Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

オリエント急行殺人事件

2017-12-11 20:58:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


実を言うと期待値はそれほど高くなかったのですが、クリスティーの小説は好きだし、キャストも舞台も豪華で楽しめそうだなと、単純に楽しむために見に行って、期待以上にとても楽しめました。

シネコンの中でも大きなスクリーンでの上映のおかげで、イスタンブールの風景も旅行気分に浸れるほど迫力がありましたし、何と言ってもタイトルの急行列車そのものの迫力は凄いものでした。

南国のイスタンブールを出てすぐに大陸の平原の雪景色になり、夜の列車は雪山の間を煙を吐きながら走り続けます。

もう私はこの辺で、日本やイギリスのような小さな島国ではない、とにかく延々と続く大陸の田舎の恐怖に震えました。

大自然の中、熱く火花を出して回り続ける汽車の車輪はオーガニックで繊細な生き物のようで、よくもヨーロッパ大陸を横断などと恐ろしいことを考えた人がいるものだと感心しました。

しかも落雷で起きた雪崩が直撃で、よくも山の斜面の橋げたで先頭車両のみの脱線で済んだものだと、事件が始まる前からヒヤヒヤしました。

こんなに怖かったのは私くらいのものでしょうか?ひとりで電車やバスに乗っている時、都会を出ると怖くなる、私は田舎恐怖症かもしれません。

車両が斜めってたくらいの事故ですが、車内の暖房や調理施設などは無事のようで一安心。山の斜面に引っかかってるのに、お食事は続けられます。

食事といえば食堂車、と言っても豪華レストランですが、軽食ブッフェコーナーみたいなところに「GODIVA」の文字が見えました。コラボしてるんですものね。映画の半券をゴディバのお店に持って行くと、チョコレートがプレゼントされるそうですよ。

そうそう、そのレストランの調理室シーンもあり、シェフたちが最低でも2〜3人は火を使いながらご馳走を作っていました。またそれを給仕するサービス係の人達もいらっしゃいました。

それで、殺人事件が起きて乗客全員が容疑者としてポアロに集められるのですが、それがたったの12人!個室車両とレストラン車両、おそらく5両編成くらいの列車にたったの12人で満室ということに、改めて驚きました。

ポワロの寝ていたベッドは確か1等の客室のはずですが、寝返りも打てないくらい狭いベッドで、細い廊下から個室へのドアは1車両につき4〜5くらいあったと思います。ポワロは最初は誰かと相部屋だったので、ベッドの数は12よりも多いと思いますが、たった12人のお客のために、マネージャー、車掌、料理人、支給人、そして操縦士とその助手が働くわけです、もしかしたら皿洗いなどをするキッチンメイドもいたのかもしれません。贅沢な旅のわけですね!!

急行列車のことばかり気になってましたが、

ケネス・ブラナーのエルキュール・ポワロはなかなか良かったです。有名なスーシェ版よりも個人的にはムッシュウ・ケネスの方が好みです。何と言ってもおっきな灰色のお髭がいいです。ブラナーももう若くはないなとなっても、こういう役があるので俳優さんも一生チャレンジできる職業ですね。

同じくミシェル・ファイファーも若くなくても美しかった。そして女優全員すごい存在感でした。デンチ様とオリヴィア・コールマンはもちろん、意外な配役のペネロペ・クルーズですが地味な役でも意味の深い登場人物に見せる存在感の演技とでもいうのを知りました。

若手も、デイジー・リドリーはスター・ウォーズのレンの時は個性ない顔立ちだと思っていたのに、この時代劇でもすぐ彼女だとわかりました。そしてセルゲイ・ポルーニン演じる伯爵の夫人役の美女ルーシー・ボイントンは、なんと「シング・ストリート」のヒロインの子だったのですね?!全然気がつきませんでした。彼女の次回作は、私的には大事件のクイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディー」で、フレディのガールフレンドの役なのです。楽しみすぎます!

肝心の謎の真相もストーリーを覚えてなかったのでなるほど、と納得のラストでしたが、それよりもポワロが一同を集めて語り始めた時、「キャビン・プレッシャー」のアーサーがタリスカーの謎をめぐってミス・マープルの話をしたことを思い出して、おそらく劇場でたったひとりニマニマと笑ってしまいました。

それと英語圏ではエルキュール・ポワロはヘラクレス・ポワロとして有名だったんですね。ここでも「キャビン・プレッシャー」のハークことハーキュリーを思い出していちいち受けてしまい、様々な角度から楽しめたので、次の「ナイル」も待ち遠しいです。