で、メンズはウィメンズ(レディースって言ってたナ)
ほどにはあまり知られてはいないと思うのですが、
私個人の思い出に占める比重は実はかなり高いです。
なぜなら、仕事が大変だったから?!

だって、従来のウィメンズの販促はそのままやりながら、
メンズのショーもやったんですよ。仕事量は今考えると倍以上。
ブランド以外に、舞台衣装のデザインのお仕事などもあったし。
その辺のお話は長くなるのでまた改めて( left まだ続ける気)

でも不思議なことに、大変なことにこそ、深い思い出ができました。
ショーのスタイリングあけの朝帰りとか、
夜更けの焼肉とか、舞台俳優さん達との居酒屋とか・・・ブツブツ
・・・はっ?!それって、仕事じゃないか。



cameraモデル写真2点は、日本ヴォーグ社「大西厚樹のセーターブック」(1995)より
light 現在「RUPERT」は大西さん退職後別のプロデューサーにより企画されています






ATSUKI ONISHI の金子國義

2012-04-18 15:48:00 | 大西厚樹
もうひとつ、現物が見つかりました。



ノベルティのミニ・スカーフ(88Autumn/Winter)でした。



この頃、金子國義さんの絵は、ポスターや販促物によく使われていました。

こんなものも・・海外のオークションサイトで発見・・・



86年のショーの招待状チケットなのです。
ジョニー・アルディとシルヴィ・ヴァルタンの曲入り7インチレコード。
オークション説明文には「日本国内でも超レアもの」との記述が。
それはそうです、非売品ですから。
曲はこちらでした。down



downこちらのバレリーナの絵は、
ショッピング・バッグやギフトBOXになっていました。



そうそう、金子さんつながりと言えば、コシミハルさんも。


金子氏装丁の、ジャケット

確か「マルセリーノの歌」をショーで使わせていただいて、
ミハルさんがオリーブに登場された時には服を提供、という関係だったと思います。
あのシーズンはコレクションテープ(カセット!CDじゃない)
がショップに配布されて、この曲がかかっていたはず。



ミハルさんのメイク、金子さんの絵と同じですね。

メイクと言えば、そうだ!マネキンもあった!
金子氏がメイクを監督したマネキンが数体、展示会で登場し、
その後、全国の百貨店のディスプレイなどにも使われたのです。
ああ、写真がないのがおしい・・・

あ、・・・誰も見たいだなんて言ってませんね fukidashi

kirakira2     kirakira2     kirakira2

80年代の大西さんの女性像って、やっぱり「現実味のない美少女」です。
しかも、金子さん顔のメイクは一般男性には受けません。
唯一、許されるのは美少女、美少女はなにをしても可shoe

本人、心は乙女で現実は男性ですから、
自分が絶世の美少女になって自分がデザインした服を着る図が脳内で
いとも簡単にできてしまっていたと思われます。

実際、大西さん小柄で細身なので、
ショーサンプルのドレスを着て鏡を見ている姿が目撃された、
というウワサもまことしやかにささやかれておりました・・・

では、メンズ部門では現実味はあったでしょうか。
次回につづくsmile