Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

Lilting 感想その2

2014-10-10 22:02:00 | ベン・ウィショー


ではLiltingについてもう少し書きます。

コメンタリーは脚本/監督のHong Khaouと編集のMark Townsによって入ってます。

それによるとオープニングに流れる音楽は50年代の中国の曲で、中国趣味のインテリアが写し出され、カメラが部屋をぐるっとまわるとプラスチック容器のニベアクリームとピルケースが表れ、現実に引き戻されるとのこと。

ジュンの住んでいる老人ホームのような家は、部屋の中も応接室も外側も全て同じ建物で撮影した。(よくある撮影は中と外観が別の場所だったりしますよね。この映画の製作会社の名前のひとつがMicrowaveって言うんです。意味は「マイクロ波」または「電子レンジ」のことなんですけど、Micro(最小)Budget(予算)って何かに書いてありました。何だったか誰が言ったか忘れてしまいました・・・笑)

ウィショー君を使いたいと思ったのは、「パフューム」を見て以来、と監督が言ってました。出演してもらえてとても嬉しいと。ジュン役のペイペイさんは中国や香港のアクション映画のスターで、今でもドラマなどの仕事で忙しい。この映画のために白髪のメイクをしているそう。通訳Vannのナオミはオーディションで選ばれた本編がデヴュー作の女優さんで、現場で緊張するナオミをウィショー君がいろいろお世話していたそうです。(かわいい!映画の中でもこのふたりは別につき合ってるわけじゃないけど手を組んで歩いたりしてるのがかわいくて・・・その組み方が、ウィショー君の腕がナオミの腕の後から入って捕まえてる感じで、つまりVannがリチャードをエスコートしてるみたいに歩いてるんですね。それが通訳としてリチャードをジュンのところまでエスコートする役にかぶるなあ、なんて思ったり。)

部屋の中に数人いて撮影する時、ウィショー君は自分がカメラに入ってない時でも、フルで演技をしているそうです。それが他の俳優達に演技しやすい環境を作っているそうです。(が、同じ場所にいても自分が映ってないと演技しない俳優さんもいるのか、と改めてそんなことを考えました。じゃあ何してるんだろ?)

ジュンが息子のカイにCDを持って来てとずっと頼んでいるのに、カイはいつも忘れて持って来ないという曲がありました。それをカイの死後にリチャードが届けるんです。Swayというその曲は、オリジナルは西洋の曲なんだけれど、中国語のカバー曲で、それが、この物語を象徴しているんだ、と言ってました。

タイトルLiltingは、音楽、ダンス、言語という意味があるそう。(でもそう限定してるわけではないみたい。よく質問されるみたいで、笑いながら話してました)

「ジュンが息子がゲイだと知っていたかどうか」は、見る人にゆだねられているそうです。

コメンタリーに関してはここまでです ー



ちょっとおもしろかったこと

ジュンがカイに「ここの人は日本人と中国人の区別もつかないのよ」と文句たれる台詞があります。日本人と思われて不愉快なんですね。でもカンボジア系中国人と言われてもちょっと客観的には在英アジア人の中でもマイノリティですよね・・・^^それでカイが「どこが違うの?」と聞くとジュンの答は「中国人の目の方が魅力的よ。私達のまぶたにはa lipがあってもっと切れ長だし」カイ「日本人にもa lipがある人はいるよ」 ・・・・・私はこのa lipが何なのか考えてしまいました。lipは唇って意味じゃないですか。つまり、これは二重の目、って意味なのでしょうかね?!

監督は8歳でカンボジアから政治的混乱のためイギリスに移住しています。そして長編映画はこのLiltingがデビュー作なのですが、短編をいくつか作っていてその数片もゲイのストーリーのようです(MDBを見ました)。てことは、カイに自らをかなり投影したっぽいなあと思いました。

Liltingは、BFIサイトからレンタルもできます。メールアドレスを登録して、支払いはクレジットカードが使えるようです。




10/11


今日は頭痛で1日寝ていて、ネットにもほとんど接触してなかったのですが、本編見るまで遠ざけていた「Lilting」記事をひとつ読みました。

http://www.windycitymediagroup.com/m/APPredirect.php?AID=48986

これによると、監督のHong Khaouは、「パフューム」のウィショー君を見た時に、リチャードの悲しみ、繊細さ、内面の強さを伝えられる俳優だと感じて手紙と脚本を送ったそうです。でもその時はウィショー君がゲイだとは知らなかったとのこと。

「Lilting」には監督自身の家族の経験がかなり投影されているとも書いてあります。
・・・ここで私は具合悪くて寝ていたのに、頭が妄想へと飛んでしましました。子供の時に移民した監督と、英語と英国社会に馴染まない彼の母親、そして記事には本人もゲイだとあるので私の推測は確信となり、まんまLiltingのカイとジュンではないか!と。カイは1/4白人という設定なのでカイ役アンドリューはハーフ顔で背の高いイケメンだし、母にはアジアの人気大女優を配し、そして恋人役には英国の国民的俳優のウィショー君を起用し、監督さんの個人的なテーマを盛込んだ長編デヴュー作、低予算とはいえ、すごい天国みたいな世界を作れたのじゃないかしら?!なんとも羨ましい話~~~